思い出した…
「···カ····イル···カイル大丈夫?」
声が聞こえてきたのでそちらに目をむける。
「母さん大丈夫だよ。」
母の呼びかけに答え体を起こす。
「それなら良いけど。」
母はそう言うとお店の方に歩いていった。
それを見送りった後、体を起こしながら現状把握につとめた。
自分の名前は「カイル」で今年10歳になったばかりのロノック村の少年だ。元冒険者の両親との三人暮らしで父は狩人、母は薬師として村で生活している。
普段は母の手伝いをしながらたまに父の狩りについていき薬草採取をする生活だ。
とまぁ「カイル」と言う少年の記憶は簡単に言うとこんなところだ。
ここからは前世?とよんでいいのか分からないが思い出したことを話していこう。
名前は佐藤輝一で40手前の会社員だった。しかし不況により会社は倒産…。急いで職探しをしていたがそんな時に昔の知人に会いそのまま飲みに行き昔話に花が咲き大いに盛り上がった帰りに暴走車にはねられて死んだようだ。
なんとも呆気なくつまらない人生の幕切れだなと思いつつも今の状況は好きでよく読んでいたラノベの異世界転生と言うやつなのだろう。しっかりと気持ちを切り替えてこれからこの「カイル」として楽しく生きられるように色々とやっていこうと思う。