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※8 世紀末ファッションモンスター



 ドングリ祭りの後、虫入りドングリを『押し入れ』に置いたまま退出と入室をしてみたところ、どうやらそれによって中の虫が死んだり消滅したりということはないことがわかった。

 つまり何かしらの生物をここで飼育することも出来るということだ。


 次いでにタマに内緒で追加実験を行ったのだが、タマがその存在を認知するか、おそらくはそういうものだ(・・・・・・・)という思考ないし認識がなければ、生物は進入不可能なようでもあった。

 具体的には、追加で回収したドングリにわざと小さな虫入りを持たせたところ、『押し入れ』に入ったらその虫が消えていた。


 もちろん実験後にタマへその内容は報告した。

 事の重要性はすぐにわかったらしく、えらく感謝された。

 気付いたらここで謎生物が増殖していたとか、最悪だもんねえ。微生物類などがどうなるのかは今のところ確認のしようがないが、ドングリのデンプンから何かしらの実験が出来ないか考えておこう。

 なんとなくだが、この辺も『描画』への有機的なアシストと同じものが働いているのだろうし、大丈夫だとは思うんだけどね。


 虫入りドングリは外界に置き、また『押し入れ』に籠もる。

 デカイモムシと同居する気はない。


 腹を満たし、イモムシ排除も済んだところで、タマはユニットバスの床面に置かれた黒い腕を取り上げた。

 焼き入れをしたので血はあまり出ていない。人間でいえば肩から先、上腕部から肘関節そして前腕部、という一連の腕だ。

 たったそれだけですでにタマの身長ほどはあり、形状は似ているものの人間のものとしては非常に大きい。そして皮膚の代わりに黒い甲殻を纏っているという点から、明らかに純粋な人間のものではないことを証明している代物であった。

 すでに俺が透過し、内部構造を確認済みだ。筋の付き方や甲殻と内骨格との繋がりなど、いくつかの差違はあるものの俺の知る限りでは人間の腕と同じような稼動をするように思えた。実際、先の戦闘で見たこの腕の動きもそこまで奇抜なものはなかったように記憶している。

 この腕を基準にすると二メートルほどある黒い槍は短槍扱いだろうか。

 一緒に持ってきた槍は、よくよく見てみると腕の甲殻と同じ材質で出来ているようだった。先端部はより硬度の高い材質のようだが、内部はご丁寧に内骨格と同じらしき白い材質で出来ている。もしかするとあの黒い奴らの体を加工して作られる代物なのかもしれないとタマとは話し合っていた。


 その腕と槍に、タマが魔法をかける。


 『死霊術・死霊兵創造 発動』のログ。

 前に見たのと同じ魔法陣が紫の光を浮かべ、消えた。

 二つが白く輝き融合すると、そこには肩口から先に槍が生えた腕がいた。

 『死霊兵ウデヤリ が誕生しました』のログが流れる。


 五指で腕を支えて立ち、肘関節が逆方向に回るように改造されて自重のバランスを支えやすいようになっていた。

 でも、うん。なんていうかすごい微妙な姿である。尾が肥大化したサソリとかそんな感じだと思えばかっこいいかもしれない、ぐらいのものだが、やはり微妙な姿である。


 名前には突っ込まない。

 どうでもいいけどこの名前ってタマが決めているのだろうか? それともシステムによる自動生成?


 うーん、とタマが唸った。


「成功したけど、やはりステータスはスズキくんと半分になるのか」


(そのようですね。『死霊術』はタマさんのものですけど、死霊兵が『RPGシステム』の恩恵も受けているからこそでしょう。

 ステータスによる強化部分は『RPGシステム』ということですね。だから召喚ペットの制限と同じように、死霊兵も呼び出せば呼び出すだけ、能力値が分散することになる、と)


 試していたのは死霊兵の増産だ。

 もし死霊兵スズキと同じようなレベルの死霊兵を無制限に、とはいわなくても複数揃えることが出来れば戦闘が非常に楽になっただろう。

 だが『RPGシステム』の元ゲームでもそれには制限がかかっていた。

 ゲーム中ではプレイヤーキャラクター含めた六人をパーティーでの人数上限としており、その枠内であればペットを呼ぶことは出来た。だが使役する対象が増えれば増えるほど、そのペット達のステータスが分割されていくことになるのだ。

 もともとプレイヤーキャラクターよりも少ないステータスがさらに低くなり、さらにはスキルも取得スキルポイントに沿って使用制限がかかる。固定効果スキルなどで多少の裏技はあったが、多くの場合で補助としてしか作用しないのがほとんどだ。

 使い勝手が悪くなりすぎることで、特殊環境下でもない限り複数体のペットを連れて戦闘をする人はいなかった。


 それは『死霊術』の死霊兵にも適用されるということだろう。

 現在のところスキルツリーをほとんど進めていないのでスキルには制限がかかっていないようだが、進めていればその分使用制限もされていたはずだ。


「半減だとステータスの補正が厳しいか。

 二体以上を身に纏うという線は微妙かな」


(ですねえ。ゲームだとそれぞれ育てといて状況に応じて送還と召喚でチェンジしてましたけど、今はそこまで育成する余裕ありませんし、一体に絞った方がいいでしょうね。

 ところでこの槍、やっぱりあの黒いのの体組織と同じ物なんですかね? どっかからか生えてくるのかな? 結構強い魔力宿ってますし、何本か回収しておけば使い道あるかもしれません)


「そうなのか。あとであるだけ回収しておこう」


 会話しつつ、死霊兵ウデヤリに簡単な指示を出して不具合がないか確かめる。

 タマさん平然とやってますけど、ウデヤリがぴょこたんぴょこたん動き回る様は正直キモイっす。


「では次かな」


 タマが死霊兵ウデヤリと、戦闘で切れた自分自身の髪とに触れる。

 『死霊術・死霊兵改造 発動』のログが流れて紫の魔法陣が生じ、消えると、さっきと同じように二つが白く輝いて融合した。


 うん。矛先から黒い髪の毛が生えているね。


 満足げに頷いているけど、タマさん何がしたいんですかね? いや実験そのものの目的は知ってるけど、この姿はなにか可哀想に思える。今更とはいえその髪だって仮にも自分の髪だったろうに、そんな扱いでいいのだろうか。


「別存在からの生体部品接続も、大丈夫そうかな」


 パタパタとはたきのように天井部分を叩かせたりと動きを再度確認し、ステータスなどもチェック。

 異常がないと判断し、今度は逆に槍と髪を腕から分けた。

 腕単品で同じようにチェックしたが、これも特に問題なさそうである。ちなみに名前はウデヤリのままであった。


 最後には死霊兵そのものの魔法を解除し、死霊兵ウデヤリはただの黒い腕に戻った。


「よし、スズキくんのステータスも戻っている。

 これで死体そのものではなく一部分からだけでも死霊兵創造は可能であり、さらに元生体部品であればなんでも接続可能であることが証明されたわけだ。

 元生物の範囲定義は追って確認かな。

 今はとりあえず――」


 タマが言うなり、また『死霊術・死霊兵改造 発動』のログが流れ、紫の魔法陣が彼女と腕の前に現れた。

 魔法陣が消失し、次は一人と一つが光に包まれ、そのまま腕の方が分解されて未だ光を放つタマへと集い、消えていく。

 そうして光の中から出て来た彼女の姿は、今までの弱々しい白レオタード姿からは打って変わっていた。


 薄かった胸部ははち切れんばかりに盛り上がり、細かった腕部はキレッキレなバンプアップ具合をみせる筋肉に覆われて、小さかった拳は巌となり黒い指貫グローブで保護されていた。

 肩からは指貫グローブと同じ素材である黒い鱗をつなぎ合わせて作った袖無しジャケットを羽織り、その上からトゲ付きパッドがラフな装いを硬質かつ攻撃的に抑えている。

 異様な白い目出し帽はなくなった。代わりに口元を格子で保護した黒いフルフェイスヘルメットが、堅実な防御力と安全意識の高さを示す。


 衣装を変えた彼女はおもむろにジャケットを掴み、胸元を見せつけるように開くと、そこには七つの星が――


「お――」


(おれの名をいってみろ!)


「……ウルくん、それはさすがに酷いと思うんだ」


(タマさん一人にそんな美味しいことやらせませんよ)


 まあつまりそんな格好なわけである。

 上半身の筋肉は腕の筋肉を分解して作ったのだろう。皮膚がないため見た目酷いグロ状態であったが、表面は不思議と硬質なツヤを放ち、実際に体液などで濡れているわけではないようだった。なんというか、体液自体が強度を持って樹脂のように固まっているとでもいうのだろうか、そんな感じだ。

 そしてその両腕の外側と内側を、内骨格から作ったらしき白い筋が通っている。

 ちなみに下半身は変わっていない。腹部の途中から薄い白レオタードと帯しかないので、変態度はうなぎ登りだろう。


「ふむ。やはりステータス上の表記は変わらないか。

 だが表記は変わらなくても」


 ぐぐっと弓のように引かれた右拳を、無造作に真横に放つ。

 パンッ。

 タマの肥大化した拳撃が空気を割った。

 どばんっ。

 と思ったらさらに酷い爆音によってその音もかき消えた。


 ただ上半身の力だけで繰り出したらしきそれは、着弾点であるタイル張りの壁面を粉微塵にする。その周囲にあったトイレも、バスタブも、伝わった余波だけで吹き飛び壊れる。

 そんな真似をしたタマ自身すら、体格に合わない出力を構えもせずに放ったせいか体が浮き、それから空間を伝播してきた衝撃で踊らされ、おっとっととたたらを踏んでいた。


 微塵にされた壁はそれ以上先が何もない(・・・・)空間だからか粉々になっても崩れることはなく、画面上の映像が巻戻るかのように修正され、十秒も経つ頃には元の姿に戻っていた。


「……穴が空くかなとは思っていたけど、まさかここまでとは」


(壁より先には俺が存在できる空間すらありませんから、力もその向こうへ行かない。だから力が全て壁を伝ってしまったんですよ。それで今の破壊ですね。

 でもこの部屋、シーツなどの件から自動修正されることはわかってましたけど、これほどの破壊も十秒ですか。色々と楽で良いですねえ)


 タイルの隙間に一瞬見えた空間は、真っ黒いなにかでしかなかった。きっと光が進まないから黒にしか見えないのだろう。


「拡張性もあまりなさそうなのは残念だけどね。

 しかしこの壊れ方はなるほど、そういうことか。

 ただそうなるともっと音が反響するはずなんだけれど、そうでもない。これはやはり有機的アシストが働いているということかな? ならどうして破壊力は消滅しない? ここが生活の場だから破壊は想定されていない?

 ……まあそこはいいか」


(ええ。そこはいいです。置いておきましょう)


「予想通りだけど、この鎧は動かしやすい。動かしやすくなっている。

 やっぱり筋肉の動きをさせるのは、筋肉にやらせた方が効率がいいということだと思う」


(骨と筋肉に沿ってラインを形成して、それを動かすようにしただけでも効率化したんですから、当然でしょうね)


 伊達や酔狂だけ(・・)でこんなことをしているのではない。


 死霊兵スズキだけで全身鱗タイツを作ったとき、熱が内に籠もるという大きな欠点があったものの、それでも十分すぎるくらいにタマは動く事が出来た。


 ただそれは、傍目には、だったのだ。


 今のタマの知覚速度は、おそらくステータスのAGIに影響されている。

 化け物MATの次に高いこのステータスは、ゲーム中だとプレイヤーキャラクターのあらゆる速度の実行値に影響を与えていた。

 AGIと、DEXとSTRで攻撃の速度。SESとMNDで魔法や物理スキルのキャスト・リキャスト速度。DEXとSESの両方で回避判定回数に影響を与え、CONとSTRで移動の速度に影響を与えた。

 戦闘に影響する代表的分野だけでもこれである。

 実生活中でもこの敏捷性(AGI)というステータスの影響を受けるとなるとどうなるか、想像に難しくはない。

 単純な話、行動する速度が、思考する速度が、がらりと変わってくるのだ。

 特にタマはMATが元から高かったが、初期にレベルアップと共に上がった自動上昇ステータスは魔法系であった。

 魔法系。つまりMAT、MND、SESの三要素である。MATにはまるで及ばないが、MNDやSESもそこそこ高くなっているのだ。

 ちなみに魔力量(MP)はこれらから算出される、魔法を使う際に消費される数値という、実行値の一つでしかない。

 おそらくはこの内のMNDとSESが影響していると考えているのだが、どうやらタマの知覚速度や思考速度が飛躍的に上昇しているらしいのだ。

 俺の肉体を持たないが故の速度に着いてこられるほど、今の彼女は知覚や思考が人間をやめている。


 いくら白レオタードで体が強化されようと、それを操る知覚系統が、頭脳が認識できなければ砲弾のような速度で迫る黒い槍を見て回避など出来るはずがない。


 逆に言えば、それが出来るほど彼女の知覚速度は上昇しているのだ。

 すぐに馴れたらしいが、いきなりAGIに極振りした逃走時は走馬燈でも見えているかのような速度の切り替わりようで、確実に走る速度は早くなっていたというのに、逆に彼女の脳はその泥のような遅さに恐ろしいほどの焦りを感じていたのだそうだ。


 そして全身鱗タイツだ。


 あれは死霊兵スズキの骨片に死霊術士として魔力を流し込むと同時に指示を出し、間接部周辺の駆動や伸縮を補助することで動いていた。

 その際の出力は死霊兵スズキに設定されたステータスに準拠したものだと思うのだが、如何せん、都度つど駆動部周辺の鱗全てに伸縮変形の指示を出し、なるべくタマの肉体に負担を与えないよう形を変えるという行程を踏むのは、出力と時間に大きなロスを引き起こす結果になっていたようなのだ。

 タマの肉体速度は彼女の知覚速度より非常に遅く、素の肉体を動かすよりも魔力で指示を流す方が数段早い状況だ(ゲーム中にはなかった速度の概念である、AGIとMATによる魔力を操る速度のようなものが存在しているのかもしれないと考えている)。その肉体的速度を補うことが出来る全身鱗タイツでも十分早くなっていたが、それですら満足出来るほどではない。熱放出の問題もある。


 故に考案されたのが帯付きレオタードだった。


 熱放出となるべく変形する箇所を抑えつつも可動衝撃も吸収するため、四肢の鱗タイツを廃し、骨と筋肉に沿って(ライン)を配置しただけのものにした。

 当然防御出来る箇所が極端に減ったが、その分動きは軽快になった。

 特に骨ラインが構造を支え衝撃を吸収し、筋肉ラインが動かすという役割分担をしたことで、単純な駆動速度が上昇したのが大きかった。


 その結果から次に考案したのが、実際に筋肉だった物を筋肉として、骨だった物を骨として使えばどうだろうかというものだ。


 『RPGシステム』のステータスは、対象の存在そのものに付与、もしくは上乗せされている風なところがある。

 骨だけしかない死霊兵スズキという存在にSTR(筋力)の概念があるように。薄い皮膚しか持たない人間であるタマや、透けるほど薄くなった骨片に、物理法則すら無視した強度を与えるVIT(頑強度)が存在するように。

 見えない何かがその上に覆い被さり、本来零であるはずの数字を一以上の何かにしているようなところがあるのだ。


 リアルという意味での現実で考えて、高ステータスによって装備無し素肌の状態でもそこいらの鉄の板を越える強度を持つに至ったキャラクターに、いくらその鉄の板で出来た防具を着せたところで、多少の足しにはなれど、完全な意味で鉄の強度を防御力として上乗せなど出来るはずがない。

 だがゲームなら完全な意味で上乗せになる。1+1=2になる。それはゲームだからこその設定という不思議で不条理な理屈だ。

 そんなゲームのステータスシステムをリアルにした今の状況。ゲームならばゲームだからで終わった設定は、ならばどこかに現実に則した理屈が生じているのではないかと考えた。そしてそれを当て嵌めていったとき、俺はある推論に達していた。

 ステータスによって防御力値が生じるのなら、キャラクターの持つ基礎防御力値をゼロとして、そこにステータスによって生じた防御力値を足しているのではないか? というものだ。

 例えば物理的にはありえない、筋肉も何もないまま動く死霊兵スズキという存在。魔力という摩訶不思議パワーで動くにしても、そこにどうやってSTR(筋力)AGI(敏捷性)の恩恵を受けるのかと考えると、先の通りの上乗せ、もしくは付与という、ゼロへの単純な足し算によって魔力で動かす効率が上がっていると仮定すれば非常に分かりやすくなる。

 それ故に、逆にそこにゼロではないプラス数値、つまり筋肉があった場合の方が実行値が高くなるのではないかと考えたわけだ。


 結果はご覧じろ。先ほどの一撃に繋がるわけである。


 しかしこの結果を受けて、ヘルメットの中でタマはわずかに眉を顰めた。


「ただこれだと熱が逃げないのが問題か。

 魔力で動かしているだけで生きていないから筋肉自体が熱を発生させることは無いようだけど、動いている内に籠もってくる。

 見ての通り体液や細胞が持つ水分すらも死霊術の対象になっているようだから、筋肉表面の水分が蒸発することもないから余計にだ。

 しかし、筋肉もだが、不思議と柔軟性は失われていない。体液については形状記憶された液体金属みたいとでもいうか……。やはり防御力値というのは、硬度を上げるのはなく形状記憶の強度を上げているという感じなんだろうな。

 おかげで殴りつけた事による反動はあっても、それ自体の内部衝撃がほとんどなかった。筋肉や体液が柔軟性の高い強度を持つが故に、そういったものを吸収し逃がしているのだろう。例の有機的アシストも関連しているのだろうね」


 どうやら筋肉表面の硬質なツヤはそういうことだったらしい。

 というか水分すらも死霊術の対象となっているなら、そこにもステータスの恩恵が生じているということになる。柔らかい皮膚にも恩恵があるのだから、不定型な水分にもあっておかしくないのかもしれないが、どうにも不思議なものだと感じてしまう。

 そして蒸発しないということは個体から液体、液体から気体への変化など、つまり相転移による状態変化を魔力かステータスで抑えているということでもあり、そういった現象をダメージとして認識しているとみることも出来た。


(まあそれはそれとして、問題は見た目ですね。近辺に居るかどうかわかりませんが、グロテスクすぎて原住民と出会ったらさっきの黒いモンスター以上にヤバイ奴だと思われかねないですよ)


 平然としているけど、この娘は今虫っぽい謎生物の生肉を素肌に貼りつけている状態だ。他者からの見た目だけじゃなくて彼女自身のSAN値だって心配なのである。いやマジですごい平然としているし、もしかしたら死霊術師としての何かでこういったモノへの耐性が高いのかもしれないけど。


「そのあたりは今回の件も含め、ウルくんがまたデザインしてくれるんだろう?」


 タマは自分のイメージ通りに死霊兵の形状を操作できる。

 だが人体構造などの知識は俺より少なく、デザインのセンスについては絶望的だった。

 それを俺が補い、絵におこしてディスプレイに表示することで、そこから彼女が鎧を作ることが可能になるわけである。


(俺の趣味に合わせて良ければ)


「見て欲しい相手の好みに合わせて、その相手に服を作ってもらうというのも悪くないものだね。

 素材は今ある分だけで足りそうかな?」


(とりあえず槍全部と、一匹まるまるは入らないから、固そうな甲殻部位と柔らかそうな甲殻部位を少しずつ。あと尻尾を一本回収してきましょう。

 その後は適当にご飯を食べて、ゆっくりしてて下さい)


「わかった。他にも使えそうな素材があるから、それも一緒にかな」


(使えそうな素材ですか? そんなのありましたっけ)


「ふふ。ちょっと、ね」




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