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宿狩り

作者: 青水

 我が家に宿狩りがやってきた。

 ヤドカリではなく宿狩りである。奴らは人々の家にやってきては、その家の住人を無理矢理追い出して自らのものとするのである。つまり、極悪人だ。『極悪人』と表現したが、奴らが人なのかはわからない。多分、違うと思う。

 宿狩りはヤドカリではないが、なんとなくヤドカリに似ていると思う。『見た目が』ではなくて、『その生態が』という意味だ。

 奴らは人語を話さない。奴ら独自の言語を話す。その言語はいくらか遅れて人語に変換される。どういう理屈なのかはわからない。自動翻訳装置でも埋め込んでいるのだろうか。

「ギガガガガガ(おい、お前の家を寄こせ)」

 不快で耳障りな声である。

「嫌だ」

「ギガガガガガ(これは『お願い』ではなく、『命令』である)」

 そして、奴らは僕を瞬時に拘束すると、ぽーいと砲丸投げでもするみたいに投げ飛ばした。僕は隣の星まで飛んでいった。地面に頭からぶっ刺さる。頭を引き抜くと、周りには僕と同じく家を没収された人々が集まって暮らしていた。

 皆で頑張ってゼロから家を構築したのだろう。しかし、その質素な家も宿狩りに没収されて、また違う星へと投げ飛ばされるのだ。

 まったく、理不尽な存在である。しかし、世の中というのは理不尽や不条理に満ちているものであって、宿狩りもまた世界を構築する物の一つなのである。

 僕は宿狩りを撃退する手段がないか考えてみたが見つからなかった。

 質素な家で皆で貧しく暮らしていると、やはり奴らはやってきてこう言うのだ。

「ギガガガガガ(おい、その家を我々に寄こせ)」


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