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ソラのイロ  作者: 亜房
分岐器
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自分の言葉を模造品に捩じ込む

以前から書きたいと思っていた文章を書けて嬉しい。

しかし、不自然にならないようにするための『無限の修正』が必要になるとは思ってもみなかった。

うん。こんな作業も楽しい。頭の中にパイナップルでも入ってるんじゃないかと疑うくらいに頭が疲れて痛くなるけど

 寝て起きると謎の彼女は居なかった

 結局名前すら明らかにならないままだった。

 彼女にとって名前とは、記号に過ぎないのだろう。

 その重要な中身すらも抽象化のヴェールに隠されていまひとつ分からなかったけれど。


 でも、それは私も同じかもしれない。

 自分の意見を抽象化してそれっぽい何かを作る。そんな事をずっとやってきた。


 偽物を提供することに慣れたのはいつ頃だろうか。相手の話に自分の言葉で返そうとするとその人が求めている本物を自分で作れずにそれっぽい模造品に自分の言葉を捩じ込む事になってしまう。


でもこの世界に曖昧という物は存在することが出来ない。誤解だろうが何だろうが判断された時点でどんな紛い物でも真実と化す。


 そう考えると、この世界では模造品に捩じ込まれた本当の言葉を共有することが出来ればそれはある意味本物の言葉になりうる。


 それは私とアイツとの関係にずっとこびりついていた宿痾しゅくあの解決に成り得るかもしれない。あれはきっと防げる事故だった。捩じ込まれた本当の意味をアイツは曲解していた。私も多分していたのだろう。それは不幸しか産まれない卵だった。


 やっぱりアイツは忘れてはいけない。

 この世界でアイツに逢わなければならない。それがたとえ何かをおかしくしてしまうとしても、只二人の出来損ないな繋がりをもう一度持たなければならない。


 この目標と名を変えた羅針盤を絶対に手放してはならない。


 取り敢えず昼ごはんを外に食べに行こう。何せこれからアイツに会うために色々しなければならない。この世界最初の昼は少しぐらい贅沢した方がいいだろう。


 そう思って私は外に出る。

 珍しいもので何故か外の風すらも味方につけている気分になれた。

 普段は『神なんて居ない。居たとしてもそれは私達を見ているだけだ。特定の人物に罰を与えるなんてたとえ日本に八百万の神が居ようとも出来ない。』なんて思っているのに。

 都合のいいものだ。

 こう言う時だけ神を信じてしまうのだから。



 まぁ仕方がないかもしれない。

 宗教だって傍から見たら都合の良さの固まりだ。然しそれは否定の材料にはならない。酷い厄災に見舞われた時は都合のいい縋れる何かが欲しくなる。

 それの受け皿になり、民に希望を見せるのであればそれは良いものであり評価の対象に成りうる。


 そんな毒にも薬にもなら無いことを考えていたらいつもの場所に着く。


 花下忘歸というそのカフェは思えばいつも私の始まりの節目をいつも刻みつけていた。今回も多分そうなるだろうと私は思ってその古臭い木の扉を開けた。








やっと澄香の話が動き出しました。

これからも【ソラのイロ】をよろしくお願いします。

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