無理です。届きません! できる!できる!絶対出来る!努力と工夫の問題だ。
前回に続きレキたん関連で進めていきます。
今回はレキの獲物であるドラグノフについて。
いろいろと話題になったドラグノフですが一番はなんといっても2000mオーバーの必中距離。
「物理的に無理だろ」とか「ドラグノフの精度で遠距離無理だし」とかいったコメが多かったですね。
ではドラグノフとはどんな銃かを説明しましょう。
まずドラグノフは一般的な狙撃銃のイメージのような遠距離からの支援狙撃を目的として作られた訳ではなく、市街地戦における中距離支援用の野戦狙撃銃として作られました。
第二次世界大戦時、開発国であるロシアは市街地戦における狙撃銃の有用性を認識。そのため戦場で限りなく壊れない信頼できるタフな狙撃銃の開発を始めました。
基礎となったのはAKシリーズ。こちらも泥を被ろうが砂が詰まろうが確実に動作するタフさで有名ですね。
かくして軽くて遠くが狙えてなおかつ撃ちまくっても詰まることのないすばらしい狙撃銃ができました。
がしかし、AKと限りなく近い構造ゆえにAKの弱点もそのまま反映されてしまいました。
すばり命中率の悪さ。
こうなることは端から解っていたことですが改善されることはありませんでした。
理由はいろいろあるそうですが「まあまあ当たる銃と、限りなく当たるけど途中で壊れるかもしれない銃。どっちを使いたい?」ときかれたときに壊れないほうと選ぶ兵士が多かったからでしょう。それに当時の戦場は主に狭い市街地。そんなに遠くを狙える銃が必要なかったのもあります。今の精度で十分なんです。
では話を戻しましょう。
今紹介したドラグノフでレキはとんでもない精度の射撃をしています。しかしレキの腕がどれだけよかろうと弾が一定の方向に飛んでいかないのでは話にならない。
そして2000mオーバーの遠距離射撃。これは設計時想定されていない距離で使用する7.62mm×54Rの能力では到底届きはしない。構造自体に問題があるのである。
たとえるならカラスが鵜のまねをしてもおぼれるだけで魚が取れないように。
「45度上に向ければ何とか届かないかな?」とか思っているひともいるかもしれないがたとえ届いたって意味がない。銃弾の役目は相手を負傷させること。
ひょろひょろの弾が届いたって意味がないのである。
ここまで書いてしまうとやっぱ届かないと思われるかもしれないがそんなことはない!
届かないのなら、届くようにしようドラグノフ。
ずばり平賀さんによる徹底改造だ!
平賀工業の技術力は世界一いいぃぃ!!
間違いなく平賀さんによる改造をうけている。
でなければ絶対に無理!
弾丸の材料や時には特注の弾などさまざまなバックアップをしてくれているらしい平賀さんならきっとできるだろう。
ではいったいどんな改造を施したのか?
まずは薬室と銃身を取り替えなくてはなるまい。
ドラグノフのタフさは遊びといわれる隙間があることによって実現している。
しかしこれは同時に精度を落とす原因にもなっているため、これを取り除かなくてはならない。
火薬の量を増やして、よし! これで届くはず。
一応計算をしなおして……あれ?
とどかない……だと!
7.62mm×54Rの体積に入る限界のガンパウダーを入れてもエネルギー計算的には届かないことが判明。
ん~原因は弾頭の軽さだな。
ドラグノフの説明を見てみると銃口初速は830m/秒となっているこの速度を上回る7.62mm×54Rは弾頭重量9.7gのFMJ弾しかない。これだけの重さしかないと空気抵抗を非常に受けやすい。
遠距離射撃が可能な銃としてバレットなどがあるがこれらの50口径弾は40gから50gほどある。
つまりこのくらいの弾頭重量が無いと2000m先までまともに飛ばすことが出来ないということになる。
しかし7.62mm×54Rの弾頭サイズで50gを鉛で超えさせるのはちょっと厳しい。弾丸に使われていてなおかつ重い物質となるとタングステンぐらいだろうか?タングステンを鉛筆のような芯にしてその周りを銅で覆えば、おお!十分な重さが確保できた。
問題はその重い弾頭をどうやって少ない火薬で飛ばすかだな。
通常のライフル用ガンパウダーではだめ。
52gの弾頭を飛ばすのには20195J以上のエネルギーが必要になる。このエネルギーを出せるものはないか調べたが、やはり普通のガンパウダーでは必要なエネルギーの半分にも満たなかった。
んんん~~~っ!!
これを解決できないとレキの狙撃はうそということになる。
何かいい方法は・・・
ポク、ポク、ポク、チィーン!
よし、爆薬を使って飛ばそう。
手ごろな爆薬としてTNTがある。これを使ったとしたなら……よし!十分すぎるほどのエネルギーが確保できた。
けれども今度は別の問題が出てきてしまった。燃焼速度の速さだ。
ガンパウダーはゆっくり燃えるがTNTは一瞬にしてそのエネルギーを放出する。
このままでは銃身が爆発してしまう。
もうこうなったらやけだ。銃身と薬室をチタン合金と炭化タングステンを半分づつでがちがちに固めてしまおう。
銃身の肉厚1cm薬室の肉厚1.5cmもあれば耐えれるだろう。
こんな銃を作ると相当重くなりそうだが。顔のすぐ横で破裂するよりはましだ。
あれ? ほんとに重くなりそうだな。ちょっと計算。
え~っと長さがあーでこーで質量が……
……だから薬室と銃身だけで――――はあぁぁ!?
366kg!?
重すぎるだろ!
ストックその他もつけると368kgほどだろうか。
これがドラグノフで2000mオーバーをたたき出すための科学的に正しい銃になる。
こんな重い銃を涼しい顔して持ち歩いているレキ……恐ろしい子。
あ! だからいつも体育座りをしていたのか! こんなものをずっと担いでいたら肩こりが凄そうだからな~。納得。
レキは近接戦で銃剣を使っていたがこれをレキの握力をもってぶん殴ればコンクリートでさえ軽々粉砕できるだろう。むしろそっちのほうが強くね?
それに腕力も半端ないから普通殴っただけで一発KO。
もはやどこのターミネーターだよ。
レキは狙撃の腕どころかボクシング界においてもチャンピョンを取れるほどの怪力の持ち主だったのだ。
いかがだったでしょう。
無理やりやっつけなところもありますが計算が大変なのでこんな感じでやていきます。
なお、皆様からこのシーン科学的に見てどーよ?
と、いうのがありましたらそれについても書いていこうと思います。
ただし難し過ぎたら華麗にスルーします。