表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/68

40 瀧亞瑠斗(たき あると)

【本話は残酷なシーンが含まれます】






前世の記憶を夢として見ている。


俺が小学生低学年の頃に両親が別れた。

母親は職を転々とする低収入の父親に嫌気が差し、俺を連れて家を出た。


実の父親は貧乏だが、俺にとても優しかった。

だが新しい母親の男は俺にとても冷たかった。


最初は母親に見えないところで俺に暴力を振るっていたが、次第に母親にも手を挙げるようになって、俺と母親はその男に暴力によって支配されるようになった。


男は仕事を辞め、母親を働かせて自分は家でゲームをしていた。


俺は母親がほとんど家にいないので学校の給食の余ったものを持ち帰って食いつないでいた。


そんな俺のことをクラスのイジメっ子は見逃さかった。


次第にイジメがエスカレートしていき、俺はただでも生傷が絶えないのに余計に傷が増えていった。


ある日、母親へ「この家から逃げよう」と頼んだ。するとその夜、あの男に母親は密告(チク)って俺は朝まで男に暴力を振るわれた。


「アナタなんて産まなきゃよかった(・・・・・・・・・)……」


その一言を聞いて、俺の中のなにかが壊れた。

でもそれで俺は助かった。


なんだ。簡単なことじゃん。

俺も奪えばいいんだ。


翌日、俺をイジメていた連中の首謀者を背後から襲った。

人間って意外と頑丈なんだな。

殴っていたモップが先に悲鳴をあげて折れた。

でもモップは何本も(・・・)準備してある。


学校に警察が来る前に逃げた。

家に帰ると酔っぱらって熟睡している男がいたので、包丁で喉笛を切ってやった。


男は暴れ出したが、すぐに出血多量で死んだ。


俺は母親が帰るまで血糊のついた包丁を綺麗に洗い流し、母親をどう刺し殺そうかと考えながらずっと包丁を丁寧に研いでいた。


だけど、やって来たのは警察だった。

どうやら俺をイジメていた首謀者は死んだらしい。

人間は意外と脆いのかもしれない。


俺は小学校低学年だから責任能力はなく、身体じゅうの傷から日常的に学校や家庭で暴力に晒されて精神的な異常をきたしたことから引き起こされた悲しい事件であると家庭裁判所で言い渡され、養護施設へ送られる保護処分となった。


施設を出たあと、俺は違う町へ引っ越した。


俺のことを誰も知らない町で就学援助を受けて高校を卒業した俺はこれまた就労支援を受けて会社に働くことができた。


何からなにまでお膳立てしてくれてありがたい限りだ。


最初は真面目に働いていたが、そのうちアホらしくなってきた。


都会に行ってマッチングアプリで女を漁り、嘘の肩書で女を騙す。

偽りの投資話を信用させてお金を巻き上げたらその女を捨てる。


10件以上同じ手口を使ったが、女ってバカな生き物だ。自分が特別と思っているヤツほど周囲の目を気遣って謙虚で大人しい。


そんなヤツは警察になかなか駆けこまない。

泣き寝入りするから俺の足がつかない。


だから気の強い女はダメだ。

自分の意思を持っている女は騙せたとしてもあとあと厄介だ。

だから俺は女を選んでカモにしている。


そういや同じ職場にも似たような女がいる。


コイツは俺の都合のいい下僕で金も貸してくれるし、身の回りの世話もしてくれる。


付き合ってもないのに彼女ヅラしてくるからたまに殴りたくなるが我慢する。

うまくこき使うために週一で抱いてやったりもした。


 ✜


そんなある日、いつものようにマッチングアプリでバカな女を騙して、お金を巻き上げ都心部から自分の街へ帰る途中、終電がなくなったのでタクシーに乗った。


俺の彼女ヅラした女に遊び目的の女とホテルに入るところを見られてしまった。

あの会社もそろそろ潮時かもしれない。


「ん、前の客がなんか忘れ(モン)してるぞ?」


真っ黒な本……開くとなんかゲームの攻略本のようなものが書かれている。


「それは忘れ物ではありません」


信号待ちで停車しているタクシーの運転手はルームミラー越しに俺に笑いかけた。


「異世界転生に興味はありませんか?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ