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閑話 ~その頃人間界は~

登場人物がいっぱい一気に増えました。

ほとんど覚えなくていい感じになると思いますのでフワッと流しちゃってください


アーク歴1500年 壱の月


エラキス教国領

スラサム・ガエル枢機卿


「き、聞こえましたか大司教!」

「はい、私の耳にも…いえ、耳と言っていいかどうかは分かりませぬが、憎っくき大魔王がついに死んだと!」

「フフフ…ついに我が教国千年の夢が果たされる時が来たようですね。すぐにエラッソ枢機卿とユミタフ枢機卿の争いを止めさせるように。彼らも今日この時に身内で争うほど愚かでは…愚かではないと思いますが。…ですよね?スラサム大司教?」

「私もそう思いますが…」


教皇様の仰る通り、内部で争っている場合ではない。だがあの二人の仲の悪さは酷いものだ。

おとぎ話に出て来る炎龍と森霊の仲に匹敵するほどのものだろう。


だがこのお方ならあの二人を強制的に仲直りさせることも可能だ。

人間界を支配すると言ってもいいほどの権威を持つ我が『聖アウラ光皇教会』。

唯一神であるアウラ様を信仰する教えは人間界全体に広がっており、その信者は億を超える。

そのトップが目の前にいらっしゃる教皇・ヒエルナス・エル・ラ・アウラルア様だ。


ヒエルナス様ご自身は代々教皇を排出した非常に高貴な家にお生まれになられた。

実家のバックアップも有りトントン拍子に教皇に成られたお方だが、もちろんご本人の神への信仰も厚い。


教国内部での権力争いも最低限で終わらせた教皇様にとっては枢機卿同士での争いなど醜いものとしか映らないのだろう。


教国内での権力争いは酷いの一言に尽きる。

金で懐柔したり言う事を聞かせたり、あるいは暗殺や毒殺まで平気で行う。

裏でこのような事をする者が神への信仰を語ってよいのかと思うが、皆表面だけ見れば立派な人物なのだ。私だって裏の顔を知るまでは尊敬する先輩だと思っていたものだ。


勿論、金や暗殺をチラつかせても駄目な場合もある。

他国の王族が言う事を聞かなかった場合には戦争になったときもある。

その相手国の信者を蜂起させ、内部が混乱している間に精鋭である聖騎士団を送り込んだ。

信者は死ねば天国に行けると聞いているのでいくらでも喜んで戦う。

だからと言ってこのような使い方はどうなのだろうか。


「人族同士で争っている場合ではなくなりましたね。魔族共を皆殺しにし、アウラ様に捧げなければなりません」

「ハッ。両枢機卿にもこの『声』は聞こえたでしょう。さすがに争いを止め、和解すると思います。もしそれでも争うようであれば両名とも処罰すべきかと」

「…もう処罰してしまった方が早いような気もしますが。ところで、先ほどの『声』はどこまで聞こえましたか?大魔王が死に、種が何とかと言っていませんでしたかね?」

「ハッ…?私には大魔王が死に、人魔間の戦争が解禁されたと…そう聞こえましたが」

「そうですか…宜しい。では、スラサム大司教。即刻皆を集め、和解させるように。和解に応じない愚物は教皇権限で破門です。この一大事に身内で争うような愚か者は必要ありません」

「ハッ!では早速お二方の調停に参ります」

「よろしく頼みますよ」


一礼し、執務室を去る。

私がドアをくぐる所で教皇様がひとり呟いている声が聞こえた。


「そしてこの世界に神を…ふっふっふ」


世界に神を、何だろう?

もし世界に神様が降臨されるならそれほど素晴らしい事は無いと思う。思うが…何やら教皇様の声は常にない邪悪な気配を感じた。

私は何も気づかなかった振りをしてそのまま部屋を出た。




同刻


久遠の塔87層

勇者グロード



「なンだあ?今の?」

「おかしな『声』が聞こえましたね」

「俺にも聞こえた。大魔王が死んだとか言ってたな」

「あん?種が何とかっつってなかったか?」

「僕には何も?グロードさん聞こえたんですか?」

「ああ…?」


俺には聞こえた。大魔王が死んで戦争が解禁された。

それとは別に種の保持者は頑張れよみたいな言葉が。何だ?種ってなんの事だ?


「ちょっと3人とも!よそ見しないでちゃんと戦ってよ!」

「あー、わりぃわりぃ」

「ご、ごめん!」

「すまん、サシャ!」


サシャが怒っている。

ウチのパーティーの紅一点でみんなのアイドル。

顔は文句なしにキレイ、鍛えられた体も素晴らしい。なのだが、気が強くてはねっかえり娘だが…だがそこが良い。


「よっしゃいくぞ!」

「「おう!」」


気を取り直してダンジョン攻略に戻る。今回の目標は90層。そしていずれは誰も到達したことのないと言われる100層に…このパーティーで100層に挑むのだ。


神の居る座と呼ばれる100層、そこに一体何が待ち受けるのか。

冒険者たるもの未知なるものに突撃したくなっても仕方ないだろう?




同刻


タラモル国

国王 ファルム・ド・タラモル三世



来た。

ついにこの日が来たのだ。


先ほど儂の脳内に響いた声。これは予言の書にある天の声だ。

このタラモル国の父国、魔族によって滅ぼされたアルゴル国に秘蔵されていた予言の書。

初代勇者アルスの盟友であった大賢者ウェズの予言によると人魔間で2度の戦争があったのち、一人の魔族が命を賭して両者の和解と停戦を行った。

その際の盟約によりその魔族は大魔王となり、そして大魔王が死去した際には停戦期間にたまりにたまった神力を争奪するための戦いが起こる。


つまり神と魔神の争い、その前哨戦が人間界で起こるというのだ。

神力は種となって何人かの人族と魔族に与えられる。それを集めた者がおのれの信奉する神を召喚し…神の力を借りて世界の覇者になる。

そう予言の書に記されていた。


だれが選ばれるか、どうすれば勝ち残れるかは全く記されていない。大賢者とは言えそんな物か。

とは言え、儂の身にも『種』が宿っているようだ。

それとなく我が国の大臣と勇者に聞いてみたが、あの不思議な『声』は前半部分しか聞こえていないようだし…さあ、楽しくなってきたな。我が国が世界を制する。儂は世界の王となる。

そうすれば富も名声も、女もより取り見取りよ。ガッハッハ。





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