第2話 どうやら俺、異世界転移したようで…。
今回も長いです。
序盤は説明口調になるところがあるから、どうしてもね…笑
第2話です。
「よぉ、兄ちゃん。見慣れねぇ格好してんな、どうした?」
「あー、いえ。田舎を勢いで飛び出したまでは良いものの、すっかり迷ってしまいまして!」
「はっはっは!都会に憧れて出てきたくちかい!でも残念だったねぇ、このライカの街にはめぼしい物なんかありゃしないよ!」
そうか、ここがあの手紙に書いてあったライカの街で合ってるのか。長かった、本当に長かった…。
「いやいや、僕が元いた場所より絶対良いですよ〜」
なんてったって草原ですからね。人いるだけマシですよそりゃ。はぁ…。
…あぁ、止めよう。これは曲がりなりにも自分で決めたことじゃないか。だが思い出すだけで腹が立ってしまうのは、あのクソ女神の事だ−−−
『貴方には、魔王を倒して頂きます』
手紙には大きくフォントされたこの一文のみ。…ふむ、なるほどサッパリ分からん。
《疑問①》まず、”魔王”とはなんぞや。日本では、いや地球ではそんな生物は未だ確認されていないはずだが…。
《疑問②》というかそもそも、ここ本当に地球か?どっかの草原に落とされたものとばかり思っていたが、辺りに生物が見当たらない。動物は勿論、”木”すら生えていない。でもね、くさだけは、いーーっぱいはえてるよ!…はぁ。ただひたすらに草原である。暑さはそんなに感じられず、むしろ涼しいまである。既に日は出ていて、腕時計を見ると10時09分を示している。
「んーー、どの辺りかだけでも検討をつけたいんだけどな。英語圏ならワンチャンどうにかなるし」
気候から考えて一番当てはまりそうなのは北ヨーロッパ辺りなのだが…。
「ヨーロッパでこんだけ平らな草原だったら、山の1つ2つみえるだろフツー…。マジどこだよありえねー…」
立ち上がって見渡してみるもマジで真っ平らな草原。どこに落とされたかとんと見当がつかぬ。ちなみに吾輩は猫ではない。え、これってガチの遭難じゃねえの。
「ふーー…落ち着け俺。とりまスマホの電波通じりゃgoogle先生が何とか…、あれ?」
制服+ピーコートという何とも高校生スタイルな俺は、ズボンの右ポケットを探ってみる。すると、スマホの代わりに入っていたのは方位磁針!?いつ入れたこんなの!?
急いで逆のポケットを確認する。ケータイは入っていなかったが代わりに−−−
「…あぁ、このお守りは離さず持ってたんだな、俺…」
---ケータイの代わりに、俺の宝物が入っていた。思わず両手でそれを握りしめる。そうすると不思議と心が落ち着いていくのが分かる。
ついでに制服のケツの両ポケットを調べるも、財布以外には何も入っていなかった。
「財布か…。日本円しか入っていない今じゃ、使えるかどうか怪しいもんだが…」
ないよりマシか、と切り替えることにした。あと持ち物って言うと…
「この手紙だけとか…はは、いっそ涙も出ねえよ」
上着や制服の胸ポケットを漁るも何も無い。悲嘆から俺は封筒を宙に投げ捨てた。すると中からもう一枚の手紙が降ってくる。
「あーー…、そーいや手紙に詳しく書くとか言ってたな、アレが」
アレったらアレだよ。何だっけ、あのクソ女神の名前。ていうか聞いたっけ。まぁ、どうでもいいか。
『お使い頼まれてくれてありがと♡それでは説明していきたいと思うのですが…まず、あなたのいる惑星は地球ではありません』
お…女を殴りたいと本気で思ったのは生まれて初めてだ…。何が【ありがと♡】だ、ふざけるな。2行目の面白くない冗談はなんだ。何を言い出すんだこのアホは。
『今の文章を読まれて貴方は【何を言い出すんだこのアホは】とか思ってらっしゃるのでしょうが、よくよく思い出して下さい、私の言葉を。私は初めの方であなたに向かってこう言いました。【沖田悠斗。男。18歳。生年月日は地球人類歴で20xx年5月21日11時38分】だと』
あー…、正直な所、そこら辺あんまり聞いてなかったんだよね…。でもまぁ、仮に言っていたとして気になるのが、この【地球人類歴】の部分だ。まるで、それは−−−
『そう、まるで地球”以外”にも人類がいるかのような話しぶりでしょう。いいですか?貴方達、”地球人類”が未だ知らないだけで、この宇宙にはいろいろな惑星で生命活動が行われています。勿論、”他惑星人類”も』
「−−−他惑星人類…だって…?」
『人類ではなく、我々は”ヒト型”と呼んでいますが。それはさておき、あなたが今立っている惑星はヒト型の生活する少数の惑星の内の一つです。貴方にして頂きたいこと事は魔王を倒し、惑星の”種族バランス”を取り戻すことです。』
あー…、何。これでもね、地球では勉強してる方だったのよ?でもね、お兄さん分からないなぁ。”種族バランス”ってな~に?
『種族バランスとはその惑星に於いて、生命体の比率の事ですが、現在そちらの惑星で1番優位にあるのは”魔族”です。その元締めが先程申し上げた”魔王”なのですが、本来魔族はそれほどの力を持つはずではなかったのでございます。そう、地球でいう現在の”人類”のように』
あぁ、なるほど。地球でいう人間の立場にいるのが”魔族”な訳ね。逆にこっちでいう人間は、地球における他の動物のように活動を虐げられている側にいると。
『現在、地球のみならず他の惑星でも種族バランスの崩壊が起きております。神様や我々女神も原因追求を日々行っているのですが…、貴方のように亡くなられた方の対応などに追われておりまして…。正直な所、手に余る状態でございます』
あの女神の言っていた【日本の中小企業並】って言うのもあながち嘘ではないらしい。同情する気はサラサラ沸かないのだけども。
『魔王を倒してヒト型と魔族が拮抗する程度になれば、そちらの惑星の種族バランスは概ね改善される物だと考えております。差し当たって、まずはライカの街に向かうのが宜しいでしょう。では沖田悠斗様、ご尽力の程、ヨロシクぅ♪』
なるほど。事情はよーく分かった。行くべき場所も分かった。分かったんだが−−−
「ライカの街って何処にあんのかサッパリ分からねーーーーんですけどーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
一時間弱それから格闘し、財布の中の地図を発見したときはマジで泣いた。方位磁針を見ながら歩いて街の門が見えた時は足が震えだした。…あのな、4時間進めど進めど草原って…、なかなかメンタルに悪いんだぞ…(泣)
嗚呼、分け入っても 分け入っても あおいやま by種田山頭火
頭良いキャラをどう出していけばいいのか…。
試行錯誤ですね(泣)
楽しめたら幸いです。
次回もヨロシクぅ♪