タイムリミット
前話で階層を思い切り間違えてたみたいです。誤字報告ありがとうございました。
この辺は書き直し書き直ししたところなので色々間違ってます。
昨日投稿したところも自分でチェックして間違いを直したのにまだ思いっきり間違えてたと。
ごめんなさい。
「……と言う訳で無理でした」
「しんじゃうところだったぞ…」
何とか49層まで戻り、足はヒールで治した。
カブトムシが突っ込んできた時、上半身と顔面は何とか盾ではじいた。
問題は下半身だ。
盾でガードし、短剣で弾いた虫もいたが、何せ数が多い。
処理しきれないものは龍皮のコートにあたり、さらにはコートのない靴部分にも当たった。
この靴も冒険者用の物で、側面もかなり分厚いし、底とつま先には鉄板も入っている。
重いが頑丈で、地上の猛獣に咬まれてもなんてことはないほどの防御性能だ。
でもまあそこはボス階のカブトムシさんである。
分厚い皮など話にならんとばかりに突き破って来た。
おかげでボス部屋から逃げ出し、49層につながる階段にたどり着いた時には靴の中が血塗れだった。
まあ骨が見えるほどの怪我もヒール一発で治るわけだが…感覚狂ってくるな。
「その靴も悪くはないが、まあ良くて中級者用だな。もっと装備に金を掛けないとどうしようもあるまい」
「ダンジョンで稼いだお金がダンジョンに消える。何のために戦っているんでしょうか…」
まるで賽の河原で終わらない石積みをしているような。
何でこんなことやってんだ?
「そりゃアシュレイ殿のためだろうが。何を言っておるのだ」
―――そうだ。
何でこんな大事な事を今更。
「そう、ですね。お金の問題じゃなかったです。領民のみんなの分はともかく、自分の稼いだ金はダンジョンに注ぎ込むことにします」
「そうしろ」
そうだ、そういう事で…どっちにしろお金はこれでもうない。
これ以上やると来年の作付け費用がなくなってしまうのだ。
いや、ここはいっそハイレバかけてポンドにでも全ツするべきか。
などと下らぬことを考えたが、地道にするしかないだろう。
どう考えても無理なものは無理だ。
レベルが上がって色々と強くなった。魔力も、腕力も…まあ全部のステータスが上がったってわかる。だがまあ出来ることと出来ない事はあるのだ。
「まあ、地道に頑張ります」
「そうしろ。もうちょっと下層で金を稼いで出直した方がよいだろうな」
「ああ、そうですね。その方が効率良さそうですね…そうします」
47層以降の虫部屋をウロウロするより、40層付近を周回した方が良いだろう。
何なら40層のボス周回もいいかも知らん。ボス牛の肉は高く売れるようだし。
それにヴェルケーロにある独立型ダンジョンを攻略してもいいかもしれん。
その名もヴェルケーロダンジョン。
そのままの名前だが、ボスは火属性を帯びた中型のドラゴンだった。
中型と言っても軽トラなんかよりはだいぶ大きいが、まあ常識的な範囲だ。
ゴジラみたいなのとは全然違う。
踏まれてもすごく痛いけど耐えられるし、魔法も剣での攻撃もそこそこ有効だ。
アカのブレスは思い切り火属性なので相性が悪いが、まあどうという事はない。
相手のブレスも効きづらいだけの事だ。
二人でボコボコにしたら何とかなると言う範囲だった。
俺にはすごく熱かったから火耐性装備を慌てて作ったくらいだな。
よし、あそこで稼ごう。
「という訳で帰って来たぞ」
「お帰りなさいませ。その様子ではペアでも無理だったようですな…60層くらいはクリアされたので?」
「言うな」
パーティーで攻略できないものをソロで。
まあ普通に考えりゃ相当無理してもダメだ。
ここはやはり、王道のレベル上げだ。
偉大なる先人は素晴らしい格言を残してくれた。
『レベルを上げて物理で殴る。』だ。
やはり魔法なんぞに頼ってはイカン。
物理で押すのだ。
力こそパワーだ!
ほぼすべてのゲームに共通することだが結局強くなるにはレベルを上げるしかない。
クソゲーと名高い現実ゲーだってレベルを上げて知力を上げたり、転職して強くなった(金稼いだ)り、見た目を良くしてなんちゃってイケメンになればあっさりミッションはクリアできてしまう。
企業ははっきり言わないが就活だってイケメンや美人の方がはるかに有利なのだ。
まあ仕方ないね。人間だしね。
「と言う訳でマリア、ヴェルケーロでしばらく修行するから耐火装備一式引っ張り出しといて」
「畏まりました」
耐火装備は保存してある。
これはヴェルケーロダンジョンで直接装備としてドロップしたものや、モンスターからドロップした毛皮を用いて工場で縫ったものだ。
だから暑いのに熱い毛皮の服を着るという我慢大会のような事をしなければならないが…まあこれもしょうがない。
あ、『樹龍王の外套』は燃えないかな?大丈夫か??
相性はあんまり良くないなどう考えても…カバンにしまっとこ。
外套と一緒に水を入れた水筒をい~っぱいカバンに詰め込んで、さあ出撃!
「ダンジョンに行く前に人間界の事でご報告があります」
「…おう」
「先日、人間界に偵察に行っていたものによると、どうやらアルスハイル帝国が軍備を増強して「アルスハイル!?」…はい」
そうか。
そろそろタイムリミットだと思っていたが、ついにきたか。
―――始まってしまうのだ。ゲームが。
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