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年末

アーク歴1500年 什の月


ヴェルケーロ領



先月のお祭りイベントは上手くいった。

日本の屋台には色々と程遠いが、見たことのないような食べ物が多かったようだ。

中でもアイスクリームなんかはかなり売れたみたいだ。


言うて牛乳と水飴をブレンドして凍らせたり、果物の果汁を無理やり凍らせたりしただけ。

まだまだ原始的なアイスクリームとシャーベットのチャンポンだが、喜んでくれて何よりだ。

まだそれほど寒くない時期だったからな。真冬だとそんなに売れないとは思うが…


あとは酒だ。

『酔っ払って暴れたらロッソに槍でしばかれます』と酒屋の横に大きく看板を立てたのにやっぱり酔っ払って怒られる馬鹿がいた。

でもまあそいつがロッソに腕の骨を折られ、泣き叫ぶところを俺が治してからはみんな賢く飲んだ。


何というマッチポンプ。鎌鼬3兄妹もかくやという有様である。

バカにはいい薬になっただろうしまあ丁度いいか。


競馬の方の売り上げも良かった。

俺もディープに乗って出場したが、ケンタウロス族は反則もいい所だ。

元々速く、力強いのにさらに騎手いらないんだし、そりゃ軽く勝っちゃうよな。

来年からあいつらには重りとして鎧でも着せよう。そうしないと勝負にならん。


宝くじはベリスちゃんの彼氏が当たったらしい。

米いっぱいとお金をもらったが、ベリスちゃんとの新居を買うお金にしたいと言ってベリスちゃんを赤面させ、周りの男たちも憤怒のあまり紫色の顔になった。


うらやまけしから…んくもない。

まあいいわ。お幸せに。

人は自分のストライクゾーンから大きく外れたタマには寛大になるのだ。




で、大晦日に当たる日だ。

とはいえ、格別こちらの世界では新年を祝うイベントのようなものは無い。

食料不足でそれどころじゃねえって所もあるみたいだが、やはり新年くらいはお祝いしたい。


「という事で、モチ…は餅米が無いから食パンでも配ろう」

「食パンとは白パンの事でしょう?宜しいのでは?」

「そうだろ?正月の間も雑煮…が出来ないからパン粥でも作ればいいんじゃないか」

「パン粥ですか。良き案かと思います。」


と言う訳でマークスの許可も出た。

工房や町で手が空いている者を集め、みんな石鹸で手をきれいに洗ってからパン作りだ。

と言っても小麦粉は挽いた物がすでにある。


工房の一角を片付けて、木魔法で机を作り。

その後はどんどんと集まってくる人手を使ってパンをコネコネ。

コネ上がったら保存してあるイースト菌を混ぜて軽くこねて寝かせ…


「はい、焼きあがった物がこちらになります」

「ふむ、おいしそうなパンですな」


出来たのは普通の食パンだ。うん、美味そう。


「でもこれだけじゃ物足りませーん。というわけで!こちら!」


取り出したのはコッペパン型に焼いたものだ。

それに焼けたソーセージをはさみ、良く煮詰めたトマトで作ったソースをかける。すると。


「これは美味いですな!」

「そうだろうそうだろう」


ホットドッグの完成だ。

ホットドッグさんだぞ?そんなモン美味いに決まってる。


「マリアも。ほれ」

「い、いただきます」


マリアにもあげる。ガツガツと食うマリア。目が輝いててちょっと怖い位だ。


「こ、これはもう。美味しいなんてレベルじゃないです!この世の究極の味です!」

「…そうだな」


『美味しいです!』って言われたらそらそやろが!と思うけど究極の味とまで言われれば、『ホットドッグ一つでそこまで言うほどか?』と思う。

まあ褒めてくれてるのに否定するのもおかしいから黙っておくけど。


この世界でいわゆる白パン、イースト菌による発酵を使ったパンはもともとそれほどメジャーじゃなかった。でも俺は米が食えないならせめてと思ってパンを改良していた。その結果がイースト菌発酵を使ったいわゆる食パンであり、さらにそのパン種を使って作った各種パンだ。


イースト菌発酵はパンをふっくらと柔らかくさせることが出来るが、この世界でもたぶん同じことが出来るはずだと思った。んで、色々試してみた結果、無事に発酵させてパン種をふっくら柔らかくすることが出来たのだ。


まあ粉を水に溶いてみたり、軽く発酵した果実水を混ぜてみたりと手当たり次第にやったので途中変なのも何個か出来たが…まあそれはいい。

実験台になったのは今は無き親父だ。

一番腹壊しそうになかったし、喜んで食ってたから大丈夫だろ。


まあこうしてイースト菌 (らしきモノ)による発酵が行われた、やわらか~いパンが出来た。

何菌かは俺にはサッパリ分からんが、とりあえずこの世界ではこれをイースト菌と呼称しよう。

なに、少々違ってても誰にもわからん。



「こんなのも作ってみたぞ。みんな食べて感想教えて」


そう言って何種類ものパンを出す。


「これは?先ほどとは違いますな…なぜ麺がパンの中に???」

「このザクザクのパンは最高です!」

「パンとお肉!パンとお肉!」


焼きそばパンにクロワッサン、ハンバーガーに焼肉パン、それに各種スパイスを使ったカレーモドキを作ってカレーパンも作った。

カレーはみんなまだあんまり好きじゃないみたいでおっかなびっくり食べているが、ベリスちゃんは何の躊躇もない。肉と炭水化物を野獣のように食い尽くしていく。


あのままだとますます体が大きくなっていくんじゃ…と思うが、コッチに残ったベリスちゃんの彼氏さんはニコニコと見ている。

ああいう関係もアリなんだな。


と言うか俺の女性観が前世のまま固定されてるからダメなのかな?

でもボンキュッボンが好きで何が悪い!と大きな声で言いたい。


ロリ顔なのに巨乳。

所謂ロリ巨乳が間違いなく至高だと思う。雄山先生もその辺に文句は言うまい。

それに対する究極側はベリスちゃんのような顔面ドンッからのボンボンボンッ!なのだろうか。

山岡、その辺はどうなんだ?



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