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61 書物の樹


「とりあえず、サラサを返して」

「これは失礼しました」


管理者の従者を名乗る仮面の男が指を少し振っただけで、巨大な鳥かごのなかにいたサラサが私の前に現れた。


「サラサ、大丈夫?」

「……うん」


サラサを優しく起こして抱きしめる。ふたりの感動の再会シーンを無視して仮面の男は淡々と説明を始めた。


「適正者となったシリカ様はこの地底世界の100年間の占用権と〝雷霆(ケラウノス)〟の使用権を得ました」


地底世界と地上世界を行き来できる転移魔法が頭のなかに記憶として刻まれ、同時に〝雷霆(ケラウノス)〟という兵器の使い方まで覚えた。


「それではまたお越しください」

「え? ちょっと待っ……」


展開が早すぎる。あっという間に私たち8人は湖底宮殿へと移動していた。


地底世界に残してきたシェルたち大丈夫かな? 魔王城のなかでまだ戦っているんじゃ……。


(地底の人間は私におまかせください)


「うわッびっくりしたぁぁ」


仮面の男から念話で連絡があった。魔王は私たちに倒され、魔人たちに降伏を促して人間たちと共存できるように準備しておくと補足があった。うーん、なら大丈夫かな……。


さて、湖底宮殿地下35階層から地下2階へ転移して地上へ出ると、それはもうビックリするくらい荒れ果てたデルタ市街が目に入った。日が沈んでいるので、星の位置を読んで深夜であることを確認した。


ひとがいない。建物もほとんど破壊され、綺麗な円形を象った都市の区画があちこちで湖に沈んでいる。ここで激しい戦いや略奪があったことを物語っている。


ひと先ず、パルミッツ国立魔法高等学院へと向かう。


今はどういう状況なのか分からないので上空を飛ぶのは目立つので避けたい。浮島同士をつなぐ橋も所どころ壊れている場所だけを最小限の飛行魔法で渡って進んでいく。


あれ、ここで合ってたっけ? と思うくらい廃墟となっていて見る影もない。


水槽タイプの学生寮の昇降口の階段も浸水して降りれないし、あの荘厳なオペラ食堂も瓦礫の山になっている。


(シリカ、待ちなさい)


得るものが何もなさそうだ。朝になったらどこかの軍が見回りに来るかもしれない。夜のうちに王都デルタから脱出した方がいいと考え、移動を始めようとしたが、賢者アールグレイに呼び止められた。


え、図書館があったところへ行け? まあ師匠がそこまで言うんだったら……。


アールグレイに言われたとおり、図書館跡地に移動する。


パルミッツ学院の図書館は通称「書物の樹」と呼ばれていた。前世の建造物で例えるとドーム式野球場の屋根の代わりに魔法でコーティングされた透明な保護膜があった。自然の陽光が降り注ぎ、クリスマスツリーの飾りつけのように無数の本が魔法の木の枝にぶら下がっていた。


だが、現状はドームはその透明な屋根を支えていた壁ごと壊され、室内にあった書物の木もへし折られ、刻まれ、焼き尽くされていた。


嫌だなー。室内にスケルトンがたくさんいるじゃん。ここってパルミッツ学院の中だからなー。知り合いがスケルトンになっていたら嫌なんだけど?


「私が……うっ」

「サラサ! 無理はしないで」


長いこと鳥かごの中に幽閉されていたからか、サラサはめまいで倒れそうになったので私が抱きとめる。


今の私たちの声にスケルトンが反応しちゃった。一番いいのは光属性の魔法だが火属性でも火力が高ければ倒せるには倒せる。他にも物質に変換するタイプの魔法、例えばロニの岩魔法などでも骨ごと圧砕してしまえば再生しない。


でもここはレオナード皇子の銃光剣に頼ろう。魔力の制限が解かれた皇子の強さはもう常人レベルを遥かに逸脱している。ひとりでスケルトン数十体を相手に難なく破壊してまわっている。


──ん?


んん~~~~~ッ?


あれ、いつの間にか私って光魔法が使える? 頭のなかに光魔法が記憶としてある。え……覚えた記憶がないんだけど?


まあいいや、とりあえず試してみるか。


攻撃系の光魔法の中でも初歩の初歩……。光粒(フォトン)というビー玉くらいのちいさな光の球を生成し、対象へ飛ばす、というテンプレ的な魔法を試す。威力もアンデッド系のモンスターを一撃で倒すというよりはちょっとダメージを与える的な使い方をするので、光属性使いがこの魔法を実戦で使うことはまずないだろう。


指先に光の球を生み出す。ギュルギュルと回転しているように見えるが気のせいだろうか? レオナード皇子に倒されていない端っこにいるスケルトンに照準を定め、前世でいう拳銃をバンっと撃つような仕草で光粒(フォトン)を放った。一瞬、カッと青白く光って糸を引き、スケルトンをバラバラに粉砕したのち、奥の瓦礫に当たると大爆発が起きた。



──マジ?




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