2話 ソルシダとハーレンを覗いてみる
俺が正式に辺境伯になったから数日が経った。
今日は、俺の側近たちの仕事っぷりを見ることにした。
*
まずはソルシダ。
21歳、つまり俺の16歳年上だ。背が高く、すらっとしていて、見た目だけで頼もしいのがわかる。
顔立ちもよくて、正直羨ましい。んー、100点!
俺もソルシダに生まれたかったなぁ。と思ったけど、こんな性格ではないから、無理だったな。
ソルシダには警備を任せている。
今のところ、犯罪を取り締まるというより、街の安全を整える仕事が中心だ。
道に落ちた瓦礫をどかしたり、夜道に松明を増やしたり、つまずきやすい段差を直したり。
俺と目が合うと、ソルシダは作業の手を止めて、軽く頭を下げた。
「ルカ様、異常はありません。ですが、子どもが転びやすい場所があったので、今日中に直しておきます」
報告・連絡・相談を欠かさないところが、本当に頼れる。
「ありがとう、ソルシダ。よろしく頼むよ」
ソルシダは力強く頷いて、また作業に戻った。
*
次はハーレン。
34歳の元商人で、眼鏡をかけた痩せ型の男性だ。落ち着いた雰囲気で、俺にはまるでお父さんみたいな存在だ。
ハーレンには、街の商業振興を任せている。
今は市場の整備や、商人たちとの交渉が主な仕事だ。でも、一つ大きな問題があるーー通貨だ。
俺たちは親の借金を帳消しにした代わりに、王国の正式な通貨を使う権利を失った。
だから今は、この街でしか使えない独自の貨幣「ルーペ」を発行している。
ただ、このルーペがまだうまく流通していない。市民の中には、王国の通貨の方が信用できると考える人
もいる。
ハーレンはその調整にいつも悩んでいるようだった。
ーー通貨って、本当に難しいんだな。俺も手伝いたいけど、この分野だけは無理だ。
「よっ、フォル!」
と、ハーレンが笑いながら手を振る。
ちなみにフォルとは俺の名前のフォルデンを略してるらしい。
「今日、夕食食べに行こうぜ。」
「ハーおじさん。いいよ!」
本当に気軽なやつだ。でも、頼もしいぞ!
*
最後は、一日中、隣についてきてくれたリーリャ。
今は俺の秘書兼、お世話係をやってくれている。
昔からの付き合いだから、俺たちの信頼感は誰よりも深い。
リーリャには、目安箱の意見の整理や、書類の管理を任せている。
目安箱を設置したかいもあって、多くの市民から声が届くようになった。
リーリャはそれを丁寧に分類して、優先順位をつけてくれる。
「ルカ、今日の目安箱はこれだけ」
リーリャが小さな束を見せてくれる。
「ありがとう、リーリャ。後で一緒に読もう」
「うん!」
*
そして、俺ーールカ・フォルデン。
この町の領主だ。
俺の仕事は……作物を育てることしかない…
【農業】のおかげで、この街の食糧問題はなんとかなりそうだ。
毎日畑に行って、土を耕し、作物を育てる。
正直、領主らしい仕事かと言われると微妙だけど、これが今の俺にできる一番大事なことだ。
今日いろんなところを歩き回り、久々と感じた。
多分俺一人じゃ、何もできなかった。
それでも、誰かを信じて任せることならできる。
それで街が少しずつ動いているなら、領主として悪くない役目だと思う。
そんなことを考えていると空が赤色に染まっていた。
「ルカ、もう日が暮れてきたよ。そろそろ帰ろう」
考え事をしていたら、リーリャに呼ばれた。
「あ、うん」
今日はみんなの頑張りを見て回った。少し疲れたけど、充実した一日だった。
明日も、街のために頑張ろう!
「あ!!」
俺は突然立ち止まった。
「どうしたの?」
リーリャが不思議そうに振り返る。
「しまった、ハーレンとの約束を忘れてた! 」
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