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あきらめる
「俺、母さんのこと、あきらめようって思ってるんだ」
「お前の母さん、病状が良くないのか?」
「そうなんだ。そもそも俺がおかしかったんだよ。治療薬は疎か、病名だってない。意識だって戻らない。機械に生かされてる母さんを見るのには…もう耐えられないんだ。それに…」
「それに?」
「…もう数日の命だってさ。運命って残酷だろう?治験だって認めてくれやしないんだ。もうどうしようもないんだよ」
「お前今言ったこと覚えてるか?」
「?ああ、母さんがもう長くは持たないと」
「それよりも前だ」
「…」
「”明らめる”んだろ?責任持てよ。お前の母さん以外にも、その薬を喉から手が出るほど欲しがってるやつがいるんだよ」