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13 意地汚い親子

ニオギ・ヒュドラを討伐した後、色見石(カラーストーン)と呼ばれるアイテムと2メートル四方くらいの蛇皮が落ちていた。


色見石はその魔獣の稀少度とイコールで透明、赤、(だいだい)、黄、緑、青、藍、紫と8色の等級と米粒くらいの大きさから拳大の大きさまであり、ニオギ・ヒュドラは幻獣ということもあって藍色のゴルフボールくらいの大きさがあった。これをお金に換算すると莫大な金額になりそうだが、換金してみないことにはどれくらいになるのか私には想像がつかなかった。


「もちろん山分けですよね?」


はぁ? と言いたい。ベルルクの街、テイラー家邸へ戻ってキャムの父親である領主へ形式上ではあるがニオギ・ヒュドラの討伐の報告をしている時にキャムがバロアにそう訊ねた。


「いや、我がテイラーから侍従のサラサも参加して、おまけにここは我が領地である……よって9:1が無難であろう」


この親子ってどこまでも悪役がお似合いだと思う。でもそんな提案にバロアは素直に応じた。


「よかろう、では蛇皮だけコチラで研究したいので頂くとしよう」

「それはできん、こちらで報酬を用意するからそれを受け取るといい」

「ほう、ではご子息がいかに役に立たなかったかを王都に帰ったら、事実を吹いて回るとしよう」

「……わかった。蛇皮は貴様らにやる。ただしキャムのことは他言無用で願おう」

「フォッフォッフォ、わかればよろしい」


危うく蛇皮まで取られてしまうところだった。バロアは元々、お金にそこまで執着してないからアイテムだけ手に入れば満足なはず。でもそれを奪われそうになったら手段を選ばないかもしれない。


「スマホ持ってます」

「スマホ? あるわけないじゃん」

「すまほってなんです?」

「え? 電話とかできる(・・・・・・・)スマホって言わなかった?」

「いえ、吸う魔法(・・・・)を使えますかって聞いたんですが?」

「なんで?」

「ええ、ちょっと服が埃まみれで綺麗にしたくて」

「ワシが持っとるぞ?」

「……師匠ありがとうございます」


テイラー邸の部屋から退室する間際にキャムへ話しかけた。やっぱり黒……瀧亞瑠斗(たき あると)であることが確定した。バロアに吸引魔法で服を綺麗にしてもらいながら、最後にサラサへ声をかけた。


「サラサ……さん、いつかまた会いましょう」

「はい、ご縁がありましたら是非」


彼女のこれから高等魔法学院に入学するまでの十年近くの苦労を考えると思いやられる。だが今の私ではなにも力になれない。彼女には乙女ゲーのなかの正規ルートを歩んでもらって、テイラー家から決別できるよう私は努力を惜しまないつもりだ。


バロアは帰りの空飛ぶ自転車のうえで、「隠し事があるようじゃが話したくなったら話すがよい」とブリキ人形に宿っている賢者アールグレイのことは薄々気づいているはずだが私から言いださない限りは詮索するつもりはないようだ。てっきり研究狂なので、死の太守(アークリッチ)をとことん研究するかと思ったが意外と分別があってよかった。


私はバロアとともに王都デルタへ戻り、魔法の勉学と鍛錬に勤しんだ。


バロアはニオギ・ヒュドラの蛇皮を研究機関に持ち帰って色々と研究した結果、被ると透明になれるアイテムの開発に成功し、魔法研究学会でその功績が認められ、客員研究者として初めてエブラハイム魔法学賞を授与された。


3年後にバロアがエブラハイム魔法国での任期を終え、彼の生まれ故郷の大陸へ帰ると同時に私の研究機関での生活は終わりを迎え、自宅へと帰った。


その頃には私はバロアから多くの知識と魔法を学び、高位魔法のひとつ〝透明な魔力(インビジブル・センス)〟も習得していたので、自宅に戻っても、魔法力の強化は毎日欠かさなかった。


そしてあっという間に年月が経ち、もうすぐ16歳になる私……シリカ・ランドールは乙女ゲーの舞台となる〝パルミッツ国立魔法高等学院〟へと入学した。

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