試練の追憶塔へ
反レイヴンとは、文字通りレイヴンを快く思っていない組織のことだ。
そしてブラッター団と言うのは、その反レイヴンの組織の内の一つなのだろう。
彼らは悪い噂が絶えない。
レイヴンに対する反抗を行い続けているのだ。
もちろんレイヴンと直接対峙しても勝てる訳ではない。
だからこそ、間接的に悪事を働いている。
「あんた…!その髪止めは…!!」
「うん。俺もレイヴンだよ!試練の追憶塔はどの辺にあるの?」
「ここから南へ真っ直ぐの所に…だが…」
「任せて!必ず追い払って見せるから!」
そう言ってルウガは、家主の話を最後まで聞かないままモルバナの町を駆けて行った…。
残された家主がそっと呟く。
「あのブラッター団は、何人ものレイヴンを潰してきてる…あんな小さい子一人じゃ勝ち目はない…」
…***…
「ここが…試練の追憶塔か…」
ルウガの目の前にそびえ立つそれは高さ1500メイトあり、全50階にもなる迷路の塔だ。
中にはかなりのモノノケが潜んでおり、階が上がる毎に強くなっていく。
旅人や修行に来る者が己を試す場所としては調度良い。
「よぉーし…絶ぇっ対に、ブラッター団を潰してやる!」
ルウガははりきって塔の中へと入って行った。
中も様子がおかしかった。
モノノケが一匹もおらず、すいすいと最上階へ目指すことができた。
しんとした辺りの冷たい空気に、ルウガは寒気がした。
もしかしたら…ここにいた全てのモノノケが合体…
ルウガは首を横に振り、マイナスな思考を無理矢理追い払うと、最上階の扉を開いた。
開いたと同時に目に入って来たのは、約300人ものブラッター団員達だった。
予想以上の夥しい数に、ルウガは目を見張った。
そこに頭らしき男がいた。
もじゃもじゃの髭にダッサイバンダナを頭に巻いた爺だ。
「んだてめぇは?」
「頭ッ!こいつレイヴンすよ!」
「また性懲りもなくレイヴンが来たか…やっちまいな!」
「「おぉおーー!!」」
数の多さに戸惑っていたルウガも落ち着きを取り戻し、腰におさめていた双硫剣を取り出して臨戦モードに入った。
「こんな奴ら…レイヴ化するまでもねぇ!」
ルウガは両手で握った二つの剣を奮振るい、次々と襲い掛かって来る団員達を薙ぎ倒して行った。
実力の差は見えていた。
圧倒的にルウガが勝っている。
だが団員達が倒され続けているのにも関わらず、頭は顔色一つ変えていなかった。