番外編 柿岡に呼び出されて〜岩間目線
柿岡に高校卒業以来久しぶりに呼び出されて武原由美さんを紹介されてびっくりした。状況も上手く掴めないまま、城内を呼び出すように頼まれた。武原さんが帰ったあと、柿岡を問いただした。
「事前に説明しろよ。わけわかんないだろ!」
「事前に説明したら、お前も城内も取り合わないじゃないか。城内もこんな感じで呼び出せよ。早く、武原さんと安積をすっきりさせたいんだよ。」
「なんだそれ?」
いよいよ分からない。人の交際になんで関わらなきゃいけないのだ?安積が城内の勤めてる病院に入院してるだけじゃないか。
「俺、先週武原さんに会って安積とのトラブル聞いて、安積の弟からも事情きいて、また武原さんにいろいろ説明して、もうここらで終わらせたいの。もう、安積の気持ちは武原さんには戻んないから。きっぱり心残りなくさせたいの。」
安積の気持ちが武原さんに戻らないの辺りがざわっと胸騒ぎを起こした。
「俺何も知らされないで協力させられるのか?」
せめて、もう少し事情を説明してほしい。
「安積の事故については新聞に載ってるから調べてみろ。今、城内の病院に入院してる。あの2人は再会したんだ。何が今まで2人の間を隔てたのか分かんないんだけど。今度こそ収まる所に収まって欲しいの。」
「それは、お前の勝手なお節介だろ。俺まで巻き込むなよ。」
「俺はお前を巻き込まないとすっきりしないと思っている。」
柿岡が嫌な笑顔を浮かべた。高校時代から嫌な奴だった。名簿順のせいだが、いつも城内の近くにいてからかっていて仲良さそうだった。城内も「柿岡さんは大嫌いだと言っても連絡寄越しそうな所が楽」と変な信頼を寄せていた。
2人の間を隔てたもの、それは俺が渡したボタンだとでも言うのだろうか。まるで、安積と城内が結ばれて当然みたいな見方はやめろよ。そう言いたかった。
安積廣智の事故の記事はすぐに見つかった。城内の勤務先の病院はリハビリ専門科が有名だ。そこに入院しているということは、麻痺かなんらかの後遺症があるのだろうと思った。
柿岡から連絡があって土曜日に城内を呼び出した。武原さんの名前を出すとかなり怒っていたが聴く耳をもって対応してくれる所は城内らしかった。