びっくり
傘
置き傘がない
学校帰りはっとなった。
僕の傘がないじゃないか。
うーん 困ったな。すこし考えていると
「濡れると風邪ひくので、良かったら一緒に帰りませんか。」
そう声をかけられた。
話したことのないクラスメイトだ。雪のように白い肌で長くつやのある黒い髪だ。
その気持ちはとてもありがたいのだが一度も話したことがないので少し薄気味悪い。
けどこのまま濡れて帰るのも酷なのでここはお言葉に甘えることにした。
「ありがとうございます。では傘に入れさせていただいても宜しいでしょうか?」
「はい!」
その子は快活に答え僕を傘に入れてくれた。そして2人揃って歩き出した。
数分歩いて気まずくなってきた。話すことがない。
その沈黙に耐えかねて声を出した。
「あ、あの!」
「あ、あの!」
2人同時に声が出た。どうやら彼女も同じ気持ちだったようだ。
そして一緒に声が出たのがおかしくて2人で笑った。
そこからの会話はとても弾んだ。
「え!君も爆心大王兜マン見てるの?!」
「はい!私もそのアニメすごい好きで。昨日全話一気見しちゃいました!」
「へー!そうなんだ、あの必殺技の兜キックとかめちゃくちゃかっこいいよね!」
「そうですよね!あのメキメキと敵の骨が折れる音とかたまりませんよね!」
「言い方怖いって笑」
そこからの会話はとても弾んだ。
その後もたわいもない会話を続けながら、俺の家の前まで来た。
ちょうど彼女の帰り道の途中らしかった。
「今日は傘を貸してくれて凄く助かったよ!ありがとう」
「いえいえ、またいつでも頼ってください!」
そして帰宅。
結局あの子はなんだったのか。
その思考は雨の轟音にかき消されて考えるのもめんどくさくなってきた。
「取り敢えず一眠りしようか」
ベッドに転がる。
その後もたわいもない会話を続けながら、俺の家の前まで来た。
ちょうど彼女の帰り道の途中らしかった。
「今日は凄く助かったよ!ありがとう」
「いえいえ、またいつでも頼ってください!」
何時間眠っただろうか、
雨は止んでいた。
でもその代わり鳴り止まないものがあった。
「ピンポン!ピンポン!ピンポン!」
玄関のチャイムの音だ。
誰だよ、、こんな夜更けに
「誰ですか!こんな夜中に」
勢いよく扉を開ける。
しかし、そこには誰もいなかった。
その代わりに昼間学校で盗まれた傘が置いていた。
ほう、傘を盗んでも返しにくる良心が残っていたか。
まあ傘を盗む時点で良心もくそもないのだが。
やれやれと思いつつ傘を部屋に入れつつ、ほっと一息。
そのとき一つの解消できない疑問が頭に浮かんだ。
あれチャイム鳴らしたの誰だ、、、
布団に入ってからも何者かの視線を感じなかなか寝付けなかった。
「克樹―!そろそろ起きないと遅刻するわよ!!」
母さんの声で起きた。少し眠い目覚めになった。
あまり食欲も湧かず、トーストを無理やり口に突っ込む。
頭の整理がつかないまま家を出た。
扉を開くとにこにこした女の子が立っていた。
「克樹君こんにちは。」
寒気がした、
そのトーストおいしい?
「モゴモゴ モゴモゴ。」
そうして僕らは学校に着いた。
クラスメイトが話しかけてきた。