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ユメソラ  作者: 里依紗
7/10

ろく巡り 〜双子の吟遊詩人〜

 わたくし達は観客、そして傍観者。

 ゲストとして、出演しましたの。

 ああ、そうでした。

 わたくしはライリア。

 わたくしはレイリア。

 もう、彼女の耳に夜想曲ノクターンは流れないでしょう。

 わたくし達が「そこ」にいないから。

 あの子はわたくし達が消えた事に気付いたのかな?

 大方、仕方ないと思ってそうなの……。

 仕方ない、仕方ない♪

 わたくし達の役目は禁譜を謳う事。

 そして……『彼女を導く事』。

 なのでわたくしの、わたくし達の役目は終わったのです〜。

「ご苦労様。ライリア、レイリア」

「「はぁ〜い! 頑張りましたよぉ〜」

「……もう、逝ってしまうのですね」

「はい、けれど」

「わたくし達は、」

「「貴女様を怨んでおりませんから!」」

 わたくし達は笑いました。

 あ、れ……、何かがこぼれて……。

「……ごめんなさい」

「「どうして謝るのですか〜?」」

「貴方達、泣いているのよ」

 ——え? ……まだ、未練があったんだ……。

「あの人の事、よね……。

あの日、わたくしを庇って」

「いいえ、」

「もう、」

「「いいのですよ、貴女様に非はなかったのですから〜」」

「本当に、ごめんなさい……」

 あ! ヤバいです、泣く一歩手前なのです〜。

「だ、、大丈夫なのですよ〜?」

「わたくし達は後悔していませんのっ」

むしろ、感謝しています〜」

「「彼と最期の時間を過ごさせてくれた事を」」

「ライリア、レイリア……」

「「さっ、わたくし達はこれで……」」

「ええ、そうね。

あまり引き止めるのは良くないもの」

 これ以上ここに居ては、又未練ができてしまうかもしれないから。

 ね、レイリア。ね、ライリア。

「……又、来世で会いましょう」

「「ええ」」

「又、」「会いましょう?」

 わたくし達が本当の最後にやりのこした事……。

 ! ありました〜。

「その前に」「彼女を見てきます〜」

「……いってらっしゃい」

 



 わたくし達は、彼女の部屋に居ます。

「……彼は、忘れてしまったのね」

 ええ、きっと彼は忘れてしまいましたの。

「ユメ、を」

 え?

「彼の……幸せな夢は、いびつでした。

……シアワセを望んだという事は、今まで不幸だという事かしら?」

 違うわ、きっと彼は……。

「ごめんなさい、だから……帰ってきて、『——』」

 貴方が、涙を流す必要なんて無いんだよ?

 これ以上は駄目。心を鎮めて?

「いや、だよぉ……、一人は、もう……。

ゴホッゴホッ」

 ああ、……。

 彼女が壊れてしまう。

「力を、使い、過ぎた……様、ね」

 そうよ、だから……。

「でも、知らなければならない。

——彼女、を」

 まだやるというの!?

 そんな事をすれば……。

「っ、キャアアア!!

『——』……。

忘れちゃ、いけな……」

 彼はまだ、忘れてないよ?

 そう言えないこの体はとても歯がゆいわ。

 貴女は絶対に彼女を忘れないからね?

「私は、何も望まないの。

だから、帰ってきて?

ソ…………」

 バタリ、という音がしたかと思うと、彼女はもう居ない。

 ああ、次の扉を開けたのかしら?

 そうね、きっと扉を開けたのだわ。

——さようなら、『永久の姫』君ー—

 さ、逝きましょう?

 そうね、彼の後を追わないとっ!

——本当に、さようなら。

姫君と……——


「双子の夢は、もう終わり。

安息の地で……眠る」

 

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