顛末②
ドレーヌ公爵の部下が裏切り、公爵領の領都を取り返したわけで。
その後公爵ラーメン試作37号を食べながら幹部の打ち合わせをして、その結果は火炙りだった。
何とも言えんわ。
火炙りの前には怒り狂った市民や殺された遺族、元部下たちからの投石が行われ、そしてもがき苦しんで死んだらしい。
俺は見る気が起きなかったが、一応マリアから報告が入った。
でもそんな報告はいらないよ。
師匠は立場上見ないわけにはいかなかったようで、ドレーヌ公爵より高い位置に見物席が用意されて燃え尽きるまで一部始終を見ていたらしい。
「ヴェルケーロがあっさりと落とされたらお前がああなっていたかもしれんな」
「そうなる前に逃げますよ」
「どうだか。お前は甘い奴だからな。民を見捨てて逃げるなどできんだろう」
「…そうですかね」
どうだろ?逃げたと思うけどな。
でも人質を取られたりしたらどうか。微妙だなあ。
「負けなければ良い。勝てばよいのだ。負けるからこうなる」
「…それはどうかと思いますが」
「先代の宰相がそういってたぞ。昔は人族に捕まった魔族は大変な目に合ってたらしい。私のような若く見える女が捕まれば男に嬲りつくされた挙句、手足を切り取って目をくりぬいて鼻をそいで殺されるらしい。でなければ達磨にされて犯し殺されるか。碌な未来ではないな」
「マジかよ」
いくらなんでもそれほど…まあするかもな。
先代の宰相ってだいぶ前に亡くなったけどかなりの長命種で前大戦のころからの生き残りだったらしい。
その頃から大魔王様の部下の一人だったんだっけ?
まあなんせ酷い時代だったみたいで、人族も魔族もお互い捕虜になれば酷い目に合わされるのが当たり前だった。
言うてそりゃ今もか?
一応和平を結んだ間は犯罪者は普通に裁かれていたらしいが、そう聞いているだけで実際はどうかわかったもんじゃない。日本の警察なんか比べ物にならんくらい酷い取り調べも行われただろうし。
冤罪も山ほどあるだろう。DNA鑑定どころか指紋鑑定すらない世界なのだ。
そう考えると中世ってほんと怖いな。
魔女裁判みたいなのもあるんだろうか。
容疑者を水に沈めて、浮いてきたら魔族だから死刑。もし沈んだら『あら人間だった、残念。』
ってな酷い方式の裁判…もしかしたらやってるかもなあ。
こちらの教会、と言うか宗教はあちらに違わず酷いことになっているらしい。
宗教ってのはもうホントどうしようもない。
本人たちはこれが正義だと思ってるんだからもうホントさあ…
本編のアシュレイ編でも宗教との戦いは酷かったようだ。
日本のメーカーが作っただけあって宗教は基本的にそれほど美化されていない。
というか戦国時代の一向一揆との戦いをモチーフとしたような戦いや一揆が各地で起きた。
そして宗教は人種も国境も関係ないのだ。
おっそろしいことだ。
魔族の中にも人族の宗教指導者が沢山入り込んで、いざって時に後ろから一揆を起こす。
やられた方はたまったもんじゃねえ。ああ、あの国とは敵対したくないなあ。まあ、全魔族を殺すって宣言するようなアカン国だからどうやっても敵対すると思うけど。
どうしてそんなぁゃιぃ宗教にハマるのか。謎もいい所だ。
「恐ろしい話ですね。…ところで、先代のではなくこの間の宰相は一体どうなったのですか?ドレーヌ公爵家と一緒に攻めてくるかと思ったらそうでも無いし、ザン男爵側にいるかと思ったけどいなかったみたいですし?」
「わからん。我らも探させてはいるがな…」
ドレーヌ公爵を煽り、内乱を起こさせようとしたのはグラニエ宰相だろう。
だが、その後の行方は杳として知れないのだ。
金やら武具やらは持ち出したようだが、領地は手つかずだし…
「んで師匠は大魔王城でお姫様をやらないといけないのに、何でこっちに来てるんです?」
「いや、それはな。深い意味はないが…よし、そうと決まれば鍛錬の時間だ。いやあ久しぶりだな!お前の上達具合を見てやろう!」
「え!?何で急に!?ああ、急にと言えばなんだかボクお腹が痛く、いたたたた」
「よし、木刀でぶっ叩けば治るかもしれんな。修練場へいくぞ」
「ひええええ」
このあとたっぷり剣の修行をした。
俺と師匠は日付が変わるくらいまで激しく|(剣で)交わった。
俺の回復魔法が上達したみたいでいくら殴られても回復魔法で癒せる。
そう分かってからは師匠は遠慮なくボコボコにしてきたので魔力切れまでサンドバックになった。
おのれ!何時か俺のバットでヒーヒー言わせてやるからな!チクショウ!
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