9話 噴水を作ろう①
再び整理すると、
1.水源の確保
2.高低差の利用
3.水路の配置
4.循環と排水
これをやればいいんだな。
まず1つ目の水源の確保。
これは難関だ。この土地は枯れ果てている。
もちろん川はなく、地下水はほとんどない。
強いて言えば、歩いて十分ほどの場所に地下水がある。それを利用した井戸が一つだけあるが、当然この街全体を潤すほどの水量ではない。
だから、この土地では作物が育たない。
まぁ、俺のスキルは例外だけど…
「ハーおじ、どうしよう。水源を確保できないじゃん。」
「んー。これはダメだね。諦めるか。」
と言っても『本日はご来店いただき、ありがとうございました〜(蛍の光)』なんて、そんな平和な終わり方をするわけもない。
とりあえず試行錯誤をしてみる。
川もない、地下水は遠すぎる。
そうなると…最後の希望は雨だ!
「そうだ、ハーおじ、雨を溜めればいいんだ!」
俺たち2人は目を合わせて喜んだ。
そうとなれば行動あるのみ。
俺たちは自然に雨が降るのを待つほどバカじゃない。
作物を育てている横で簡易的に雨を貯める実験をすることにした。
ちなみに俺は今、井戸へ水を汲みに向かっている。
え、ハーレンが横にいないって?
ふっ、俺がじゃんけん負けたからだよ!
あいつこういう時、運がいいんだよな。
でもさ、俺、子供だよ?あいつ34歳なんだよな。
俺は水を汲み街に戻ってきた。
ハーレンを呼び出し、実験を開始した。
1.地面に穴を掘り、水を流し込む。だが、一瞬で染み込んで消えた。
2.次に粘土を焼いて器を作ったが、じわじわと底から水が抜けていく。
この流れで、俺は焦りすら感じていた。
完全に手詰まりかと思った、そのときだった。
ハーレンがドヤ顔してこちらを見てくる。
「ひらめいたぞ、油を塗るのはどうだ?」
一瞬、俺は黙り込んだ。
そんなので本当にうまくいくのか?
でも、他に手はない。
「……それしかないか。やってみよう」
焼いた粘土の表面に油を塗り、水を垂らした。
すると、水面は揺れるだけで、減らない。
そして、水面は動かなくなった。
何が起こったかすぐには理解できなかった俺はしばらく黙ってそれを見ていた。
しゃがみながら観察していた俺たちは、気づいたときには立ち上がり、ハーレンがこれを持って走り出た。
すると「うおっっ!!」と言う声が聞こえて振り返ると、少女に水をかけてしまっていた。
俺はその泣いてしまった少女と家族に謝罪して、なんとか許してもらった。
いや、立場逆や。ハーレン年齢詐称しているんじゃないか?と言いたいとこだが、ハーレンには活躍してもらったから言うのはやめておこう。
噴水への道はまだ遠いが、少なくとも水を“溜める”目処は立った。
まずは、一歩前進ってところだな。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
少しでも「面白い」「続きを読んでみたい」と感じたら、下の☆から評価やブックマークで反応してもらえると励みになります。




