岩間くん〜城内比呂目線
『俺、今日大学に行く用事があって。ミネコ教授に会社の新作と展示会のパンフ届けるんだ。』
高校も大学も一緒で、今はリハビリ関係の製品を扱う会社に勤務している岩間くんからSNSのトークが入った。昼休みに
『ご苦労様です』
と返事をうつ。
『恩田先輩にも会いたいから病院の方にも顔だすから、大学一緒に行ってくれない?』
直ぐに返事が来た。
岩間くんとは高校の時はあまり話した事は無く、大学でも彼は私とは別の理学療法学科だ。他学科との連携を学ぶ授業で一緒のチームになったのがきっかけでSNSのやり取りをするようになった。
私が卒業論文時に属した研究室のミネコ教授は作業療法士である事に誇りをもっている。まだまだ作業療法が広まらない中で、理学療法士にこき使われた過去から理学療法士《《滅》》な勢いで生きていらっしゃる。事あるごとにどこか攻撃的で、それで、岩間くんだけでなく理学療法士やその卵達は恐れているのだ。
岩間くんは上手く私を利用している。そして、この病院の理学療法士の恩田先輩とは大学の筋トレ部からの仲らしい。高校のストイックな硬式野球部出身の岩間くんは大学のタバコを吸うような野球部にはついていけず、筋トレ部がちょうど良かったと言っていた。
私は君たちの筋肉についていけないよ。とこぼしたら、城内は柔らかいままでいてと赤くなりながら言っておった。何故柔らかいと分かる?見た目か?触られた?全く変態め。
『私は定時で退勤。恩田さんはお子さんのお迎え当番。』
恩田さんは同業者と卒業後すぐに結婚したとのことでお子さんもいる。
『早めに行くから。恩田さんにも連絡しとく。夕飯おごるから、ミネコ様の件は頼む』
必死な頼むスタンプ連打が鬱陶しい。
『夕飯、美味しいのね。』
『了解。身体に良いとこね〜。』
あ、結局自分の希望押してきやがった。と思いつつ久しぶりに会って話すから少しウキウキした。