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出会い

作者: ケンパチ

ある日俺は、1人のおじさんと出会った。

俺はこのおじさんに人生を変えられるなんてことはこの時は考えもしなかった。

なぜかて言われてもその辺のおじさんだしとしか言えない。

高校の帰り道、俺は駄菓子屋の前でタバコをくわえていて仕事もなさそうなおじさんをみつけた。

たまたまその駄菓子屋で時間を潰そうとしていたからその辺のお菓子を買って仕方なくその人の隣に座った。

しばらくは無言だ、、、

まぁ知らない人だしそれが普通だ。

だがしばらくしたらおじさんは話しかけてくるもんだ。

『どこ高校のもんだ?』

『武蔵高校ですけど、、』

『そうかそうか。』

それだけか、とホッとした矢先に次の話題がくる。

『高校は楽しいか?』

なんだこの人はと言った表情を浮かべてから、

『毎日楽しいですよ』と言った。

『そうかそうか。』

暇なのかな、付き合ってやるかと思いおれも話題を振った。

『やっぱ楽しそうに見えますか?』

『まぁ見た目はな、、』

『どういうことですか?』

『さっきの質問だけどな、自分の意思みたいのをちゃんともって毎日を過ごしてる人間かそうでない人間かがわかるんだよ。』

『どういうことですか?』

『ヒントは速さだな。おばちゃんを見とけよ?』

『おばちゃんこの店は楽しいかい?』

『そりゃもう!!いろんな人と関われて楽しーさー。』

『即、答、、。』

『お前もみえばっかはらないで腹割って話せる友達捜せよー。人との繋がりは大事なもんだぞ。』ニコと笑いおじさんは席を立った。

『ただいまー。』

『今日塾からきてないて連絡あったぞどういうことだ。』親父はいつもテレビをみながらおれと話す。

『今日の塾の内容学校でやったから図書館で本読んでた。』おれは口だけは本当にうまい。

『そんなことよりご飯できたよ。』母は自分のスケジュール通りに動くしそうしてもらわないと困ると言うタイプだ。

こんな親だと細かいし言い訳しないといつも喧嘩になるし適当にやり過ごすのが日課にもなりつつある。

家でこうだと学校でも友達はいる方だが自分から話しかけることはまずない。テンション高くのっとけばまぁつまんなくはないしそれなりに充実してるしみんなもそうだろう。

寝る前にあの人の言葉が蘇る、、、。

俺は別に今のままでもいい。

そう思っていた。

次の日、クラスで盗難事件があった。

クラスメイトの財布がなくなったらしい、気がつけば俺は立たされていた。

『自分じゃないです、、。』

やってないのだからテキトーに流しても犯人になることはない。そう思っていた、、。

甘かった。

俺の靴箱に財布が入っていたのを朝見つけたらしく、被害者の友達はひどく興奮し謝罪を求めている。

そんな中、『やめろよ。こいつがやるわけないだろ。』なんて言ってくれる友達が俺にはいなかった、、、。

俺はどんなに違うと言っても弁解することや助けてくれる友達がいなかった。

そのまま俺は犯人になり、みんなの前で謝った。

その帰り道も駄菓子屋にはおじさんがいた。

『おう、いい友達はできたか?』

『いや、、』

『やっぱ俺には友達なんていなかったんだな』

少しためてから話しだす。『友達はいなければ作ればいんだよ。』

『そんな簡単にいくかよ』

『まぁまずは信じてくれるやつがいたらそいつを疑わないことだぞ』

『そんなやついねーよ。』

そう言って帰ろうとした時だった。

『全てに絶望しても信じなきゃいけないものもある。真っ直ぐいきてりゃ周りには人がいるもんだ。』

おじさんはそう言い残し、くわえ煙草で去っていった。

次の日からの俺は盗難者扱いを受けた。

いままで楽しく話してた奴らも急に近寄らなくなった。

『わかりやすいやつらだ』

そう思いながらもつまらない日々になったことは違いなかった。

『ねえねえ』

『っ、、、!!』

俺の扱いを知った上で話しかけてくる奴がいた。

名前は田中だったか、、あまり話したことはないが、一度話したときに意気投合したような記憶もある。

『なんで財布なんか盗んだんだよ』

俺は言葉を失った。

『聞いてんの?』

田中はひどく怒っているように見えたがせめているわけでもないようで俺もすぐに答えを出せた。

『別にとってねーよ』

『は?お前昨日とったて言ってたじゃん』

『とってないて言っても信じなかっただろが』

俺も怒鳴った。

クラス内は時が止まったように静かになった。

『あのときはお前が財布持ってたていうからそうだろうなて思ったんだよ。』

『ほれみろ』

『けどずっと否定し続けたらみんな嘘だってわかるだろなんで認めんだよ。』

『別にどっちでもいーよそんなんで時間使いたくねーし犯人でも困ることねーよ』

『よくねーだろ無罪じゃねーのかよ』

『だからどっちでもいーって‼︎、、。』

ごめんな、、俺は心の中で謝って前を向いた。

『あっそ』

田中も怒って自分の席に戻った。

クラス内で少しざわつきが起こったがすぐに収まった。

その日はそれ以降お互い言葉をかわすことはなくあいつの後ろ姿を見て反対方向に帰った。

次の日、、。

『なぁ』

また田中だ。

俺は無視することにした。

『おい』

『なんだよ』

無視するつもりが答えてしまった。

『犯人探すぞ』

俺は目が点になった。

『なんで?』

このなんでに悪意はない。純粋な疑問だった。

『探さねーの?』

俺は少し考えた。

たしかに犯人でもいーと思って言ったけど、実際犯人にされたら嫌なことのが圧倒的に多かった。

周りに無視され、友達も話しかけてこなくなり、いまの状況が少しでも変わるなら探したいと思った。

『探す、、、』

この答えがいままでのなにもない生活を変えた一言になったのかもしれない。

『まずは財布から指紋採取だな』

『なにで?』

『え、、、笑』

おれは本当にこいつと組んでいーのかと本気で思った。

『指紋は無理かー』

本当に指紋で探すつもりだったようだ。

『なら聞き込みだな』

『えー、みんなに犯人探ししてるて思われるのもいやなんだけど。』

俺はひどくふてくされた顔をした。

『そんなん知るかいくぞ』

なんて勝手なやつだ。こいつに振り回されんのか、自分のこととはいえ厄介そうだな。

そう思いながら聞き込みの手伝いをした。

『ねーそこのロッカーに財布入れてる人見なかったー?』田中はいろんな人に話しかけるがあまりいい返事はもらえない。

俺はみんなの意見をノートにまとめる係だ。

ざっと10人くらいに聞いたら2人の人が佐藤というやつが開いているのを見たと言った。

時間が10分ほどずれていたので違う人かと思い確認をとったが同一人物だった。

佐藤はクラスメイトにいていつも隣のクラスの菊池と新井にパシリにされてるやつだ。

聞こうと思うけどなんか話しかけるのが申し訳ないような空気をだすからあまり話したことはない。

が、、、田中にそんなものは関係なかった。

『なぁ佐藤。』

やっぱり、、俺は思った。

『お前のライバルてやっぱり塩?』

『、、、』

開いた口がふさがらないてこういうことだろう。

真顔の佐藤もまた面白さを際立たせる。

『そんなことよりさ、、』何事もなかったかのように話すもんだからまたすごい。

『お前財布入れた犯人だろ』

『うん、、』

佐藤はすぐ認めた。

『はい犯人みっけ。はい解決後は2人で話せよー。』

田中はすぐに2人にしようとした。

『待って、』俺は田中を止めた。

『なんだよ、、』

『なんでロッカー二回も開けたの?』

佐藤に聞いた、、、。

俺は佐藤とは去年も同じクラスだったがそんなせこい真似はしないやつだった。

自分がやられても人に当たることもなくいじめられてるにしてはしっかりしているやつだった。

『別にちゃんと入ってるか確認したんだよ。』

この嘘はすぐにみやぶれた。

佐藤がやるには理由があることはすぐわかった。

『お前躊躇したんだろ?誰にやらされたんだよ』。

『別にやらされたとかないから間違ってとっちゃってどうしたらいーかわからなくて入れただけだから。』

田中が入ってきた

『お前の嘘は自分を守るためだけだろ。罪を被されて真実を知らないこいつの事は考えて話してんのか?』

俺も佐藤もなにも言えなくなった。

俺は田中をただの厄介者だと認識していた。

だがこいつは他のやつと違った。本当に俺のことを考えて行動してくれている。あのおじさんの言った友達てこういうやつなんかな、、。

そう思った。

『たまたま菊池くんが財布拾って、そしたら新井くんと菊池くんが、こないだ体育祭のリレーで負けてうざいから入れろて』

佐藤が口を開いた。

『ありがとな』田中はそう言って隣のクラスに入った。

ついていくと菊池と新井と田中で話している。

しばらくすると3人でこっちに来た。

廊下で4人で話すことになった。

『お前だろ?財布』

『だからちげーって』

『佐藤が一度こいつのロッカー開けてそのあとお前らと話してからまたロッカー開けたのを見たやつがいんだよ。』

『俺らは佐藤に飲み物買ってきてて頼んだだけだから。』

田中は佐藤のことも気遣いながら話してる分攻めきれない感じだ。

『財布からお前らの指紋でたよ。これみんなに言うよ?』

『はぁー、、悪かったよ。普通にうざかったから精神的にダメージ与えたかったんだよ。』

許したくはないが田中が頑張ってくれたし俺はそんなに怒ってもいなかった。

『もうすんなよ』

俺はそう言ってこの問題は解決はしたがみんなからの目線が変わることはなかった。

未だに犯人扱いは変わらない。

解決してから一週間がたったころ、、

『やっぱみんなにやってないこと言うしかないか』

田中が話しかけてきた。

けどそれを言っても信じない人もいるかもしれないし犯人として定着した俺は犯人扱いの辛さを経験してしまった。

こんな思いは本当にしたくない。

『新井たちのせいにするのはいやだな』

今度は田中の目が点になった。

そりゃそうだ真犯人かばっているのだから、、、

『どーすんの?』

『、、、、やってないことだけ証明できればいーかな』

『そうだなー』

『まぁとりあえず明日からでいーよ』

そう言ってその日は帰った。

久々に駄菓子屋によったらやっぱりいた。

『よ、』

おじさんはいつも気楽そうだ。

『久しぶりじゃねーか。』

『最近放課後忙しかったから。』

『行事かなんかか?』

おれはおじさんに今回の事件を全部話した。

しばらくはおじさんも考えているようで、話しかけられず5分ほど待った。

帰ろうかなて思っていたその時だった。

『大変そうだな。』

『どうしたら犯人じゃないことをみんなに認めてもらえるのかな、、』

『その新井と菊池てやつをだしちまえば解決なのにな』

『うーん、、、』

『なんでそいつらのこと言わないんだ?』

『それは犯人扱いされた気持ち分かるからだよ』

『ならお前が犯人になる以外解決はしないわな』

『、、、、』

俺は頭の中ではあの2人を裏切る方がいいことはわかってる。

けどその答えは田中をみてたら出したらいけない気がしたし、そんな自分を田中は信じてくれるのか、そう考えたらその答えは出せなかった。

『どうしたらいいんかな』

『田中君に相談したらいーんじゃないか?友達なんだろ?』

『友達かー、、』

俺はこの言葉を以前ほど軽く捉えることはなくなっていた。

『そうだね、相談してみるよ』

俺はそう言っておじさんより先に立ち家に帰った。

家に着いたら、田中からメールが入っていた。

!!今日の話どーする?!!

件名に話題を乗せ、本文が白紙というメールにはぁ??と思いながらあえて触れずにまともに返すことにした。

『お前はどうするべきだと思う?』

『俺はあの2人のやったことはちゃんとみんなに伝えるべきだと思う。』

『それはなしていっただろー。』

『犯人扱いされないように言えばいーじゃんか。』

『、、、!!』

俺はこの発言で一気に解決だと思った。

『どうするの??』

『さぁー?』

一気に現実に戻された。

こういうやつだったのを忘れていた。

呆れて無視しているとまたメールが届いた。

『ま、その辺は明日考えるべ、おやすみー』

その内容をみて時計をみると8時半だった。

『はや!!』

思いのほかでかい自分の声に下にいた親に聞こえていないか少し恥ずかしくなったが何もないように下に降り、夕飯を食べ、風呂に入り、10時には就寝した。

そして次の日、、、。

『どうするよ!』

朝からこの話だ。

『実際あの二人が犯人ですていったら俺と同じ扱いを受けるのは避けられないと思うんだけど、、』

『だよなーー、どーしよか!』

『うーん』

そう悩んでいたら、財布を盗られた武田さんが話しかけてきた。

『あの、さ、、』

『ガタッ!、』

動揺のあまり椅子が揺れる。

『どうしたの?』と田中が聞くと

『どうして中身抜かなかったの??』

俺は答えようがなかった。

いやとってないからわかりません。なんて言ったらアウトだからだ。

申し訳ない気持ちで黙るしかない。そう決めた時。

『とってないから知らん。』

こういうやつだった、、、。

『どういうこと?』

事前にこのケースを想定しておくべきだったと後悔した。

『あのな』と言いかけたところで田中を押し倒すように口を押さえた。

『ちょっと待ってて』

そう言って田中を呼ぶ。

『本人に言ってどうすんだよ絶対あいつらのこというだろ。』

俺は本気で田中に怒った。

そしたらまあまあといった顔で俺のことを落ち着けようとしていた。

『あいつにも本当のこと知る権利はあるだろ』

田中は正しいけど行きすぎることが多い。

『いや、知らなくていーこともあるって』

俺は田中の口を閉ざすことに必死だった。

『ちがくて、、』

『なに‼︎』

『、、。俺が言いたいのは、本当のこと本人が知らないとお前はずっと財布とられた恨みみたいなものを持たれ続けることになるんだぞ?』

『あー、、、』

やっぱ田中は妙に核心をついてくる。

やらないといけないことを理解している。

『たしかにそれは解決しないといけないな。』

『だろ??』

ほれみろと言った表情の田中は酷く憎たらしかったがそれでも田中の気遣いは嬉しかった。

そして俺は武田さんに言うことにした。

『実はおれ、やってないんだ。』

『え???どういうこと?』

この反応は当たり前だよな。俺は全ての事実を話した。

しばらく無表情だった彼女は、

『許せない。』

そう言って隣のクラスに走り出そうとしそうだったので、俺が切り出した。

『けどさ、俺はあの二人を犯人て広めたくないんだよ。』

『なんで?あたしが財布とられたんだけど。』

ひどく興奮していた。

まぁこのくらいは当たり前だろう。

『俺さ、犯人扱いされて気づいたんだよ。周りの友達なんてすぐに消えるし、分かっていても強がってもそれて辛いことなんだって、だからこの問題はだれも傷つかないよう終わらしたいんだよ。』

この後武田さんとは10分ほど言い争ったようになった。

その後、『わかったよ。あたしが間違えて入れたことにしてあげる。』

『え?』

俺らは耳を疑った。

『それが一番いいでしょ?』

たしかにそれ答えが一番いい、だが武田さんが恥をかくことになる。

『それはダメだよ』

田中は言った。

『けどそうしないと解決しないよ?』

たしかに武田さんの言うことは正しい。

『二人の話聞いたら中身もあるしもう良くなったよ。あたしは構わないよ?』

『本当?』

『もちろん。』

そう言って武田さんはクラスに間違えて入れたのを忘れていたと話した。

その後武田さんは多少、批判らしきものを罰せられたがそこは俺と田中が全力でサポートした。

こうして俺の無実を晴らすことがらできた。

それからクラスのみんなから無視されることはなくなった。

おれは今回の事件で、こいつなら信じられる。

こいつを裏切る行動はしたくないなと思うようになった。

それからは田中とはずっと一緒にいる。

しばらくしてあのおじさんに会った。

『いい友達はできたんか?』

『できたよ。』

『そいつは信じれるんか?』

『あいつは裏切るようなことするやつじゃないよ』

『よかったな。』

俺はおじさんの一言で友達というものを理解できたんだと思う。

田中とはこれからも一生の友達になるだろう。


《了》

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