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お買い物

アーク歴1501年 参の月


大魔王城



「あんなん無理ゲーっすよ!無理ゲー!」

「むりげ?むりげだぞ!?」


命からがら?逃げ帰った俺たちは師匠に文句を言った。

いやまあ、別に師匠が悪いわけじゃない。

文句もそれほど本格的に怒ってるわけでもない。

正しくは文句を言ったと言うより愚痴を聞いてほしかった、かな。


「ふむ、お前の志はその程度のものだったのだな。これではアシュレイ殿も報われまい」

「……何ですって?」

「何度でも言ってやろう。貴様はその程度の志、覚悟であったのかと言ったのだ。武器や防具の用意はどうだ?いくら仕事が忙しくてももっと出来ることはあっただろう。その手は治さんのか?それに目もだ。武器はどうか。盾は何とか工夫したようだが…他の装備は以前と何ら変わりない。貴様自身も強度な鍛錬をしたという風には見えないな。どうだ?」

「それは…」


それは、そうだ。

忙しい事にかまけて修行をさぼっていた。

まあ大丈夫だろって事でロクに装備の更新も行わなかった。


「……そうです。俺のミスです。甘く見ていました」

「そうだな。少しの油断で命を落とすこともある。気を付けるように。…王宮には誰も使っていない装備品がある。そこのアカもまあ装飾品くらいなら大丈夫だろう」

「おお!それをいただ「譲ってやろうとは言わん。」…おお?」

「大魔王城も最近寂しくてな。なに、幾らかで買い取ってもらえればいいという事だよ」


師匠は指をくるっと丸めておカネを表現する。

やる人によってはゲスく見えるしぐさなのに師匠がすると可憐だ。

何というか…


「課金しよ。師匠に課金して凸しまくらないと」

「カキン?いきなり何を言い出すのだお前は。相変わらずだな…カレン、こ奴を宝物庫に。ああ、ザイールも一緒に行け。こ奴は金持ちだ。高く売りつけろよ」

「オマケしてくださいよ!」

「上納金だと思ってあきらめろ。我らもそう贅沢しているわけではないのは見てわかるだろう?」


そっすね。

残ってる官僚の皆さんも、勿論師匠もいつも同じ服だ。

どこぞのマッシヴ親父のように腰巻一丁のダンディなオジサマもいる。

どう見ても贅沢している悪い貴族のイメージとは程遠い。


うちの領の領民たちの方が良い服着てるし、いいモノ食ってそう。

うん、これはイカンな。


「そうだな。高く買うし、食料とかもそのうち輸送するよ」

「申し訳ありません」

「有難う御座います」

「そこまで気を使わんでも…まあ、すまんな。余ってる分でいいからな」

「そりゃ、ウチの領民を飢えさせてまで持っては来ませんよ。初めからそのつもりです。んじゃあいってきまーす」


宝物庫へと出かける俺に笑顔で手を振る師匠。

本当にうれしそうだ。

そんなにお金やら食料に困ってるなら言ってくれればいいのに。


と思うけどまあ言える訳ないよな。

大魔王様の時だって贅沢してる感じじゃなかったけどお金に困って困って、って感じでもなかった。

師匠の代になって急にお金に困ったとか言い出せないだろう。その辺難しいなあ。



「こちらです」


カレンと呼ばれた女性に連れて来られたのは城の奥の方の門。

正に宝物庫って感じだ。でもこんなふうに『ここが宝物庫だぞー!』ってアピールして泥棒に狙われたりしないのか?


「目立ちますけど泥棒来ないんですか?」

「ここの鍵はこちらにありますが、大魔王様のお部屋にある障壁を解除しなければ入れないようになっています。今は姫様が障壁を解除されておりますので」

「ほーん?」


詳しく機構を教えてくれるわけはないが、障壁のスイッチがONになっているうちは宝物庫に入るための扉が見えなくなるんだと。

不思議な事もあるもんだ。


ガチャリと鍵を開け、中に入る。

宝物庫と言うと金貨が山になっていて王冠やら剣やら、宝石やらがゴロゴロしているところを想像していたが、そうでもない


「思ったより片付いてますね」

「ごちゃごちゃしていると無くなっても分からないではありませんか」

「まあそうですけど」


さっき泥棒は来ないって言ったじゃん。

まあ整理整頓が大事な事は分かるけどさ。


「武具はあちらです」


入ってすぐの所に会ったのはいわゆる調度品。

花瓶やら絵画やら…さっぱり分からん。

偉そうなオッサンの絵はたぶん何代か前の魔王様方だろう。見ても分かんねえけど。


「おおっ!」

「おー!」


アカと二人しで驚きの声を上げる。

『武具』と書かれたところにあるのは数え切れないほどの武器、防具に装飾品。


「すげー!こんなに!」

「大魔王様の前にこの城を有していた方が武具がお好きだったそうで…もちろん、大魔王様が現役時代に取得した武器も混ざっています。」

「ほーん??」


大魔王様がゲットした武器。

それだけで何やらゴージャス感がある。


「うお!カッコいい!これいくらくらいするんだろ?」


手に取ったのはいかにも魔力が宿っていそうな槍。俺の背よりかなり大きいから片手じゃあ扱いはかなり難しそうだ。


「オルフェヴェドールの槍ですね。およそ320億ほどになります」

「さんびゃく!?」

「はい。大魔王様が踏破されたとされる異世界のダンジョン産のアイテムになりますので」

「えええ…まあ強そうだと思ったけどさあ…」


まあ強いんだろう。でもお値段も強い。

試しに鑑定をしてみたが俺の鑑定レベルじゃ名前しかわからん。

鑑定とか最近サボってたからな…まあ、分からないことは分かる人に聞けばいい。


「どのくらいの性能なの?」

「ATK(攻撃力)+12000とありますな。それに天使型特攻、魔力回復(大)となっています」

「ふええ」


ふええしゅごい。

俺の短剣(ジジイの爪切り)はATK+50だ。

それが12000って何なんよ?


「欲しいけど無理すぎだろ。大体扱えんわ…」

「そうですね…片手剣や短剣はあのあたりですよ」

「ああほんとだ」


確かに指さされた方には俺でも使えそうなサイズの短剣が置いてある。

初めからそう言ってくれよと思わなくもないが、まあ俺が案内役だった場合は最初はお客さんの好きにさせるかなとも思うので何とも言えない。


「どれどれ…神殺しのマインゴーシュ??」

「かつて下級神同士で争いになった際に使用された短剣ですね。もともとそれなりの業物だったようですが神を殺した際にかかった血でさらに強化されたようです。ATKも790ありますね」


神を殺して790か。なら12000ってのは一体何なんだ?

一体何をどうすれば12000に…まあいいか。それはそうと今俺が必要な装備について考えなければ。


「ちなみにこれいくら?」


マインゴーシュを指さしながら聞いてみた。


「そちらはお買い得ですよ。5億ゼニーほどです」

「どこがお買い得やねん!」


値段の設定はいつも困ります。


作中では武器防具はかなり高く設定しています。

たとえば某RPGの宿屋で4人PTで1泊40Gとした場合、一人10G、一泊一万円の宿と仮定した場合1G=1000円となります。この計算だと猛毒でも一瞬で治る『どくけしそう』がそこらの道具屋で1万円で売っていることになってしまいます。

ちょっと高いけど常備薬にしたいですね。

病院とかなら『どくけしそう』を常備してないと問題になりそうです。


このレートでいくと、終盤のお店で売ってるお高い武器が3万Gとした場合3000万円ってことになります。高いけど魔王を倒すのに使う武器が3000万ならどうか。

僕が国王なら自分の所の軍人全員に装備させて魔王城に突っ込ませますね。

…ってな事を後書きを書きながら計算して、いくら何でも5億は高すぎたかな?いや、まだ安いか?どうなんだ?と感じています。


でもこれはRPGじゃない。SLG要素で考えると大名の財布=領地+個人の財布になるんで領地からの収入も個人で使い放題になります。じゃあ何千万程度で作中最強の武器が買えたら安すぎるかなと…

やっぱり難しいな。考えれば考えるほどどの程度の価格にすればいいか分からない。


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