金持ちは自覚無し
「この人がジパーグの現国王奏蒼様!?」
「あぁそうだぜ?凄いだろ~かっこいいだろ~俺を褒めたたえろ!!」
「てか、なんでその奏蒼様がここに?」
「スルーか…」
奏蒼はがっくりしながらも纏わり付いていた女性達を返し、場所を変えてから話し始めた。
「俺がこの国に来たのは、この周辺にある『砂漠の秘宝』を探しに来たんだ」
「砂漠の秘宝?」
ルウガは踵を返して質問する。
「そ。名は『マリアネック』。それは、砂漠の隠された洞窟にあるって聞いて、わざわざ海を越えて来たんだ」
「なんでまたそれを?」
「ちょっと…な」
「へぇ~」
ルウガは返答したかと思うと、お腹を鳴らして少し顔を赤くした。
「レオン、俺腹減った」
「はぁ?奏蒼様におごって貰えば?」
「俺金無いよ?」
「「え?」」
信じられない事をストレートに返し、驚いている二人を無視して奏蒼は続けた。
「なんか気が付いたらなくなっててさ~、マジうける」
「えぇえぇえ!?」
「スラれたんですか…」
「まあこれも何かの縁だしさ、ちょっくら一緒に旅させてっつ~事で!」
「お金ないって…そんな俺もそんな持って無いっすよ…」
「俺も俺も~…」
レオンとルウガは同じことを言って互いの財布をだす。
が。
「ルウガ!何が
「持ってない」
だよ!!しっかり持ってんじゃん!!」
「え!?これで持ってる方なの!?」
「当たり前だ…これ軽く数えても一千万はあるぞ…」
さすがの国王の奏蒼でも、ルウガの持ち金には驚いた。
本人であるルウガはキョトンとしたまま財布を机からしまう。
「んー…なんかじいちゃんが
「これくらい持ってて当然、むしろ少ない」
って言っててさ、取り合えずお小遣は全部持ってきたんだ」
「これなら困らねぇな!安心安心♪」
「で、俺達は貴方の旅にお付き合いするはめになるですね…」
レオンは奏蒼に残念そうな声で言った。
「そうだ。つーか有り難く思えよ?国王様のお付き合いなんてなかなかできないからなっ!」
「望んでないです」
「あっそ。てか俺の事は奏蒼でいいからな!敬語とか様なんかつけんな、うざったい」
「じゃ、奏蒼」
いくら許しが出たとはいえ、いきなり呼び捨てにするルウガはどうかと思うレオン。
「俺ジパーグに行ってみたい!!だから、奏蒼が帰る時一緒に連れてってよ!」
「ん?いいぜ」
なぜか一人だけ会話に取り残されてしまったレオンであった…。