第17話 少女愛顛末記!
スクールディティクティブが依頼を受けた今回の一件。
小さな田舎町ではそこそこのニュースになった。
チンピラ二人がアジトとして利用していた廃工場は徹底的に調べられ、ひったくりで被害届けの出ていた鞄などが大量に見つかった。
更に捕まった二人はトルエン中毒で、工業用トルエンをこの二人に売りつけていた売人も芋づる式に捕まった。
幾度となく雑に色を塗り替えられ犯行に使われていたビッグスクーターも窃盗車だったのでチンピラ達は当分の間シャバに出てこられないことだろう。永遠と刹那の二人にも暫くは復讐等の心配もない。そもそも顔も制服も隠していて見られていない筈だ。
……が、毎度の事ながら永遠と刹那は地元の警察署に呼び出されていた。
場所は署長室。
「刹那ちゃーん、もうちょっと気をつけないと、おじさんの力じゃそろそろ庇い切れないよ」
署長が廃工場で押収された刹那のハイキャパ5.1Rのマガジンを「ゴトリ」と机の上に置いた。
「はーい、気をつけマース。じゃ、もう帰っていい?」
「あ、お父さんにまたサバゲしようって伝えといて。あと、刹那ちゃんもしっかり勉強して早くこっち側においで。実弾撃ち放題だよ」
「嘘だー! 警官なんてそんな発砲出来ないし、寧ろしちゃダメでしょ?」
「バレたかー。美人過ぎる警察官! とかいってうちの署の知名度上げたかったんだけどなぁ」
——所変わって永遠たちが通う高校の屋上。
「寺西、今回はお前にスマホ預けてたからブロマイド用の画像ねーぞ」
「俺も今回は通常の依頼だけで充分だよ。刹那ちゃんには軽蔑されちゃったけど……」
「ただ、報酬は申し訳ないけどしっかり払ってもらうぜ。今回かなりリスク高かったし」
そう言って指を三本立てる永遠。
「三ってことは15枚分かー。そんなに出すならせめてブロマイド欲しかったけど〝陰キャの星・隠れた学園のアイドル刹那ちゃん〟を危険に晒しちゃったし、しょうがないかぁ」
永遠がバックアップのスマホを操作しながら「お、これなら」と言って依頼主の寺西に画面を見せる。
画面一杯に汚物を見る様な目で寺西を見下ろす刹那の顔が拡がっている。
「それ欲しい! 何か新しい境地に辿りつけそう! もう刹那ちゃんに見下されて萌える道しか残ってないよ」と寺西が悟りに達した所で屋上ドアが勢いよく開け放たれ、刹那がこちらにツカツカと歩いて来た。
「変態! アンタ模型部なんだって?」
刹那にまたしても見下されて新天地へと加速していく寺西は恍惚の表情。
「は、はいぃッ!」
「じゃーアンタ、私の専属ガンスミスになりなさい!」
「えぇっ! そっち関係はやったことないよっ!」
「これは命令なのっ! 拒否権無いのよこの変態っ! んー、でも変態だと呼び難いわね。アンタの仇名は今日から〝ローリー〟よ。ロリコンのローリー」
刹那の死角から寺西にだけ見えるように二本指を立てて、刹那の我儘に付き合わせる件についての謝罪と値引きサービスの提案をし、スマンヨロシクといったゼスチャーをする永遠だった。