最悪なお供これ上なく
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そう。
ルウガはレイヴ化をしようとしているのだ。
レイヴ化をすると、レイヴンの象徴である金髪と金眼は赤く煮えたぎり、いつもの十倍近い力を解放することができるのだ。
特にルウガは、父親の血筋によって他のレイヴンよりも強力なレイヴ化ができる。
「覚悟しろよ…!レイ「そいつを離して貰おうか」
レイヴ化に成りかけた所で、一人の青年がルウガの胸倉を掴んでいた手を振りほどいた。
左目に眼帯をし、右目は海の色と同じ藍色をしていた。
髪の毛は綺麗な空色で、整った顔立ちとスタイルが、ルウガの隣だと余計に目立っている。
淡く赤色がかかり始めていた髪や眼は、レイヴ化を止めたためいつも通りの金色に戻っていた。
「立ち去れ。関わるな」
青年が鎧男達に睨みを効かせると、相手は顔をしかめっ面にしてその場を後にした。
ルウガは青年と向き合った。
向き合うと、青年とルウガの身長差が目立って見えるが、問題はそこではない。
青年はルウガの全身を見た後、ようやく口を開いた。
「お前がルウガだな?」
「なっ!?」
「エレフ村の村長からお前の護衛兼お供を依頼されたレオルド・レッドだ。レオンと呼べ」
ペラペラと紹介され、ルウガはとりあえず驚きながらも自己紹介をしようとした。
「おっ俺は「良い。名前は分かっている。それ以外の情報は必要ない。ある程度村長にも聞いたしな…。修行といってもお前は何もしなくて良い。発作とやらが起きてしまうからな」
「…………(イラッ)」
人の話も聞かずに説明を坦々としたレオンに、ルウガは内心かなりの腹を立てていた。
どうせ後でわざとはぐれるものの、ここまで身勝手な奴と、少しの間一緒にいると考えただけで、ルウガは吐き気がした。
拳を握りしめながら、顔に怒りマークをつけた笑顔でルウガは言った。
「なあ、旅に出る前に…お、俺トイレ行きたいなー」
「仕方ないな、分かった。一緒に行ってやる」
はぁ!?
と、叫びそうになったが、言いたい気持ちを押さえ、ルウガは再び笑顔(怒りマーク付き)で言う。
「い、良いよ。俺一人で行ってくるからさ」
「ふん…どうせ俺とはぐれようって魂胆だろ。見え見えなんだよ。嘘を付くならもっと上手く付いてみろ、ガキが」
「な…なんだとぉ~!?」
ここまで嘲笑われてキレない人はまずいないだろう。
ルウガは今まで抑えていた何かがぷつりと切れたように、レオンに向かって怒鳴り始めた。