レオンの素性
「おい、俺も会話にいれてくれ」
「あ、ごめんごめん」
「すまねぇ…お?」
奏蒼は眼帯をつけているレオンの顔を見詰めるやいなや、突然レオンの腕を引っ張ってトイレの方へ向かいはじめた。
「え!?二人共どこ行くの?」
「便所!お前は飯食ってろ!」
「な、なんだですか!?奏蒼」
混乱しているレオンを無理矢理連れ、トイレにつくと奏蒼は真剣な顔つきで話す。
「お前、絶滅したはずの海竜貴族だろ?」
「な!!」
「片目隠してるし、髪の毛の色とかでな。国王の知識を舐めんなよ?」
「………」
海竜貴族とは、カタカナで読むとミリュウ。
海の竜の子とも言われ、髪の毛が蒼く瞳が青と赤色なのが特徴。
邪の気を払う力があり、また生き物の生命力やミラ、力を増幅させる特殊な力もある。
そのために…
「だから、海竜貴族は奴隷や私的な目的で狩られた。見た目も美しいお前等は、狩られ徐々に数が減り、絶滅したはず…」
「……」
「お前は貴重かつ重宝級の存在だ。…どうやって生き延びた?」
奏蒼の問いに少し間を置いたが、レオンは淋しそうに控え目に答えた。
「助けてくれた人がいたんです…レイヴンで、捕まりそうになった所を…」
「レイヴンか…どのくらい前だ?」
「えと、今から七年前位です。んで、しばらく村で療養して貰って…そこで…」
「ルウガの事を知った」
驚いて口を開けるレオンに、奏蒼は意地が悪そうに口元を上げて言った。
「違うか?多分その時にお供の契約をしたんだろ?行く場所がなければここにいれば良い、ただし一つ頼まれてくれないか?…な感じじゃないか?」
ここまで当たると気持ち悪いが、レオンは反抗せずそのまま続けた。
「その通りです。怪我が完治した時に、ルウガの事を知って、ルウガも俺と同じで両親を失って…旅に出させたいけど、一人じゃ危険だからって俺が付いてくれないかと言うことで…」
「ふーん…」
「俺は眼帯をつけて、自分を鍛える旅に出た。結構実力がかなり上がった頃に、村長から連絡が来て、今に至ります…」
レオンはふぅっと息を吐き、奏蒼を真っ直ぐに見る。視線に気付いた奏蒼は軽く驚いた。
「どしたよ。改まっちゃって」
「俺が海竜貴族だってことは、黙っといて貰えますか」
「言うっていったらどうするよ」
「……ッ」
「…言わねーよ。そんなヒデー奴じゃねーし。ルウガが待ってる、行こうぜ」
レオンは、奏蒼に弄ばれた気がしてならなかった…。