第弐拾伍夜 輪廻の回想地
八岐大蛇と対峙する二人は、八つの首から繰り出される猛攻に苦戦していた
禍刻「ちっ、隙が全くねぇ!」
六華「ホントに八塩折之酒無しで倒せるの!?」
禍刻「さぁな、けどやるしかないだろ?」
六華「そうだけど、この猛攻をどう掻い潜るの!?」
禍刻「確かになぁ、何か手立ては…」
禍刻がそう言った直後、ノイズの様な音と共に聞き慣れた声が聴こえてきた
閻魔「お前達、聴こえるかい?」
禍刻「閻魔様?」
閻魔「戦いながら聴いておくれ」
六華「はい」
閻魔「今、お前達の所へ酒呑を遣わせた」
禍刻「酒呑童子を?」
閻魔「あぁ、酒を持たせてね」
六華「酒?それってまさか!?」
閻魔「あぁ、八塩折之酒さ」
禍刻「助かります!」
閻魔「恐らく、そこへ到着するのにあと数刻と言った所かな」
六華「わかりました、それまで何とか持ちこたえます」
閻魔「頼んだよ、二人共」
閻魔から八塩折之酒を運んでいるという知らせを受け、二人は八岐大蛇の猛攻を何とか耐えていた
その数刻、酒呑童子が八塩折之酒を持って到着した
酒呑童子「待たせたな二人共」
禍刻「来たか酒呑童子」
六華「ホントは自分で呑みたいたでしょうに」
酒呑童子「気にするな、地獄にいればいくらでも呑める」
禍刻「ならいいか」
六華「よし、とりあえずアイツの前に八塩折之酒を置こう!」
禍刻「そうだな」
禍刻はそう言って八塩折之酒を八岐大蛇の前に差し出した
すると、八岐大蛇は八つの首を巨大な酒樽に入れ、浴びる様に呑み始めた
酒呑童子「さぁ、これでどうなるか…」
禍刻「眠ってくれりゃいいが…」
六華「そう簡単にいくかな?神話だと八つの首それぞれに八塩折之酒を呑ませてたし…」
酒呑童子「まぁ、物は試しだ」
三人がそんな会話をしている内に、八岐大蛇は八塩折之酒を飲み干し眠ってしまった
禍刻「まさか、本当に酒樽一つで眠っちまうとは…」
六華「お酒に弱すぎじゃない?」
酒呑童子「式神を融合させて生み出したもの故に本来の酒豪さはないのかもしれぬな」
禍刻「なるほど、そういう…」
六華「禍兄、今の内に倒しちゃお!」
禍刻「そうだな、コイツが起きる前に仕留めないとな」
そう言って、禍刻は刀を浮遊させ八岐大蛇の八つ首を斬り落とした
その瞬間、八岐大蛇の身体は瘴気の霧となって消えていった
六華「漸く倒した…」
禍刻「相変わらず、瘴気になって消えるのか」
六華「式神といえど、聖獣と違って普通の妖怪と遜色ないだろうしね」
酒呑童子「禍刻、刀が光を放っていないか?」
禍刻「ん?本当だ」
酒呑童子の言うとうり、禍刻の持つ刀が眩い光を放っていた
六華「なんで急に光り始めたんだろ?」
禍刻「酒呑童子なんか知ってるか?」
酒呑童子「いや、我にもさっぱりだ…」
禍刻「酒呑童子にもお手上げか、そういや前に酒呑童子が天下五剣は元々一つの刀だって言ってたよな?」
酒呑童子「あぁ、その事か確かに伝承にはそう記されていたな」
六華「って事は、もしかして偽物とはいえ八岐大蛇を斬った事に関係する?」
禍刻「可能性はあるかもな…」
酒呑童子「ん?禍刻、刀の形状が変化していないか?」
禍刻「え?」
六華「これって、天叢雲剣?」
酒呑童子「そうだな、この形は確かに天叢雲剣だ」
禍刻「やっぱり、八岐大蛇を斬った事で形が変化したのか」
酒呑童子「そう考えるのが妥当かもしれぬな」
六華「よし、八岐大蛇も倒したし、早く冥府へ急ごう!」
禍刻「そうだな」
三人は、急ぎ冥府へと向かった
冥府への道は、青白い炎が灯っていた
冥府へ着くと、そこには見慣れた風貌の男が立っていた
晴明「もう来たのですか?」
酒呑童子「漸く追いついたぞ晴明!」
晴明「おやおや、酒呑童子も一緒ですか」
禍刻「いい加減正々堂々戦いやがれ!」
晴明「生憎、私はまだやる事がありましてね?」
六華「また逃げるつもり?」
晴明「逃げる?私は逃げも隠れもしませんよ…今はまだ、やらなければならない事があるだけですから」
禍刻「言わせておけば、ごちゃごちゃと御託並べやがって!」
晴明「威勢がいいのは結構ですが、いいのですか?」
酒呑童子「何が言いたい?」
晴明「冥府へ用があるのでしょう?」
禍刻「お前、まさか!」
晴明「そのまさかですよ!妖怪の王の記録、私に都合が良い様に書き換えて起きましたから…」
六華「そんな…」
禍刻「王の記憶を書き換えた…だと?」
晴明「精々、足掻いて見せてください!」
そう言って晴明は霧のように消えてしまった
酒呑童子「まさか、既に書き換えられていたとは」
禍刻「どうすんだよ…」
酒呑童子「仕方ない、一度戻って閻魔様と共に書き換えられた場所を探ってみよう」
六華「頼んだよ?」
酒呑童子「任せておけ」
二人は、酒呑童子と別れ冥府へと入っていった
冥府へと入った先には、蒼髪の女性が立っていた
蒼髪の女性「ようこそ、冥府へ…お待ちしておりました」
次回 仮面ライダー逢魔ヶ
花魁「共に平和な世を築いて行こうぞ」
神父「人と妖怪が共に生きる世界を…」
━━これが、俺(私)達の記憶?━━
晴明「人と妖怪は相入れぬ存在…」
絶望の先に待つ未来は、終焉か安寧か




