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第11話:目覚めてすぐの出来事

 ゆっくりと目を開けると眩しい光が目に入ってきた。確認のために首を動かして、辺りを見回すとここが俺の部屋だということがわかった。しかし、この部屋には俺以外は誰一人としていない。


 とりあえず喉が渇いたし、一階で水を飲もう。


 これからの目的が決まったので、布団から出てベットに足を置き、立ち上がった瞬間になぜか、足に力が入らなくてそのまま倒れた。


「どういうことだ?」


 もう一度、立ち上がるのを試してみると、プルプルと震えているが一応は立ち上がれた。ゆっくりと一歩踏み出す。それだけで倒れそうになった。なんとなく触ってみると足の筋肉がどういう訳か痙攣(けいれん)していることを知った。しかし、無理矢理立ち上がり歩く。倒れそうになりながらも、部屋を出るが、階段を落ちそうになりながら慎重に降りる。


 だから、いつもよりも時間がかかってしまっているがら体を手で支えながら廊下をゆっくりと歩く。やはり、階段と同様でキッチンに行くだけで随分と時間をかけてしまう。


 扉を開けるとこの前に俺が倒れた時にいた連中が、真剣な表情のまま話し合いをしていた。さすがに邪魔をしないように気をつけながら、コップに水道水を少しだけ淹れて、一気に飲んだ。


 使ったコップを拭いていると妙に背後から複数の視線を感じたので、振り向くと少し見回すだけで見事に全員と目があった。全員がまるで石化されたように全く動かない。


「あの……」


 さすがに全員がこのままずっと無言だったら、怖いので声をかけると全員がまるで幽霊でも見たかのような目線を向けてくる。


 もしかして、寝ている間に俺は死んでたりするのか? 確かにそれだと足がまともに動かなくても納得できるな。まあ、死んでいるわけないか。そもそも死んでたら足なんてないし。


「目が覚めたの?」


「ん? そんなに長く寝ていたのか?」


 藍華に聞き返すと頷かれる。


 マジかよ……。


「どれくらいだ?」


「ちょうど二日」


「二日か。なら、そんなに寝ていないな。なら、一体どういうことだ?」


 独り言を呟いているとその場にいる全員に怪訝そうな目を向けられる。


 これは答えた方が良さそうだな。


「筋肉の衰え的には一週間ほど動いていないみたいな感じなんだ」


「それはおかしいよ」


 沙由香がきっぱりと言うとその場にいる全員が何かを考え始める。少し時間がかかりそうなので二階の自分の部屋に向かう。



 自室に着いたので、中に入りすぐにクローゼットの中から私服を出してきて、閉めたクローゼットに手を置きながら私服に着替える。


 二日ということは日曜日なので学校は休みだが、部屋着というものを持っていないので、普通の外出できる服装だ。ちなみに服は今流行りのものだ。なぜならモテたいからだ。


 着替え終わったので、部屋にある勉強机の引き出しを開けて、中からメガネを取り出してかけてから、少し手足を握ったり、離したりしていると衰えていた筋肉が、日常生活に支障をきたさないほどには回復していたことに気付けた。


 なるほどな。メガネをかけていなかったら、覚醒状態になるから、筋肉の方まで回復が間に合ってなかったんだな。これでようやく納得できた。


 少しぴょんぴょん跳ねていたが、少しはあるにしてもほとんど痛みがないような状態だった。


 これなら少しは無茶してもいけるな。まあ、あんまり無茶する気はないけどな。もう、よくわからない状態になることはごめんだ。まあ、命が危なかったら無茶するしかないけどな。とりあえずは完全に治るまでに命に危険が迫ってこないことを祈らないとな。


 いて欲しいと思っているが、いないのはわかっているがここは神頼みをした。そうしないと命の危険が迫ってくるような気がしてならないからだ。


「さて、下に降りるか」


 小声で言ってから、一階に降りてすぐにみんながいるキッチンに向かった。



「あれ? お兄さんってメガネかけていたんですか?」


「あぁ、そっか。碧にはこの状態で会うのははじめてだったな」


「視力悪いのですか?」


「いや。これは伊達メガネだ」


「伊達メガネ? どうしてですか?」


「中二病みたいだが、メガネをかけたら強すぎる力の制御ができるんだ」


「力の制御ですか.....。どうして制御しているんですか?」


「えっ......。普通は制御するものじゃないのか?」


「まぁ、そうですね」


「だろ。あんなこと言うからマジで焦った」


「それはすみませんでした!」


「別にいいよ。気にしなくて」


「そう言っていただけると本当に助かります」


 俺たちがそんな他愛もない会話を交わしていると妙に視線を感じた。その視線を感じた方を見ると藍華以外の人たちが驚いている表情をしている。ちなみに藍華は今にも碧を殺しそうな表情をしている。


 藍華はどうしてあんな表情をしているんだろうか? それに口元をよく見ると何かをぶつぶつと言ってるし。ちょっと耳を澄ましてみよう。


 バレないようにこっそりと右耳に右手をかざしながら耳を澄ましてみる。


「なにあの女は兄さんのことをお兄さんと呼んでいるのよ。兄さんのことをそう呼んでいいのは藍華だけの特権なんだから。それになによあの女は。兄さんと気安く喋りやがって。兄さんは藍華だけのものなんだから。今後一切、藍華以外と喋らせないんだから。でも、それよりも先にあの女を殺さないと」


「…………」


 ここまで酷いと精神科に連れて行った方がいいんじゃないのか心配になってくる。まぁ、こいつの場合は俺がついて行ったら普通に行くだろうがな。俺の言うことなら基本は何でも従うから、そこは助かっているのも事実だし嫌いになれないから困る。多分こいつはそれを知ってて度が過ぎたことをしているんだろうな。


 勘違いかもしれない藍華の行動方法を考えていると藍華が立ち上がると、流し台に向かっていった。


 何をするんだろうと疑問に思っていると流し台の下にある扉を開ける。そこには確か調理器具が置いてある......まさかあいつ!?


「…………」


 無言の藍華の手には包丁を持っている。そして、そのまま碧に近づいている。さすがにそれは見なかったにできないので走るが、少し離れているところにいる俺が追いつくはずもなく碧の背中に突き刺さる......と思いきや、まるでシールドでも張っているかのように弾かれて俺の方に藍華が飛んでくる。ちなみに刃は俺の方に向いている。しかし、おかしなことに動きがスローに見えるので、包丁を持っている方の手を強く握り包丁を床に落とさしてから、飛んでいる速度を落とすために藍華を抱きしめると、動きが普通の速度に戻る。


 要するに藍華を抱きしめている状況をこの場にいる全員にじっと見られる。


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」


 どうしよう? 胸の辺りで息を荒げている変態がいる...。


「兄さんに抱かれている。もう死んでもいい」


 いや、死ぬなよ。とりあえずこのままだとマジで藍華が死にそうだし、放してやるか。


 考え通りに手を放すが、逆に藍華が抱きしめてきた。


 力強っ!? どこからこんな力を出しているんだ?


 あまりの力の強さに動揺していると藍華が服の中に手を突っ込んできた。しかも、体を撫でまわすかのように。


 こそばい!! こそばい!!


「はぁ~。これが兄さんの体。もうダメ。(とりこ)になりそう」


「や、やめろ! やめてくれ! 誰か助けてくれ~!」


「あなたと合体したい」


「ここでそのセリフを使うな! 勘違いしか生まれない! マジで誰か助けてくれ!」


 助けを求めるとようやく助けてくれる気になったようだ。ちなみに助けてくれるのは江口。助け方は藍華の肩を触るようだ。そんなので放れてくれるのかと少し心配になったが、藍華は江口が肩に触れそうになるとまるで猫のように大きく飛びのいた。


「ふしゃー!!」


 なぜか威嚇をしている。


 どうしよう? 藍華の性格がわからない。


「あっ!!」


「ど、どうした?」


「そういえば俺って先生の名前を知りませんね」


 今まで黙っていた先生が俺の言葉を聞いて、自己紹介を俺にしていなかったことに気付いたかのような表情をしている。


 自己紹介をしていないのに俺と密室プレイをしようとしていたのかよ。それにしてもどうしてお見舞いのはずなのに、男を誘惑するような服装なんだ? そもそも、美人と世間一般では言われるような分類なのに無防備過ぎだろ。道中に変な男に襲われても俺は関係ないからな。


「確かにしていなかったな。あたいの名前は都領昇華(とりょう しょうか)だ」


「あたいって一人称、リアルで初めて聞きましたよ」


「なら、あたしの方がいいか?」


「そちらの方がしっくりくるのでそちらでお願いします」


「わかった。今後ともよろしく頼む。改叢君」


「はい。こちらこそよろしくお願いします」


 お互いにあいさつを交わしてから、握手すると今まで通りに都領先生も頭を抑え始めた。


 どうして俺の周りには片頭痛(へんずつう)持ちがこんなにもいるんだろうか? もしかして、ありえない可能性の方が高いけど俺が原因だったりして。


「うっ!?」


 何だ? 突然頭が痛くなった。もしかして、俺も片頭痛持ちだったのか? 初耳だぞ。


「がっ!?」


 今度は心臓が痛くなってきた。俺は心臓病も持っていたのか? やっぱり、初耳だぞ。


 自分の体が心配になっていると、痛みが消えた。さらに俺以外のみんなが急に一斉に倒れた。


「はぁ? どういうことだ? 一体」


 そもそもどうしてみんなが倒れる? 俺とは違い、多分最近はケガをしていないのに倒れる? どうして俺だけが立っていられる? 俺が倒れないと色々とおかしいだろ。とりあえずはみんなを色々な部屋で寝かせないとな。


「アロン。起動して俺のところまで来てくれ!」


 二階にいるアロンに声をかけるように少し大きめの声で言うと一瞬でアロンが俺の前に姿を現した。


『ご主人様。とうとう襲ってくれる気になったのでしょうか?』


「藍華みたいなことを言うな」


 軽く頭頂にチョップをしながら、そう言うと頭の角度を九十度下げた。


「ここに倒れているみんなを二階にある部屋に寝かすのを手伝ってくれ」


『かしこまりました。そして、報酬は?』


 今、アップデートするのかよ。


 アロンはアップデートをする時に基本は報酬を求めてくる。アップデートには様々な種類がある。それによって報酬も変わってくる。


「報酬はなにが良いんだ?」


『そうですね。今回はご主人様に一日甘やかしてもらいたいです』


 なるほどね。今回のアップデートは新しい人格の誕生か。そして、今回の新しい人格は甘えたか。なるほどね。めんどくせぇ。けど、仕方ないか。


「わかった。寝かすのに手伝ってくれるかな?」


『かしこまりました』


 そうして、ようやくみんなを寝かせ始めれた。

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