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ダイヤ博士とウンチ博士

作者: 星賀勇一郎





ある大学で二人の博士が研究をしてました。

ただの石ころをダイヤモンドに変える装置を研究するダイヤ博士。

食べ物を入れるとウンチが出てくる装置を研究するウンチ博士。


華やかな研究のダイヤ博士は人気もあり、いつも助手たちに囲まれて、楽しそうです。

一方、ウンチ博士は周囲の人たちに変態博士とののしられ、一人の助手もおらず、ひっそりと研究をすすめてました。


研究に使う食べ物を買うお金を節約するためにウンチ博士は研究室の裏に畑を作り、野菜をたくさん育てています。

泥だらけになって畑を耕すウンチ博士を、ダイヤ博士はバカにしていました。


ウンチなんて作る装置を研究して一体何になるんだい

ダイヤモンドはお金になる

石ころをダイヤモンドに変えて大金持ちになろう


ダイヤ博士は大勢の助手たちとキレイな研究室で研究をすすめていきます。


ある日、研究室にクサイ臭いが流れ込んで来るので、窓の外を見るとウンチ博士が研究で失敗したウンチのできそこないを畑にまいていました。

ダイヤ博士は怒ってウンチ博士の畑に行きました。


ウンチ博士、何をやってるんだい

君のせいでぼくの研究室がウンチくさいじゃないか

だいたいウンチなんて機械がなくても人間が毎日しているモノだ

そんなもの作る機械が何の役にたつんだい


ウンチ博士はニコニコしながら鼻をつまんでいるダイヤ博士に言います。


ウンチはこうやって畑の肥料になります

肥料を与える事で美味しい美味しい野菜ができるのです


ダイヤ博士は自分のやっている事とあまりにレベルが違うウンチ博士を見下し、その後一度も話をする事はありませんでした。


ダイヤ博士の研究は石ころをダイヤモンドに変えるという華やかなもので、研究費も助手も集まり、あっという間に成功して装置を完成させました。


ダイヤ博士も助手たちもそのダイヤモンドで大金持ちになりました。


一方、ウンチ博士のところには研究費も助手も集まらず、毎日毎日畑を耕してばかり。

それでもウンチ博士はニコニコと笑顔をたやしませんでした。


それから何年かたったある日、ダイヤ博士は慌てて研究室に飛び込んできました。

ダイヤ博士の装置で作ったダイヤモンドが元の石ころに戻ってしまったのです。

ダイヤ博士の石ころで作ったダイヤモンドを買った人たちが、怒ってダイヤ博士のところへ押し寄せます。

ダイヤ博士は研究室の窓から逃げ出して、ウンチ博士に助けを求めました。


ウンチ博士はいつものようにニコニコしながら、自分の研究室にダイヤ博士をかくまいました。


こっちにダイヤ博士はこなかったかい


ダイヤ博士の元に押し寄せた人たちが、畑に肥やしをまくウンチ博士にたずねます。


私はずっと畑に肥やしをまいてたのでわかりません


ウンチ博士はそう言って、クサイ肥やしをまき続けました。

そのにおいにがまんができなくなった人たちは逃げるように帰っていきました。


ダイヤ博士は助かったと胸をなでおろし、ウンチ博士におれいを言いました。


ウンチ博士はニコニコと笑ったまま、ダイヤ博士を見送りました。

しかし、ダイヤ博士は心労で倒れてしまいました。


それからダイヤ博士は病気になり何年も病院で寝たきりになってしまいました。


ある時、病院の先生がダイヤ博士に言います。


ダイヤ博士、あなたの内臓はストレスでボロボロだ

しかし、その体を救ってくれる研究者を見つけたよ


ダイヤ博士は喜びました。


そんなすばらしい研究者がいるのか、いくらでもお金は払う

その研究者を今すぐ呼んでほしい


翌日、先生はダイヤ博士の病室に一人の博士を連れてきました。


それはダイヤ博士がよく知っているウンチ博士でした。


先生、じょうだんはやめてください

このウンチ博士はウンチを作る研究をしている変態博士です

ぼくの体を治せるはずがない


ウンチ博士はニコニコと笑ったまま、ダイヤ博士の病室のすみに立っています。


先生は声を出し笑いました。


ダイヤ博士、あなたにはウンチ博士のすばらしい研究が理解できなかったのですね

ウンチ博士が研究していたのはウンチではなく、ウンチを作る仕組みだったのです

食べ物を装置に入れてウンチに変えることができれば、人間の内臓を再現したのと同じではありませんか


先生は続けます。


ウンチ博士の研究は内臓の病気で苦しんでる人の役に立つ、すばらしい研究です

石ころをダイヤモンドに変える研究なんかより幸せになれる人をたくさん生み出す事ができます


ウンチ博士は先生の言った言葉にニコニコしながらうなずいています。


その言葉にダイヤ博士はわれに返りました。そしてウンチ博士が一人でコツコツとやっていた研究が偉大なものであることに気づきました。


ダイヤ博士はウンチ博士に謝りました。


ウンチ博士、今まで本当にすみませんでした

あなたの研究と比べると、ぼくの研究なんてままごとのようなもの

体が治ったらぜひ、ウンチ博士の研究を手伝わせてください


ウンチ博士はニコニコしながらうなずきました。


元気になったダイヤ博士は、りっぱな建物になったウンチ博士の研究室の裏の畑で肥やしをまいています。


畑でできた野菜を収穫するウンチ博士はニコニコしながら、真っ赤なトマトをダイヤ博士に手渡しました。


そして二人で額に流れる汗を拭き、ニコニコしながらそのトマトをほおばりました。








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