エピローグ
気がつくと、私はこの場所に立っていた。
一体ここはどこなのだろうか。
頭もぼんやりして今まで何をしていたか思い出せない。
うーん・・・たしか私は資産家の令嬢で、お母様が公家の血をひいてて、幼馴染のかっこいい彼氏がいて、でもでも突然転校してきたイケメンに一目惚れされてしまったりしていた・・・ような青春をおくっていた気がする。
いや、間違いないわ。
早く記憶を取り戻さな。
いつの間にか目の前に人が立っていた。
身長は180cm位だろうか、体格からして男のようだが、顔は逆光によってよく見えない。
「すいません」
私は恐る恐る男性に声をかけた。
「ここは一体どこなのでしょうか?」
男はゆっくりと、まるで子供に諭すように答えた。
「小説の中の世界さ」
嗚呼・・・質問する人を間違えてしまった。
「し、失礼しましたー!」
くるりと後ろを振り返り早足で立ち去ろうとしたが
ガシッ!
腕を掴まれてしまった。
「あ、ああ、あの、痛いんですけど、それに私行かなくちゃいけないところが」
「へぇ、行くってどこへ?」
男はにっこりと笑った。
ヤられる!私は直感した。
ヤられる前に・・・殺るしかない。
掴まれた方の腕をグイと引いて、もう片方の肘を鳩尾にぶち込んだ。
「ほぐぁ!!」
男の情けない声が響き渡った。
手が緩んだ隙をついて喉にチョップをした後、無防備になった急所に金的をくらわせる。
決まった!
ペッ
「女だからって舐めるからこーなるのさ、次回から相手みて喧嘩売んな」
ああ、すっきりした。
私はもしかしたら美少女格闘家なのかもしれないな。
可愛くて強いって最強じゃないかー私。
こら、マスコミが黙ってないで。うへへへへ
って、いかんいかんトリップしている場合じゃない。
だんだん頭がクリアになってくる。
と同時に周りをゆっくり見渡してみた。
・・・・・・。
・・・。
これはどういうことだろう。
周りの空間はすべてが真っ白だった。
しかもそれ以上に奇妙だったのは、私と倒れている男以外目の届く範囲には何も存在していないのである。
見渡す限り真っ白、空と地面の境界面が混ざり合っているので平衡感覚がおかしくなりそうだった。
いつの間に回復したのだろうか。
男が私の耳元で囁く。
「だから、言ったじゃないか」
やめて
「ここは」
知りたくない
「小説の中だって」