第二拾陸夜 追憶の平安京
禍刻「お前は、もしかして伊邪那美か?」
蒼髪の女性「はい、その通りでございます」
六華「って事は、ここの何処かに伊邪那岐もいるの?」
伊邪那美「いえ、あの人はここにはいません」
禍刻「まぁ、そりゃそうだよな…本来なら、禊をしに現世に逃げ帰ってるはずだしな」
六華「それもそうか」
伊邪那美「少しよろしいでしょうか?」
禍刻「ん?どうした?」
伊邪那美「お二人は、ご自身の正体についてご存知でしょうか?」
六華「私達の…」
禍刻「正体…?」
伊邪那美「ご存知無いようですね…それではご説明しましょう」
禍刻「頼んだ」
伊邪那美「ここより先は、本来人の身では立ち入る事のできぬ場所ですが、お二人にはこの先に進んで頂かなくてはなりません」
六華「人の身で入れないのなら、私達も入れないんじゃ?」
伊邪那美「そうです、確かにお二人は人間…しかし、人の身でありながら妖怪の力を繰る者達です」
禍刻「それは、どういう?」
伊邪那美「先程頼光から言われませんでしたか?」
六華「人間の身体として産まれてないって話?」
伊邪那美「はい、お二人の中にはもう一つの魂があります…それ故に、お二人は人の身であるにもかかわらず、この地獄に蔓延する瘴気の濃霧に適応できたのです」
禍刻「なるほど、さっき頭に響いてきた声はその魂か」
伊邪那美「その通りです」
六華「でも、なんで声が聴こえてきたの?」
伊邪那美「それは、お二人が真に覚醒する瞬間が近しいからでしょう」
禍刻「覚醒?」
伊邪那美「お二人の身体は、いわば器です。それ故、お二人の力が高まれば高まる程、器にその力が蓄積されていきます」
六華「その器が満杯になれば覚醒って事ね」
伊邪那美「ご名答、それではこれ以上の時間も惜しいので先に進んで頂きましょう。この扉より先は追憶の世、お二人の潜在意識の中にある記憶…」
伊邪那美がそう言うと、彼女の横に扉が出現する
禍刻「俺達の潜在意識…」
伊邪那美「それと、どうやら晴明の手で追憶の世に異変が生じている様です。どうか、お気をつけて」
六華「わかった」
二人は扉の中へと入っていく
扉の中へと足を踏み入れた瞬間、目の前が真っ白になり周囲に都が現れた
都の中心地と思われる場所には、巨大な塔が建っており、その下で二人の男女が会話をしていた
神父「こうして酒を酌み交わすのも何度目だろうな?」
花魁「さぁねぇ?妾は数えておらぬぞ?」
神父「知っておる、少し感傷にふけっておっただけだ」
花魁「本当かねぇ?まぁ、妾はアンタと酒が呑めるならそれでいいけどねぇ」
神父「そうだな、お前と呑む酒ほど美味いものはない」
花魁「嬉しい事を言ってくれるねぇ?」
神父「最初に言い出したのはお前だろう?」
花魁「ハッハッハ、そうだったねぇ」
神父「しかし、この平安京も平和になったものよのう」
花魁「だね、妾達が住み着いた時は戦が絶えなかったのにねぇ」
神父「とはいっても、その戦を起こしていたのは我等の配下達だがな?」
花魁「そうだっけねぇ?先に仕掛けてきたのは人間達ではなかったかえ?」
神父「そんなような気もするな、もう忘れてしもうたな」
花魁「そうだねぇ、なぁルシフ」
ルシファー「どうした?空亡よ」
空亡「この平安京で、共に平和な世を築いて行こうぞ」
ルシファー「そうだな、人間も妖怪も関係ない、人と妖怪が共に生きる世界を…」
━━これが、俺(私)達の記憶?━━
場面は切り替わり、とある城の縁側
和装の男と武士が対談をしていた
武士「晴明殿、此度の対談に時間を作って頂き、感謝致します」
晴明「顔を上げなさい頼光、それとそんなにかしこまらないでください」
頼光「は、すみません。以後気をつけます」
晴明「直ぐにとは言いませんよ、では話に移りましょうか」
頼光「はい、晴明殿は都を騒がせている妖怪達についてどうお考えでしょう?」
晴明「それは、どういう意味でしょう?」
頼光「言葉の通りにございます」
晴明「そうですね、強いて言うならば人と妖怪は相入れぬ存在…」
頼光「と言いますと?」
晴明「人間にとって、妖怪は畏怖の対象であり、恐怖の象徴でもあります」
頼光「そうですね」
晴明「それ故、私は人と妖怪は互いに相入れぬ存在だと考えています」
頼光「なるほど」
晴明「では話を戻しますが、何故その様な事を聴くのです?」
頼光「それが、どうやら妖怪達は人と妖怪が共に生きる、いわば共存する事を望んでいる様でして」
晴明「人と妖怪の共存?笑わせないでください、先程も言った通り妖怪は畏怖の対象、人々がそんな要求を飲むとでも?」
頼光「それが此度の対談の内容なのです」
晴明「あぁ、それで私の元に妖怪退治の依頼が来たのですか」
頼光「恐らく」
晴明「仕方ありませんね、ならばその依頼引き受けましょう」
頼光「宜しいのですか?」
晴明「何がです?」
頼光「その依頼を行えば、過去に起きた戦よりも多くの者達が命を失う事になりかねません」
晴明「頼光、貴方は私を誰だと思っているんです?」
頼光「は、失礼しました。天下の安倍晴明殿が相手とあらば、妖怪達など人間の敵ではないですね」
晴明「よろしい、では行きましょうか」
そう言って、晴明は頼光をつれて平安京の中心へと向かっていった
次回 仮面ライダー逢魔ヶ
晴明「妖怪に宣戦布告をします!」
空亡「その程度の力で我等に戦をしかけたのか?」
頼光「アンタが酒呑童子か?」
赤鬼「人間がこの俺に何の用だ?」
絶望の先に待つ未来は、終焉か安寧か




