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※11 おっさん再び

 いくらラハッカ達とアルテノが仲が良いとはいっても、タマを警戒しない理由はない。


 ないが、仲良くしてはいけない理由もない。別にお互いが敵だと決まったわけで無し。


 アルテノとショーコ達が喋っている間にタマはデシャンとリャムレスに話しかけ、堂々と雇用契約の内容について確認したり、先日受け取り損ねていた冒険者登録証をもらったり、アルテノとの関係などかなりぶっ込んだところを突いたりしていた。

 なんでもここにいる三人は帝国にある学園で一緒だったらしい。

 特にクールビューティーといった風なデシャンとアルテノは一応幼馴染みだったとのことだが、長期間全く会っていなかったため学園に行くまですっかりお互いを忘れていたそうだ。

 学園にいる間はそこそこ親しくしていたが、アルテノがとある事情から学園を退学し、こっちで再会するまで連絡も取っていなかったとか。再会してからはビジネスパートナーとして良好な関係を築いているらしい。

 うーん、話しているときの視線や笑い方を見てると、なんとなくデシャン嬢は矢印がアルテノに向いている気がするが、彼すでに結婚してるっぽいんだよね。ショーコとの会話で妻帯者とか言ってたし。学園舞台のギャルゲーで選ばれなかったヒロイン的な立ち位置なのかもしれない。くっ、やはり幼馴染みヒロインはダメだというのだろうか。

 反対にドエスお嬢様風なリャムレス嬢はやたらタマに食いついてくる感じだった。なんだろうねこれ。

 あと彼女、デシャンと同じような垂れイヌミミなのだが、そこに隠れるように角の痕があった。魔毛角ではなく、骨から伸びる本当の意味での角を切り落として処置した痕だ。角持ちビフトアについてはショーコから予備知識はもらっていたが、きっと人に過去有りなのだろう。


 そんなこんなでスメ・シュガ市の中央。領主館と呼ばれる赤茶けた色の大岩で出来た城に着く。

 馬亀車などにあったのと同じ紋章が刺繍された大きな青い垂れ幕を城壁から複数流すその偉容は、城というよりは要塞に近い。

 街に四つある時計塔よりも幾分背が低いが大きく太い円柱を中心に、それよりも一回り小さな円柱を六つ囲むようにめり込ませ、さらに六つの円柱の上から巨木が根を張って外壁を補強しているというファンタジーな作りのそれは、歴代のスメ地方領主がスメ・シュガ市滞在中に寝泊まりし、都市の主要行政機関の中心であると同時に有事の際の最終防衛ラインになる砦なのだから、要塞というのも間違いではないはずだ。


 城内に入り、案内されたのは、広い会議室のような場所だった。


 てっきり内壁は全て石材で出来ているものかと思えば、どうやらあの宿と同じように生きた特殊な木で内部を仕切っているらしく、見えるところは全て木製となっていた。

 長方形のテーブルも床から生える木という徹底ぶりである。種族特性もだが、エルフ耳はあんなキンキラなお城だったというのに、ケモミミの方が本当にエルフしてると関心することしきりだ。


 そこではすでに見知らぬ女性四人と、見覚えのある白ネコミミおっさんの計五人が待っていた。

 若くて綺麗どころばかりの中にベシャジュユさんはなんか犯罪チックですね。


 室内には入る前から固有の魔力が充満していた。

 露骨に罠とかの臭いぷんぷんである。

 だが今のところは害がないので、当然のようにタマもラハッカも室内に入り、待っていた人員とは反対方向の席に着いた。

 アルテノは女性達の中心に空いていたハーレム席に着き、リャムレスはタマの後ろである。

 リャムレスは馬亀車内で、口頭によるものだが通訳として雇ったためにこの位置なのだろう。

 あの車内にいた人間は全員聖神国語が使えたが、城に着いてから魔力質隠匿の説明をする相手が聖神国語を話せないらしいと知り、さっさと契約することにしたのだ。当然あせって契約などしなくてもアルテノやデシャンもいるのだから今回は誰かがやってくれたのだろうが、タマの聞き取りでは彼女の聖神国語が一番滑らかで、ショーコに聞いてみても彼女は帝国語も綺麗だとのことで、タマが帝国語を教わるのにも良いのではと契約することにしたのだ。

 もちろん彼女達は驚いていた。

 当初はどうするつもりだったのかは知らないが、宿屋での騒ぎの後に全員であの馬亀車に乗った状況は、リャムレスがアルテノやベシャジュユ親子と強い結びつきがあることを示しているのに他ならない。ラハッカ達も両方と繋がりを持っているが、なにかしらの理由で敵対した場合にリャムレスは向こう側につくのは確実だ。

 それはつまり、この状況が終わった後でも一部で恣意的な翻訳が入る可能性も示唆している。タマが帝国語の聞き取りは出来ているとショーコが綴ったものの、実際に見ていれば単語しか喋れないのだ。ネイティブの聞き取りは無理だと思われる可能性が高い。

 まあこちらにはショーコがいて、もしショーコ達がいない状況でもログ機能という翻訳チートがあるから帝国語以外を使われても騙すのなんて絶対無理なんだけどね。暗号や手話でも使われたらお手上げだけど、そんなのは最初から対処参考外だし。


 着いてきていた騎士達はこの部屋に入らないようで扉前に待機。

 給仕が茶器の用意だけしていくと、代わりにデシャンがお茶入れを引き継いで各自に注いでいった。タマの後ろに立ったリャムレスにもソーサーごとカップを渡している。お嬢様風の出で立ちなのに立ち飲みである。もちろんカップを摘む手の小指はぴんと立っていた。


 デシャンが茶器を片付け、向こうのハーレム席とこちらの[墨塗り]席との中間に座っていたベシャジュユの後ろに立った。


「失礼しますね」


 アルテノのその一言を合図として室内の魔力が活性化したかと思えば、アルテノの隣に座っていた角の生えたビフトア人女性が魔法を行使した。

 魔法はタマに向かうのではなく、部屋全体を隙間無く覆う無数の透明な六角形となり、壁の奥へと消え去ってしまう。

 タマも俺もその様子を興味深く見ているだけで何もアクションを起こさなかった。ラハッカ達も気にした様子はない。


「今のは帝王結界と呼ばれるものです。帝国貨などにも使われている結界魔法で、これで外部からの諜報が完全に遮断されました。

 今からここで話される内容は、これで外部に出ることはないでしょう」


 帝王結界は帝国貨を超高硬度にする、魔力以外のなにかを利用した結界だ。だが今のを見る限り、起動にはタマの『押し入れ』同様に魔力が必要になるらしい。

 そしてこれを使えるのは帝国の皇族だけだとされており、冒険者登録証などのような物は魔石にその御技を封印し、誰でも任意に起動できる状態にした物なのだそうだ。つまりこの結界が施されている物品はどこかしらで帝国皇族が処理を施した物であり、帝国圏全土で主要通貨となっている帝国貨は全て皇族が作った物だともいえるのだ。

 貴金属そのものが持つ価値と、皇族が結界を使うことで生じる価値。そして実質的な不壊という安心性。これ以上ない信用度の貨幣である。もちろん結界の出力以上で攻撃すれば壊れるが、一般民には一生かかっても一枚壊すことすら不可能だそうだ。地球上でもコインを胸にしのばせお守りとする話があったが、帝国貨は本当に守りの要になるので鎧の下地に大量に縫い付けるのが当たり前な世界なのである。物理的に、暴力的な意味で価値がある貨幣なのだ。そして当然だが、結界の効力を失ったものは貨幣価値も失う。


 今結界を使った女性には隠すでもなく、グフア帝国皇族の証である本当の角が生えていた。薄茶色で小さく可愛らしいサイズではあるが捻れもあるそれは、ツヤのあるツインテ白髪に垂れ気味山羊型魔毛角も相まって、本当の山羊の角のようだった。


 角があっても帝王結界が使えるとは限らないらしいが、エルフ耳がノーレフ貴種の証であれば、あの角はビフトア貴種の証だといえるかもしれない。


 つかみんな美人さんだねホント。そんでもって、全員強い。


 宿屋に来たときからアルテノ達は武装したままであり、アルテノの周囲に侍る女性四人もそれぞれ武器を携帯していた。

 皇族らしき角付き少女はこぶし大の魔石が複数連なった木の杖を持ち、その隣に座る学者みたいな白衣を羽織る黒茶色キツネミミの女性は袖に隠れているが、魔石やらなにやらがちりばめられた腕輪を無数に付けている。あれは強力な魔法を封印した、以前あの聖神国の城で渡された魔法の火の杖のような代物だ。他にもイヤーカフスやネックレスなど装飾品の多くが特殊な魔法具のようである。

 そしてアルテノを挟んで角付きさんの反対側にいるノーレフ貴種と思しきエルフ耳の金髪美女など、大盾にメイスを側に立て掛けている。もちろんしっかりと鎧も着込んでいる。その鎧も龍の鱗や知らない金属で作ったドレスアーマーだ。とりあえず胸部装甲がスゴイ。みっちり詰まっている。

 最後にその隣に座る女性はノーレフ人でもビフトア人でもない、日本の昔話に出て来るような二本角をおでこから生やしたキエル人と呼ばれる人種で、ラハッカのそれとよく似た片刃の両手持ち曲刀を抱えるように持っていた。服飾こそ西洋風だが、濃い茶色の頭髪を一本にまとめて肩にかけ流すその様は武芸者のそれである。

 ベシャジュユを含め全員が高い魔力を有しており、貫禄もある。

 俺から見てもデシャンやリャムレスと同等かそれ以上、つまり最低でも無色(A)級の実力者だと思われた。


 そんな状況で強力な結界など張られると完全に罠にはまった様相であるが、タマもラハッカもお茶を楽しむ余裕があった。

 どうやらデシャン嬢の入れてくれたお茶が宿屋の女将より美味しかったらしい。

 アルテノの結界発言にそうですかとだけ返事をして、デシャンにお茶が美味しいですと微笑みかけている。デシャンも臆することなく、リャムレスから教えてもらった煎れ方で、今でも彼女には敵わないと謙遜していた。タマの後ろでリャムレスがドヤ顔しつつ、デシャンも大分上手くなりましたと上から目線である。


 白山羊の少女が少々不服そうな顔をしていたが、アルテノが苦笑いをしながら、だが警戒を緩めず話を続けた。


「いきなりこのような真似をしたこと、お詫びします。

 ですがこれから話す内容は内密にすべきことだと思い、結界を張らせていただきました。

 お気づきかと思いますが、もちろんそれは今朝の一件における帝国騎士達の件ではありません」


 見ればわかる。

 集まっている人員の詳細はわからないが、この都市の最高戦力に近いもののはずだ。

 それが最初から、招かれた城にすでに集結している。

 結界といい、つまり今朝の三バカの一件で集まったのではなく、三バカの件がなくてもこの状況に持ってくるつもりだったということだ。

 同時にそれほどわかりやすく行動しているアルテノに対して、タマ達はなんらアクションを起こしていない。アルテノがやりたいようにやらせていた。だからアルテノにもこちら側の意思は伝わっているはずだ。敵対の意思はない、と。魔力質隠匿などの技を三バカのときに見せたのも、そういった意味を含めてだ。


「単刀直入にお窺いします。

 ヤマダ・タマヤさん。もしや貴女は聖神教の『最後の神子』ではありませんか?」


 カップを下ろし、タマがアルテノに視線を合わせる。


「……今私はその様に呼ばれているのですか」


 タマの返答に、向こう側でもわずかに驚く様子があった。

 あ、リャムレスさん交互通訳ありがとうございます。以降もよろしくお願いいたします。ログ的には二重になっちゃうけどねっ。


 アルテノが頷く。


「はい。聖神教の総本山、聖地ゴーチェの神島をたった一人で崩壊させた神子。

 その存在を『最後の神子』と帝国では呼称し、秘密裏に関係各国上層部へ通達、目下探索中となっております」


 なるほど、タマがここにいることはまだ帝国に知らせていないと。


 タマの存在が帝国に知られている可能性は当初から想定していた。

 俺たちが予想した転位の内容通りであれば、帝国圏の他にも転位している場所があるはずで、その中に土砂瓦礫だけではなく、あの場にいたノーレフ人や神子が複数含まれているはずだったからだ。

 多くは生きていないはずだ。鱗蟻人の森と同レベルの危険地帯に転位した場合、一人二人で転位して生きて脱出できる者などそう多くはない。さらに転位の直前、タマもだがあの転位魔法陣に魔力を吸われていた。高高度に転位しただけでも致命的だろう。

 だが生きていた者もいるはずなのだ。燃え盛る瓦礫の中から這い出るノーレフ貴種に神子達である。そう簡単には死なない。

 生きて脱出し、だが帝国圏で聖神教の中心地だったらしいあの場からやってきた彼らは、結局ビフトア人に捕まることになる。

 神子の内何割かは魅了効果が消えて帝国に寝返る者もいたはずだし、助命のためにノーレフ貴種の者達も情報の提供などによる保護を願い出ることも考えられる。自ら話すか無理やりかなどの違いはあるかもしれないが、各地で同一の状況と話が出てくれば隠そうとしても中央である帝国にも話はいく。もしかしたら直接帝国のどこかに転位した存在がいたのかもしれない。そうでなくても今でも帝国圏と聖神教は戦い続けていると聞いていたので、戦地で聖神教側に異変が起これば原因を調べるはずだ。

 とにかくそうやっていけば、タマの存在にどうしても行き着くことになる。


 複数の神子と聖隷、そしてノーレフ貴種が居た重要地を、召喚された当日に単独で崩壊させた存在。


 それほどの力を持つ存在が帝国圏内に転位していた場合、ただ事では済まない可能性は高い。だから各国に通達した。

 問題は、


「では、帝国からは見つけ次第なんと?」


 タマの処遇をどうするつもりでいるかだ。


「『各国各地の判断に委ねる。発見の報だけ知らせよ』と」


 うーん、懐が広いのかそれとも問題起こったら切り捨てるつもりなのか。多分後者だなコレ。聞く限り帝国の支配圏はかなり広いので、完全な意思統一もなにもあったもんじゃないだろうし。物騒な意味での実力主義みたいだしなあ。


「そして、スメ・シュガ市代表として、私は貴女と敵対するつもりはありません」


 この状況を見る限り、こっちが敵対しない限りという意味だろう。

 別にこちらとしても敵対する理由もないので、それは願ったり叶ったりである。


「アルトウン辺境伯はどのように?」


「閣下もまた、[墨塗り]の一員に敵対の意思はないと」


 そりゃ良かった。


 この言い方だと昨晩か今朝の段階で辺境伯と連絡を取り合ったのだろう。

 ショーコの話では魔石を消費することで使える遠隔地間での連絡手段が存在するらしいので、帝国からの通達を含め同様の手段で確認をとったものと思われる。


「少し気になったのですが、なぜ私がその『最後の神子』だとわかったのですか?」


 この問いには、ベシャジュユが手を上げた。

 どうやらそれはベシャジュユが見抜いたらしい。


「ええ、ええ、タマヤ様。

 ギルドの上層部にももちろんゴーチェの神島崩壊と転位の触れ込みは来ておりました。

 ですので聖神国語しか話せない点と、[化鯨の髭]の怯えようなどから、すぐさま貴女様が転位してきた神子かもしれないと考えました。問題はそれだけではただの聖神教の神子であるか『最後の神子』であるかの判断が付きかねることでございました。

 ですが転位候補地である森に入っていたはずのラハッカ様が付き添っている点と、光る図形の魔法、そして神子には無いはずの魔毛角をお持ちだという点が、貴女様を『最後の神子』だと判断するに至った理由なのでございます。

 神子は全て魔毛角を持たない、丸耳のノーレフ人でございます。

 もし魔毛角を持っていたり、自分で自在に身に付けることが出来る神子がいて、同時にその神子が強力で特殊な魔法の使い手であった場合、聖神教が対帝国用に使わない理由がございません。

 大昔はもっと短い間隔だったと聞き及んでおりますが、近年の記録では聖神教で新たな神子が召喚されるのは三〇年ほどの間が空いてございました。今回の召喚に至っては三二年ぶりのハズでございます。

 そして三二年前に召喚された神子の能力はすでに確認されております。それ以前もまた戦線に一度出て来た者であれば帝国圏全域で似姿と能力が共有されておりますので、何百年も昔から秘匿されていた神子が出て来たということでもない限り、未確認の能力はあり得ないでしょう。

 そして、似たような図形による強大な魔法の使い手の例はございましたし、変装の異能を持った神子の例もございますが、両方を同時に持つ例は一つもございません。

 となれば必然、タマヤ様は新たに召喚された『最後の神子』ではないのか? という結論に至ったわけでございます」


 なげーよ。でもなるほど。魔法陣と魔毛角が揃っていたからこそ新たな神子だという判断になったらしい。

 さらに森に入っていたはずで、魅了関係が通じず、ツガイを一〇〇年以上求めて彷徨っていたラハッカが妙に懐いている。見たところ現段階ではツガイではないとしても、氏族も一緒になったのだしこれからということもあるだろう。

 確信を得るには少々足りない気もするが、判断材料としては悪くないかもしれない。


「私が確信したのは今朝の魔力質隠匿です」


 と、今度はアルテノが理由を添えた。


「ベシャジュユからその話を聞き、それでもまだ半信半疑でした。

 ですがタマヤさんの魔力質の完全な隠匿技術は、対ビフトア人という点において強力すぎる武器です。

 さらに聞けばそれはあくまで技術であり、修練によって誰でも習得可能だというではありませんか。

 以前からそのような技術があれば、聖神教がその技術を一般化させない理由はない。最低限神子には普及させるでしょう。ですが今まで戦地でそのような戦い方をしてきた話は聞かない。

 だから『最後の神子』だと確信したのです」


(もしかして、その確信がなかったらここまで来た段階で普通の聖神教神子として交渉するつもりだったのかな?)


(そうなんじゃないか? だからラハッカがいるとはいえ、騎士を多く連れてきていたんだろう)


「ただまあ、師匠達と仲良くしているという話を聞いた時点で、我が領では法を犯さない限り拘束の意思はありませんでした。

 師匠を怒らせるような真似は出来るだけしたくないですからね」


 苦笑気味にアルテノが頭をかく。


 おっとどうやらこちらの考えを見抜いたらしい。

 というか当然の思考の帰結か。


 そして今の話で、向こう側にいた角付きちゃんと白衣さんがアルテノを驚いた表情で見ていた。


「ちょっとアルテノっ、完全な魔力質隠匿ってどういうこと?! そんな超高等技術、ゴリ押しばかり聖神野郎共に出来るわけないじゃないっ。奴らは肉体強化か神子の異能しかないアホの集まりなのよ! 帝国でも理論しか出来ていない技術を――」


「アタシもその話を詳しく聞きたいね。しかも誰でも習得可能だって? あれは帝国でも何百年と研究しているけど未だに実現できていない技術なんだ。理論上では隠匿するために魔力の動きそのものを超える速度で――」


 ああ、そういえばその手のことに詳しい人員がいるとか馬亀車内で言ってたっけ。それにあそこであったことを、ここで待っていた彼女達が知るはずはないよね。


 アルテノが助けを求めるようにタマを見てきた。


 この反応を見るに、魔力質隠匿というのは本当に難しい技術だったらしい。

 何気にあの三バカのクロネコはスゴイ奴だったのかもしれないと今更ながらに思うが、どうでもいいことか。


 三バカの件におけるトリックの実証のために見せることは了承していたので、完全隠匿した状態でタマが「これですね」とカップから紅茶だけを持ち上げてみせた。


 さらにクロネコがやった誤魔化す方の魔力質隠匿も「帝国騎士が使っていたのはこうでした」とやってみせる。


 あっさりと実演されたそれを、角っ子と白衣はぽかーんとした顔で眺めていた。



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