味覚はそれぞれ
「あ、遅かったね~!」
「ルウガ…なにこの料理の量…」
「え?何が?」
席に帰ると、テーブル一杯に広がった料理に囲まれているルウガの姿があった。
レオンは呆れながらルウガに聞く。
「なんだよその料理…」
「だって適当に頼んだらこうなった」
「俺様の国の料理とはちょっと違うな…」
・幸魚とトマヤ草のムニエル
・チョウカイザメのソテー ラクスハーブ添え
・ハカラ牛とサクラのステーキ
・恋々草と蒲笠の塗しサラダ
・リヤ麦のライス
などなど…
「ご注文有難うございます。お客様、お会計は五万と三千円になります」
「うん」
「どんだけ高いの頼んだんだよ!!」
ルウガはレオンの突っ込みにはお構いなしに、まず近くにあったソテーに手を伸ばした。
ぱくっ
もぐもぐもぐもぐ…
うっ…
「…マズイ」
「はぁあぁ!?」
「口に合わなかったのか…」
「…いらない、レオン食べて良いよ」
「馬鹿じゃねーの」
「あ~あ、俺こっちのご飯食えねーよ…」
「ま、味覚とか差があるんだろうさ」
どんまい、という奏蒼の声にはルウガには届いていたが、ルウガは空腹で泣く自分のお腹を押さえて落ち込んだ。
「俺どうしよ~…」
「うーん…俺が作ってみっか。待ってろ」
「えぇ~!?」
「レオンが作るのか?」
…***…
そして、ルウガ達の前に奇妙な料理が置かれた。
「うっわぁー…まっずそ~」
「ぶっ殺すぞ!!!?」
「まぁまぁ、食って見ようぜ」
そう言って、奏蒼は見た目が可笑しい料理を口に運んだ。
ぱくっ
もぐもぐもぐもぐ…
うっ
「ぶーー!!ゲロマズー…トイレ行ってくるわ…」
「そんなに酷いのか!?」
「食ってみるか…」
ルウガも料理を口に運んだ。
ぱくっ
もぐもぐもぐもぐ…
もぐもぐもぐもぐ…
「早く感想言えよ!
「マズイ!」
ってさ!!」
「……ぉぃしい…」
「え?」
「美味しい!!見た目アレだけど、さっきの料理より美味しいよ!!」
「見た目アレ…喧嘩売ってんのか!」
「こーんなゲロマズが旨い?国王様にこんなもん食わせんな!」
「いつ帰って来たの?」
奏蒼は汚いものを見るような目でレオンの料理を見たが、ルウガはどんどんレオンの料理を口へ運び、レオンは嬉しそうに笑っている。
「俺…初めて旨いって言われた…!!」
「当たり前だ」
*今日の教訓*
レオンの料理は、どうやらレイヴンの口にしか合わないらしい…皆気をつけてよう