表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソラのイロ  作者: 亜房
山と集落 【白線】
40/61

垂氷:手記01 吸う周波数 still the earth is round

私の心は、いつも停泊地を求めている。見つかったら、それを使い潰すまで使い切らなければ、気が済まない。


 今の停泊地は古く傷んだ厚手のカーテンで光を遮断した部屋。部屋の隅のハンモック。


 ハンモックは良い。色々な意味で足がつかない場所だ。土足厳禁。後を追う影もない。この場所で、私は決して浮き足立たない。心音が聴こえぬ程の平静を何故か保てる。あの頃、エレベーターのように、一日休まず上下し続けていた私の情緒も、どうやら設置されていたビルが人から見放されたようで、何も動かない。人が来ても勝手に扉を閉じてしまっているからかもしれない。


 憂鬱は思考を育てる劇物的農薬(chemical)だ。ポジティブシンキングとかいう益虫を殺してまで、消えないネガティヴとかいうゴミを何故か育てる。普段殆ど何も考えないくせに、兎に角思考が止まらなくなるのだ。いい加減こんな強い農薬は、規制した方がいい。熱の時にうなされる夢のように不気味さがいつまでも付き纏う。


 みんなも分かってくれると思うけれど、ネガティヴシンキングはクソだ。理由?そんなのは決まってる。いつも死と隣り合わせだからだ。バンジージャンプより余っ程危ない。何せ、命綱なんてもの存在しない。


 だから、私は開き直った。ある銃を携えた大男の言葉を頼りにして。


『君は人から外れていると、悩んでいるらしいな。そんなの気にする必要はない。このクソッタレな世界を含めて地球って奴は基本的に普通なんだ。君が尖ろうが、地球は丸い。その証拠に鉛筆一箱(one dozen)買って、誰かをそれで刺すのか、と言わんばかりに先を削ろうが、それでも地球は丸いだろ?』


普通みんなと違う何かこそが君の価値なのさ。たとえ、それが睡眠薬焼けの青い舌だとしてもね』


私はその言葉に痛いくらいの衝撃を受けた。口が脊髄で動いた。


「それは、この数える羊が全て逃げた脳でもかい?」


『そういうことさ、紙月(Shizuki)垂氷(Taruhi)


その言葉は、長袖一枚では心細い私の心の衣になっている。そうだな。寒中水泳でもしようか。今宵は、紙の月(paper moon)だし、紙の夜(papernight)だ。神は残念ながら(platform)にはいつかない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ