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第参夜 逢魔に響く鎌の音

平安の都は依然混沌の渦に呑まれていた

混沌の中心では妖怪の王と堕天使がいがみ合っていた


しかし、いつしかその均衡は崩壊し、妖怪の王と堕天使の間で戦争が起こった

長引く戦争の末、両者は深い傷を負い

いつの日か決着を付けようと、自らの生命を現世へと封印した


逢魔町の中心にある時計塔には、街を一望できる展望台が存在する

その展望台に一人街を見つめる少女が居た


少女の背後には青い鬼の様な怪人が佇んでいたが少女は異様な気配に気が付き、ゆっくりと振り返る


少女「そこにいるのは、誰?」

青い鬼「おや、感づかれましたか?」

少女「私は、幼少期から霊感があるからね」

青い鬼「ほう?されば好都合です…」

少女「好都合?なんの事?」

青い鬼「いえいえ、此方こちらの話ですよ」


青い鬼の様な怪人はキョロキョロと辺りを見渡し、少女に言った


青い鬼「貴女、深い絶望を抱いていませんか?」

少女「さぁ?どうでしょうね」

青い鬼「隠していてもわかりますよ?それ程までに暗い顔をしていらっしゃるのですから…」


二人がそんな話をしていると、目の前に布切れの様な怪人が何匹も現れた


少女「何これ…布切れ?」

青い鬼「あぁ、また出ましたか…瘴気の力は恐ろしいですね」

少女「瘴気?」

青い鬼「えぇ、貴女のご友人を蝕んだ原因…」

少女「その話詳しく!!」

青い鬼「おや?興味がおありですか?」

少女「当たり前でしょう?」

青い鬼「フフフッ…でしたら、私に協力して頂けるのであればお話しましょう…」

少女「信じて良いのね?」

青い鬼「えぇ、この身に誓って…」

少女「わかったわ」

青い鬼「契約…しますか?」


青い鬼はそう言って少女の前に手を差し出す

差し出されたてのひらの上には御札の様な物が浮かんでいる


少女「契約するわ…」

青い鬼「交渉成立…」

少女「この御札は?」

青い鬼「その札に貴女の想いを送り込んでください」

少女「こ、こう?」

青い鬼「素晴らしい…よもやこれ程とは…」

少女「何これ?躰に力が…」

青い鬼「その札を腰に…」

少女「腰?こう?」


少女が腰に札を貼り付けると、札は瞬く間にドライバーに変化した


青い鬼「それでは、逆さ五芒星ごぼうせいを空中に描いてください」

少女「逆さ五芒星?」

青い鬼「はい…」


少女が空中に逆さ五芒星を描くと大きな魔法陣が完成し少女の躰を包み込んだ

その途端、青い鬼は蒼い炎へと変化し少女の躰を覆い尽くした


少女「何これ?熱い…」

青い鬼「さぁ、貴女の力私にお見せ下さい…」


青い鬼がそう言った直後、炎が晴れ、中から羊の様な顔にキョンシーの様な体をした怪人が現れた


少女「何?この姿…これが私?」

青い鬼「ほう?西洋の妖ですか…興味深いですね」

少女「西洋?何言ってるの?」

青い鬼「さぁ、奴らが来ますよ?」

少女「へ?奴ら…って!?」


少女が質問するよりも先に布切れの様な怪人達は一斉に少女目掛けて襲いかかってきた

少女は咄嗟に両手を前に突き出す

その瞬間少女の前に大きな十字架を模した鎌が出現した


少女「何これ?大鎌?」

青い鬼「そのようですね?」

少女「よし、これなら闘える…」


少女は息付く間もなく襲いかかってくる妖達を次々となぎ倒していく

最後の一匹を倒した直後、少女の躰は蒼い炎に包まれてしまった


炎が晴れると、セーラー服の少女と青い鬼が現れた


青い鬼「初陣でこれ程の力を発揮できるとは…想像以上ですね…」

少女「で?さっきの話の続きは?」

青い鬼「あぁ、瘴気の件ですか?」

少女「そう。その瘴気とやらを詳しく聞かせて」


青い鬼は瘴気について語り出す

主の治める国に突如開いた鬼門から溢れる瘴気によって躰を蝕まれた民が暴走して、この逢魔町に出てきて閉まっている事を

そして、少女が暴走してしまった民達を解放する事ができるという事を


少女「私にそんな事できるの?」

青い鬼「えぇ、私の力をあれ程まで引き出せる貴女ならば必ず…」

少女「ふーん?」

青い鬼「貴女さえ良ければ、この先貴女に力を貸して頂きたいのですが…」

少女「いいわよ?霊華を救えるならどんな事でもやるわ」

青い鬼「ありがとうございます…では、暫くの間貴女に憑依させて頂いてもよろしいでしょうか?」

少女「憑依って、貴方幽霊なの?」

青い鬼「いえ、私は妖怪でございます」

少女「妖怪に憑依されたら、呪われそうね」

青い鬼「そんな、滅相も無い…現世を訪れた私にその様な力はございません」

少女「悪さを働かないなら文句は言わないわ」

青い鬼「それでは、今後とも宜しくお願いいたします…えぇ…お嬢さん?」

少女「私は夜鴉六華よがらすりっかよ。貴方の名前は?」

青い鬼「私は茨木童子と申します。以後、お見知り置きを…」

六華「それじゃあ、宜しくね茨木童子!」

茨木童子「宜しくお願いいたします。六華様」

六華「敬称なんて付けなくていいわ

六華様なんて言われると恥ずかしいから」

茨木童子「わかりました。六華」


会話を終えた二人は、次なる妖怪退治に備えて帰路に着いた


不気味に響く謎の声「うむ、懐かしい匂いがするな

この気配は奴の配下か…面白い、この躰と融合するまでの間楽しませて貰おうでは無いかフハハハハハハッ!!」


次回 仮面ライダー逢魔ヶ

酒呑童子「百鬼夜行が始まるやもしれん」

禍刻「あれは…六華か?」

六華「大丈夫、私ならできる」

同時に響く声「同じ時代に転生しておったか…」


絶望の先に待つ未来は、終焉か安寧か

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