第拾参夜 怪異蠢く百鬼夜行
ベルゼブブ「確かに、お二人が異界に行けばこの逢魔町はまた死骸が現れるでしょう」
禍刻「なら、どうするんだ?」
天鈿女命「私とベルゼブブの力を霊華に譲渡します」
霊華「譲渡?」
禍刻「俺と六華みたいに霊華も戦うってことか」
ベルゼブブ「御明答」
六華「けど、私と禍兄二人でギリギリくらいだったのに、霊華一人で何とかなるの?」
天鈿女命「その件は、ベルゼブブの力が役立ちます」
ベルゼブブ「私は、分身体を生み出す事ができるのです。まぁ、それ以外にも能力はありますがね」
酒呑童子「分身体か、それはどれ程の量を?」
ベルゼブブ「幾らでも増やせますが、現世では力が制限されるので八つ程ですかね」
茨木童子「八つですか、随分と制限されているんですね?」
六華「ベルゼブブって確か蝿の王って呼ばれてる悪魔でしょ?」
ベルゼブブ「よくご存知で」
六華「だったら、その制限もある程度納得できるというか…」
禍刻「確かに、あの七罪にも数えられるくらいの大悪魔だもんな」
霊華「けど、なんでベルゼブブは異界から現世にやってきたの?」
ベルゼブブ「私も天鈿女命と同様、主を探しにきていたのです」
禍刻「ベルゼブブの主か…確か堕天使ルシファー」
ベルゼブブ「そうです、ルシファー様を探すために現世を訪れた次第でございます」
六華「で、そのルシファーは見つかったの?」
ベルゼブブ「はい、漸くルシファー様を見つけたのです」
酒呑童子「して、ルシファー様は何処に?」
ベルゼブブ「それが、詳しい場所はわからないのです」
茨木童子「わからない?」
ベルゼブブ「はい、恐らくまだ完全に力が戻っていないのでしょう。故に、私も気配を上手く感じ取れないのです」
禍刻「ならさ、もしかして天鈿女命も主をみつけたのか?」
天鈿女命「左様でございます。しかし、私もベルゼブブと同様主の気配を上手く感じ取れず…恐らく、何方もこの逢魔町にいらっしゃるのは確実なのですが…」
霊華「じゃあ、二人の特徴は?」
酒呑童子「天鈿女命の主は我ら妖怪の王空亡様だ」
禍刻「空亡って、バカでかい太陽の妖怪か」
茨木童子「はい、空亡様は不気味で、巨大な太陽の様な妖怪です」
ベルゼブブ「ルシファー様は、美しい容姿で六枚の大きな翼を有した方です」
六華「なら、早く探しに…」
六華がそう言いかけると、周囲が激しく揺れた
禍刻「なんだ!?地震か?」
酒呑童子「いや、この気配は百鬼夜行だ!」
六華「百鬼夜行?今までこんな揺れなかったでしょ!?」
茨木童子「これは、今までのものとは違います」
天鈿女命「これ程の百鬼夜行となると、放っておけば逢魔町が崩壊するかもしれません」
禍刻「まじか!?」
稲荷「この気配…もしかして逢魔大学からでは?」
六華「それやばくない?私達の教え子が危ないじゃん!!」
酒呑童子「お前たち!行くぞ!!」
禍刻達は病院を後にし、急いで大学へと向かった
その道中は、先程の比にならないほどの瘴気が蔓延していた
禍刻「ここ、逢魔大学だよな?」
六華「そのはず…」
霊華「なんか、禍々しい」
酒呑童子「百鬼夜行は彼処だ!」
酒呑童子が指さしたのは、大学の正門だった
そこには、前進すること無く妖怪達が整列していた
天鈿女命「何故百鬼夜行にあの妖怪達が!?」
ベルゼブブ「あれはもしや怪異では?」
禍刻「怪異って、都市伝説とかのやつか」
六華「確かに花子さんとかみたいなのいる」
怪異、それは人々の恐怖が具現化した妖怪の一種で俗に言う都市伝説である
そして、今回の百鬼夜行にはその怪異達しか居ないのだ。怪異と呼ばれる存在は、現代の妖怪であり古来より存在する妖怪よりも力が強い傾向にある
その怪異が死骸となって百鬼夜行を形成している事で、逢魔町全域に瘴気が蔓延してしまっていたのだ
酒呑童子「これは、今までのように宝玉を破壊するわけではなく怪異を全て倒す事が必要か」
禍刻「早いとこ片付けないと!」
霊華「けど、こんなのどうやって」
六華「その為に私達がいるんだよ霊華!」
禍刻「行くぞ酒呑童子!」
酒呑童子「承知」
六華「茨木童子!」
茨木童子「御意」
━━━━変身━━━━
《逢魔!定刻…鬼!》
《白日!定刻…鬼!》
霊華「二人とも何その姿!?」
天鈿女命「貴女も戦うのです」
霊華「でもどうやって?」
ベルゼブブ「まず五芒星を描きな」
霊華「こう?」
天鈿女命「次に、五芒星の中心に十字架を」
霊華が五芒星の中心に十字架を書き入れると、眼前に鉄扇が二つ現れた
天鈿女命「さぁ、その鉄扇に貴女の想いを」
霊華「私は、お兄ちゃんと六華の助けになりたい!」
霊華が鉄扇に力を溜めると、霊華の持っていた鉄扇は霊華の躰に取り込まれた
霊華「鉄扇が身体に!?」
ベルゼブブ「さぁ霊華、準備はいいか?」
霊華「大丈夫!」
天鈿女命・ベルゼブブ「さぁ、その力見せてもらおうか!」
二人はそう言うと、翠と紅の炎に変わり麗華の躰を包み込んだ
霊華「う、熱い!」
炎が晴れると、霊華の躰は蝿の様な尻尾と羽を持ち口元を布で覆った女性の様な見た目へと変化した
禍刻「あれが霊華の変身か」
六華「私達とは大違いだね」
霊華「これで戦えるんだよね?」
天鈿女命「はい、準備はいいですね?」
霊華「勿論」
ベルゼブブ「なら、手を前に突き出してみな」
霊華「こう?」
霊華が腕を突き出すと手の中に先程の鉄扇が出現した
霊華「これさっきの?」
天鈿女命「さぁ、その鉄扇で怪異達を!」
霊華は、鉄扇を用いて怪異達を次々倒していく
禍刻「俺達が苦戦してた怪異達をあんなに簡単に」
六華「すごい…」
霊華が最後の一体を倒すと、逢魔町に蔓延していた瘴気は忽ち晴れていった
霊華「これで終わり?」
天鈿女命「まさか、これ程容易く怪異を倒せるとは」
禍刻「スゲェじゃん霊華!」
六華「カッコよかったよ!」
霊華「えへへ…」
酒呑童子「よし、百鬼夜行は片付いた」
茨木童子「では、異界に向かいましょうか」
六華「異界って何処から行くの?」
天鈿女命「大江山です」
禍刻「なら、早いとこ向かおうか」
禍刻と六華は大江山へと向かうためバイクを召喚した
霊華「バイクか、私は徒歩移動だったりする?」
ベルゼブブ「ご安心あれ私は姿も変えられるので」
禍刻「マジか、酒呑童子より有能じゃね?」
酒呑童子「まぁ、悪魔だからな」
そして、ベルゼブブがバイクへと変化すると一同は大江山へと向かいバイクを発進させた
暫くして、大江山へと着くと異様な空気が漂っていた
禍刻「なんか、嫌な気配がする」
六華「だね」
天鈿女命「さぁ、ここが異界に繋がる場所です」
霊華「此処が異界に繋がる場所だったんだ」
天鈿女命が洞穴へと近づいた瞬間、頼光と清明が現れた
頼光「また会ったなぁ?妖怪共」
禍刻「頼光!」
霊華「頼光!?」
清明「異界には行かせませんよ?」
酒呑童子「まだ邪魔をするか!」
清明「此方としても、異界に行かれると色々困りましてね?」
禍刻「知った事か!」
六華「異界に瘴気を撒いたのは貴方達なんでしょ?」
頼光「だったらどうする?」
霊華「貴方達を倒す!」
清明「そうですか、新しいお仲間も加わりましたか…ですが、関係ありません!貴方々には此処で死んで頂きます!」
天鈿女命「皆さん、来ますよ!」
清明「さぁ!行きなさい死骸達よ!!」
同時に響く謎の声「おのれ…陰陽師め!何処までも邪魔をしおって!」
次回 仮面ライダー逢魔ヶ
禍刻「なんて数の死骸だ!キリがない!」
頼光「それじゃ、異界で待ってるぜ?」
天鈿女命「それでは、異界の封印はお願いします」
巨大な蝿「漸く来ましたか」
絶望の先に待つ未来は、終焉か安寧か




