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交渉、は出来ない。

やや残虐なシーンがあります。軽めです。



「離せ‼離さぬか無礼者!この儂を何だと心得る!ええい!この無礼者共が!」



落とし穴から落ちて、ぐったりしていた敵のボス、ドレーヌ公爵。

死んでは無かったので一応回復魔法をかけてしばらく寝かせておいた。

そして起きたらこれだ。


「うるさいオッサンだな。今すぐ殺してもいいんだぞ」

「殺せるものなら殺してみよ小僧!」

「うーん。マークス、とりあえず爪」

「はい坊ちゃま。」


にっこりとほほ笑んだマークスは全部の爪を剥いだ。

手も足も全部だ。


「ぎゃああああああ!」

「うるっせ。一気に全部やるなよ」

「申し訳ありません。殿は面倒くさいから一気にやれと言うタイプでしたので」

「親父らしいな…ヒール」


回復呪文をかけて痛みを止める。

ついでに爪が再生された。


「大丈夫?」

「大丈夫なわけあるか!貴様は「うるさいですぞ」ギャアアア!」


うるさかったからまた爪剥いだ。勿論マークスが、だ。

俺はそんな野蛮なことやんないよ?


爪を剥ぐのはコツがあるらしい。

マークスになんでそんなの得意なんだと聞いたけど、捕まえた捕虜や山賊から情報を得る時に便利だったから覚えたんだと。

でも今ホイホイ爪剥いでるのはさっきの戦う前の演説でムカついてたからだろ?微妙に嬉しそうだもんな…俺は気付いてるよ。気付いてるけど止めはしないけど。


「かわいそうに…ヒール。んで、俺の親父とアークトゥルス魔王が殺された件についてなんか知らない?」

「知らん!『ベリッ』…ぎゃああああ!」

「あーあ。ヒール。嘘は良くないよ?」

「今のは嘘じゃない!本当に知らんのだ!なのになんで爪を剥ぐ。」

「ホントかな?後で部下の人たちもベリベリするけど。その時に新しい情報が出たらどうなるかわかる?分かって知らないって言ってる?」

「…本当に知らん。宰相のやつはどうだかわからんがな」

「そうか」


爪はトータルで12枚しか剥いでない。

なかなか素直だ。


「ドレーヌ公爵、そなたは我が軍門に下るか、それとも死か。どちらか選ぶがよい」

「儂を殺せば外の手勢が暴れるぞ。そうすればこのような小さな領など…」

「外?ああ、見てもいいぞ。ロッソ、ドレーヌを城壁へ」

「ハッ」



ロッソはまたドレーヌ公爵を槍で吊るして運ぶ。

可愛そうに。


そして吊るされたまま登った城壁からドレーヌ公爵が見た光景は。


「な、何だこれは…」

「何だと言われても。ウチとしても困っています」


そこにあるのは軍がたくさん残していったモノたち。

よほど慌てて引き上げたのだろう。

死体や怪我人は出来るだけ優先的に回収して、怪我人は治療している所だ。


人がいなくなった戦場には一面にゴミが散らばっている。

中には使えそうなものも混じって入るが、大半はゴミだ。

食べカスやまだ火がくすぶっている薪に折れた槍や壊れた鎧。この辺はまだ直せば使えるかも?

でも中にはウンコや嘔吐物なんかもある。そんなの捨ててくなよ…



そして、そのゴミを残していった兵たちは奇麗さっぱりいなくなった。

まだここには万を超える兵がいたはずなんだけど。


昨日、朝に始まった戦いは昼前には敵の首魁であるドレーヌ公爵を捕まえたことで一度止まった。

そして彼らは軽く軍を引き、夜に入った。

夜には奇襲があるかもと思って警戒していたが、そんな事はなく。

朝になって見えるのはこのゴミがポロポロと落ちた無人の街道だけだったのだ。


なんで?何で帰っちゃったの?これからもう一戦とか、交渉とか。

そう言うのあるんじゃないの???

それを疑問に思っているのは勿論俺だけではない。


「わが軍の兵はどこへ行ったのだ!」

「怪我人は収容しているし、不幸にも亡くなってしまった方は共同墓地に埋葬予定だね。個人の分かる物は出来るだけ保存するようにしてありますが…分からない人の方が多いですねえ」

「それはすまない。…ではなく!私の周りには無傷の兵もいただろう!なのになぜ誰もいなくなっているのだ!」


そう、それだよドレーヌ。

俺も困ってんだ。


あの攻め込んできた軍勢は何でいなくなっちゃったの???

みんなどこいってもうたん?


「まあ…ぶっちゃけ僕らも困っています。貴方を捕らえたのは情報が欲しかったのもあるし、身代金をせしめたり、それから素直に兵を引かせるための交渉材料にしたかったんですよね。なのにこんなにあっさり帰ってしまうと逆に困ってしまって。どうしたんでしょう?負けた時はどうするとか話してました?」

「戦う前に負ける話をする阿呆がおるか!」


うーん、この脳筋。


「まあしょうがないから貴方はとりあえず捕虜にします。というわけで、ハイ」


ポンっと鍬を渡す。

ん?と言う顔をするドレーヌに一言。


「働かざる者、食うべからずです。他の捕虜の皆さんたちも傷が治ってる人はお仕事に行ってますよ。畑仕事に機織、それから外のゴミ拾いに…埋葬作業もですね。悪いけど僕らも忙しいんです。貴方の部下たちの状況は調べておきますから、働いて食い扶持を稼いでください。じゃ。ロッソ、頼んだぞ!」

「ハッ。ドレーヌ殿、こちらへ」

「なんだ?こんなモノ持たせおって、おまけに畑仕事だと!儂はそんなことはせんぞ!む、離せ、離せ無礼者…アッー!」


ドレーヌはロッソに連れていかれた。

まあ、アレは放っておいて自分たちは自分たちでお仕事をしないと…。

やや残虐なシーンは爪を剥ぐシーンでした。

軽めにしてあります。


でもハッキリと描写はしてないけど弓や魔法でズタボロになって死ぬ人が画面の外にいる時に爪剥いだからって何なの感はある。まあそれはそれ、コレはコレだと思いますが。

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