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ソラのイロ  作者: 亜房
隧道
15/61

火奥:強めのお酒を飲んでそのまま気持ちよく寝入る。もう明日目覚めなければいいなって。

インスピレーションがワーってくると、納得出来るまで時間がかかって返って沼る。

ちょうどいい時にやった方がいいのかもしれぬ。


 今日もまた目覚めてしまった。未だに私は具体性を削ぎ落としたこの身体で生きている。人生の贖罪はまだ済んでいないらしい。目の前にあるむしゃくしゃして殴りつけたせいで芸術的な線を描いてる鏡に中指を立てて居たが、当たり前のことだが何も起こってくれないので、諦めて取り敢えず動くことにした。冷蔵庫の野菜室に入っているセロリを軽く水洗いしマヨネーズを付けて齧る。別に素材の味を味わいたい訳では無いけど、野菜を摂る一番楽な方法-生で食べることは食べた栄養素よりエネルギーを使うことがある。だから()()()()()()楽になる方法である-だから仕方がない。正直もう栄養素とか美味しい食べ方興味ない。今更フルコースの料理を食べようものなら途中で吐いてしまいそうだ。


 起き上がっていつも通りの行動を判を押すようにやったものの、倦怠感しか募らなかった。どうにも振り払えないので、憂さ晴らしにアイツの所に直撃してやる事にした。どうせアイツは起きてるし例の店にいる。履きやすさ優先のクソダサい靴を履くと、陸上選手みたいなフォームを意識してタッタッタッタッといつもの店まで走った。店の戸を開けるとあー。やっぱり居る。


『おう。火奥かほ昨日はどうしたんだ?来なかったみたいだけど。』


 いつも行ってた店をいきなり留守したから聴かれるのは当たり前だけど、少し聴かれたくない内容を開口一番に言われて面食らった。準備してても驚くのは驚くのかと自分に驚いた。適当に話をずらしておこう。


「色々あってね。ソクラテス。ところで朝から何飲んでんの?」


彼は少し嫌な顔をしながらも-彼の名前はいつきというのだが一度も呼んだことが無かった。膨大な知識量が有り、知らない事の存在もしっかり把握してるからピッタリだと思って言い始めた渾名なんだが変に頭に定着してしまった。別に神がいついてるみたいな知識量だから名は体をしっかり表してると思うが定着してしまったのだから仕方がない。お決まりのようにこいつは少し嫌そうにする。-こう返してきた。


『菜園から【B】を採取するついでに新しくきたバーボン飲んでたんだ。』


そう言えば私も持ち合わせが無いし、後で採取しとこう。まぁ、しばらく使ってないからどうでもいいっちゃいいが欲しい時に無かったら中々ストレスが溜まる。バーボンかぁ。朝から飲むにはかなり重たい気がしないでもないが-そもそも朝から飲むって言うのは普通におかしいけど効率を考え過ぎた体になっている私達にとって今更な話だ-私も飲もう。


「私も頂戴。オンザロックで。」


軽く手を挙げて返すとソクラテスはササッと用意してくれた。

そして何でも無いことのようにコイツは言うのだ。


『仕事上手くいってないんじゃないの?ちょっと話聴いてやろうか?』と。


いつもコイツは人の置かれてる状況を中途半端に読みやがる。肯定の合図かのように乱暴にグラスをソクラテスのグラスにぶち当ててやった。

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