番外編 バニラとチョコミント〜岩間目線
武原さんと柿岡と別れたあと、城内は疲れた顔をしていた。
「城内、場所変えて話さないか?」
そこに輪をかけて疲れることを要求する俺も俺だが、このまま帰るわけにはいかなかった。
近くのアイス専門店でチョコミントの城内とバニラの俺で座った。
「サッカーゴールの下敷きになった中学校の教師ってあの安積さんだったんだな。担当してるのか?」
「守秘義務。」
と言いながらうなづく城内を見て分かった。やはり安積はなんらかの後遺症を抱えているのだろう。そしてリハビリを城内が。
告白の後、連絡を寄越さず、こんな問題を抱えていても相談してくれてなかった。そして俺と会ってても嬉しそうじゃない城内を見てもう脈が無いのは分かっていた。それでも確かめたかった。
「例の一緒に住む話だけど、もしかしてなんかダメな感じ?」
軽い感じで聞いた。
「ダメな感じ。好きな人ができた。私。」
7年見てきた城内からはっきり言われた。
「そっか。残念。それって安積さん?」
それだけは知りたかった。目が合うと気まずそうにそらしながら、城内は頷いて肯定した。いつから?と聞きたかった。ずっと見てきたのに気づけなかった。ずっと城内が彼氏を作らなかったのは、もしかしてと思うと自分の道化ぶりに可笑しくなった。それでももうバレているのかこれからバレるのか分からないが、偽りの第二ボタンを安積に渡したことを懺悔しなければと思った。
一通り話して何も知らなかった様子の城内に
「勝手な事して、今まで黙っていてごめん。」
謝った。
「うん。」
ただそう城内は答えた。
「こんな俺だけど、心配だけはさせてくれ。安積さんは後遺症があって城内が担当してるんじゃないか?そいつとっていろいろ大変なんじゃないか?仕事って割り切れなかったのか?」
最後のお節介だ。俺とじゃなくても城内が苦労して不幸にはなって欲しくなかった。
「私は、安積さんにもう会えなくなるのは嫌なの。それで許して。」
そう答えると、
「先に帰る。岩間くん、バイバイ。」
と城内が泣きそうな顔して席を立って手を振った。もうきっと今までのようには会えない。でも、
「じゃあな。」
俺は座ったまま見送るしかなかった。
番外編 岩間目線fin
この部分の城内サイドはチョコミントとバニラになります。一応最終回の予定です。