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二年生になって

 2年生からクラスが一緒になれない事は早くに分かっていた。彼女は理系で俺は文系だから。


 そしてまた行ってしまった。


 2年3組。城内さんのいるクラスだ。彼女に話しかける事もできないし、彼女の姿だって不審がられないようにこっそりなんでもないふりして見るのが精一杯だ。ため息が彼女を見に行ってしまう、彼女をなんでもない存在にできない自分に呆れて出てしまう。


 そのクラスに同じ部活、男子バスケ部員が2人いるのをいいことにたまに休み時間に行く。文系のくせに理系クラスに教科書借りに来る?と不審がられながら行った事もある。本やDVDを借りて返しに行って「部活で会えるだろ、ここまで来るなよ。」と疎ましがられた事もある。2年生は理系の3クラスだけ上の階に配置されているからわざわざ用事を作って上がらなければ彼女を見かけることすら難しいのだ。


 しかも、何回か行くうちにあろう事かバスケ部の柿岡と彼女が仲良いのを知ってしまった。名前の順で前後だから?共通の友人がいるから?一緒にご飯を食べてたりする。付き合ってしまったのかと探りを入れてみたけど、どうやらそうでもないらしい。いや、これからどうなるか分からないじゃないか……。




 そのまま3年生になった。幸か不幸か彼女には彼氏が出来なかった。彼女が特定の男子と歩いてる姿を見ないで済んで良かったけど、おかげで諦めるって事もできなかった。同じ階になったのを幸いに、登下校で彼女の教室の前を通りながらこっそり姿を覗く(のぞく)そんな日々を過ごした。


 隣市のTU大は難関国公立に数えられうちの高校からかなりの人数が受験する。そのため特別対策講座が定期的に開かれる。そこで彼女の姿を見つけた時は同じ大学を志望している、大学に行ってもまた姿を見かける事ができるかもしれないと嬉しくなった。


 俺は、そこの体育科を希望している。部活を引退しても身体と技術の鍛練たんれんと勉強の両立が必要で結構ハードな受験期だった。


 1月の共通テストが終わって学校での自己採点後まずまずの点数が取れたことに安堵した。後はもう、自由時間であり先生に面談を申し込んだりとざわざわとした空気の中、彼女の教室に、とりあえず柿岡に会いに行った。理系クラスは理系の受験期特別講義の日程表と受講者が貼り出されていた。


 何気ない感じで眺めて彼女の選択科目を見る。小論文と面接練習。あれ?TU大学の理系はハードな科目数の2次試験で有名なはずだ。数学と理科2科目は?教室を見渡すと前の方で読書をしている彼女の後ろ姿があった。


 2月末、国公立大学前期試験前決起式登校日に答えが分かった。彼女は作業療法士を目指しているらしい。いくつかの私立大学の作業療法学科に合格したと学校の合格者掲示板に貼り出されていた。とすると本命は公立の医療大学だとピンときた。TU大学ではない。


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