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47層

久遠の塔47層



40層でボスを倒した後、唐突なステーキ祭りを行った。

腹がパンッパンになったまま41層へ。


41層から出現するのは虫型のモンスターだった。

虫さんは子供の時は好きだったけど大人に成ると触れなくなるよね。

カブトムシもすでにちょっと微妙になって…なんて思いつつ進軍。


40層台も特に困る事はなく。

こりゃ案外楽勝なんじゃね?


―――そんなふうに考えていた時期が俺にもありました


「ぎえええ!」

「かいと!みぎ!ひだりも!」

「ツリーバインド!スラッシュ!ツリーアローストーム!ええいくそ!」

「もえろ!もえろ!もっと!だめだおおい!」

「「「ギギェーッ!」」」



40層のボスは巨体で突進を繰り返すボスだった。

おまけに少し避けただけならホーミングして当たりに来る。

大きく避けるとダメージを与えられない。

そんな風な少し厄介なモンスターだったのだろう。



でもまあ遠距離と足止めに特化した俺らには大した問題ではなかった。

壁際で交わし、突進の勢いが止まった所で拘束。

そうしたらアカが丸焼きにして終わりだ。


そんな風に楽勝だったし、41層からも虫は苦手だがそれほど苦労は無かった。

カマキリもクモも、ゴキブリもどれもこれも見た目がやばいし壁を這ったりジャンプしたり飛んだりとやたらアクティブな虫だったが、まあ大きさはそれほどでもない。大きいので30~40cmくらいだったからまあ何とかなった。


思ったより楽勝やな、と感じながら意気揚々と進んだ。


45層に中ボスポジションとしていたのは大きなムカデ。

大きな牙をもち、カサカサと壁でも天井でも動く。


奇襲を喰らったら危ないことこの上なかったが、足の数は多くても肝心のスピードはやや遅い。

離れてチクチクしている間に拘束でき、後は何てことは無かった。


46層もなんてことは無い。ただの飛んでくるカブトムシだった。



―――でも47層の敵は全く動き方が違った。

1匹1匹は46層で見たカブトムシとほとんど同じ。

大きさも動きも大差なかった。


ところが、この47層の敵はいわゆる群体のようだ。

一匹一匹を潰しても何の痛痒も無いようで次々と襲い掛かってくる。


『レギオン』と呼称されるそれらは一匹一匹は46層と同じく大きめのカブトムシみたいなやつだった。大きめ…と言ったが大体体長30㎝くらいあるカブトムシだ。


そいつが角を前面に押し出して突っ込んでくる。

角の長さだけで10cmくらいはある。

頭に包丁を付けて突っ込んでくるようなものだ。

それだけでまあヤバイ。


と思ったけど程よく育ってきたアカの龍鱗は貫通できなかった。

俺のなくなった左手部分に括りつけられたアカの抜け毛ならぬ抜け鱗製の盾も大丈夫だった。


いきなり飛んできた時はビックリしたが、盾で防ぎ、落ちた所を仕留めた。

『なんだ楽勝じゃないか』『さっきの階と同じか?』なんておもった。


思ったんだよなこれが。

そうしたら最初一匹だったのにどんどん増えて…


んで今の状況だ。

周囲には何匹いるのかわからない程のカブトムシさんの群れ。

1匹30cmの特大サイズだ。しかも見たことないタイプの、ツノがまるで鋭いナイフのように尖った殺傷能力の高そうなカブトムシである。


日本に持って帰ったら売れるだろうか。

…売れる前に店員をぶっ殺してしまいそうだが。


「酷い数になって来たな…一回戻るぞ!ブレス吐いて!」

「まかせ…あががが!あんぎゃあああー!」


ブレスの予備動作で大きく空けた口。そこに飛び込んでくるカブトムシ。後は分かるな?って感じでアカの舌に穴が開いて血が噴き出た。


「ヒール!ヒール!」

「いはははは(痛たたた)」

「ツリーアロー・トルネード!ほら!火!早く!いっぱい来てんだよ!」

「ふがが!もえろ!」

「よし、退くぞ!」


木矢の嵐に炎をぶち込み、炎柱を産み出して隙を作り。

後は必死の闘争(逃走)である。


こうして俺たちは逃げ帰った。

50層までは攻略したいと思っていたが、47層目。

80層をクリアしたいと思っている、その遥か手前で挫折したのだった。



戦いは数だよ兄貴!



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