11話 目安箱にたくさんの紙が!
噴水作りにも一区切りがつき、ゆっくりと朝まで寝るつもりだった。
すると、日が出てきたばかりの頃にリーリャが俺を叩き起こしてきた。
「ルカ、目安箱がやばい!!」
何事かと思ったら、なんと目安箱に紙がたくさん入っていたのだ。それもリーリャ1人では手に負えないほどの枚数が。
いつも世話になっているので、リーリャの手伝いをすることにした。
紙を一枚ずつ開けていくと、明らかに多い意見があった。
目安箱には、こんな言葉が綴られていた。
『久しぶりに子供が笑って食事をしてくれた』
『こんなに美味しい野菜、生まれて初めて食べた』
『領主様、ありがとうございます』
一枚、また一枚。
どれも拙い字で書かれた、心からの感謝だった。
いつの野菜だ?
俺が渡したのは領主になったときと…あの時の収穫祭だ!
どうやら、俺のスキルを使うと美味しさも倍増するようだ。これは俺も知らなかった。
確かに、最近、リーリャの料理の腕が上がったと思った。いや、元から上手いからね。勘違いしないでよ。
この事実を知ったことで、二つの選択肢が浮かんだ。
1.この作物を使って外交すること。
→街がすぐ発展するが、住民の失望を招くかもしれない。
2.この作物はこの街だけで売ること。
→街の発展はゆっくりだが、住民の信頼は増す。
街の発展を優先するか、住民の信頼を優先するか。 俺の作物の使い道ひとつで、未来は大きく変わる。
一人では決められなかったため、リーリャ、ソルシダ、ハーレン。そして、マルチェリオにも集まってもらった。
色々な意見が飛び交った。
ハーレンとマルチェリオは前者を推し、口を揃えて言った。
「この街を発展させるには外交が鍵となります。
特に、立地がとても悪く、食料は心許ないです」
だが、リーリャとソルシダは後者を推した。
「この街のみんなはルカを信じて街に残ってくれているのよ。
それに応えなくちゃ」
結局、俺の判断に委ねられた…
でもーー
目安箱の言葉が頭をよぎる。
あの笑顔を、金や権力と引き換えにしていいのか?
そして、俺を選んでくれた人を蔑ろにしていいのか?
「……決めた」
「俺はこの街を愛してる」
その言葉を口にした瞬間、不思議と迷いが消えた。
「みんなが笑ってくれるなら、それでいい。
だから、この作物は——この街の、みんなのものだ」
リーリャとソルシダはこの言葉を聞いて涙を流し、マルチェリオは小さく頷いた。
「マルチェリオさん、俺の作物を売って欲しいです。」
「いいんですか、ルカ君。」
「いつも頼ってばかりなので、少しでも恩返しになればと…」
「任せてください、この町の全員に届けられるよう精進いたしますぞ。」
こうして、街の方針が固まった。
全員の意見が一致する必要はない。だからこそ、トップがいる。それが俺の役目だ。
俺はこの選択が街に良い影響を与えるか不安もあったが、俺は信じている。
きっと街のみんなは、笑顔で応えてくれるだろうと。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
少しでも「面白い」「続きを読んでみたい」と感じたら、下の☆から評価やブックマークで反応してもらえると励みになります。




