退治完了!
ルウガの膝はがっくりと折れて地面につき、同時に持っていた双硫剣を落とす。
そのまま平伏すかのようにバタリと力無く地面へと倒れ込んでしまった。
「ハッ…ハ……く…る……し…」
途切れ途切れに息をし、目が虚になりルウガの視界がぼやけ始める。
「…い…き……が…」
「ち…チャンスだ!行けっ!殺れ!!」
モノノケは手加減無しに動けないルウガにこん棒を振り下ろす。
それ所ではないルウガもなんとか立ち上がろうとするが、息が出来ず呼吸もままならない。
「オォオオ!!!」
こん棒が振り下ろされたかと思いきや、吹っ飛ばされたのはモノノケの方だった。
先程モノノケが立っていた所には、ルウガが忘れもしない人物がいた。
眼帯に空色の髪、藍色の瞳。
間違いなくレオンだ。
「!……レ…オ…」
「良いから喋るな。しっかりしろ、ゆっくり深呼吸するんだ」
レオンはサーベルを腰にしまい、町とは全く正反対に優しくルウガを抱き起こして声をかける。
ルウガも言われた通りにし、ゆっくりと深呼吸をした。
息は大分落ち着いたが、まだ目が虚なままだ。
「…よし…そのまま安静にしてろ」
レオンはルウガを壁に寄り掛からせ、サーベルではなく腰にかけてあった弓をとり矢を引き絞って放った。
矢は真っ直ぐモノノケの頭部に命中し、モノノケは淡く光りながら消えていった。
レオンはもう一本の矢を引き、ブラッター団の頭へ向ける。
「ひっ…!」
「大人しく降参しろ。これから言うことを聞け」
頭は無言で頷いた。
「まず塔を撤退しろ。ブラッター団は解散させ…二度と俺達に突っ掛かるな!」
「は…はぃぃ…」
「引け」
頭はおたおたと情けない声を上げて団員達をたたき起こし、レオン達を残して最上階から消えた。
レオンはまだ息が荒いルウガに近寄り、膝をついて顔色を確認する。
「良くなったか?」
「う…うん…」
「そりゃ良かった」
ふぅ、とため息をつき、レオンは辺りを警戒した。
幸いまだモノノケ達が来る気配もなく、すぐに警戒を解くことができた。
「あ…」
「あ?」
ルウガの発した言葉をそっくり返すレオン。
本当はありがとうと言いたい所だが、意地を張ってしまって出て来なかった。
「な…何で俺がここって…?」
「…さぁな。たまたまだ、たまたま」
こう言ったレオンだが、実は橋を渡った所からずっと後をつけていたとは流石にプライドが許さなかったのだろう。