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文化祭

 六月。高校初めての文化祭。うちのクラスはカジノ的なゲームを扱う店を催す事になった。前々日の放課後から外装が許され、突貫工事を始めた。上の方は背が高い俺が担当で机の上に乗って養生テープとガムテープを使い分けて貼り付けていく。


「ちょ、そこのガムテープ取って」


「はい」


予想より高めの女子の声が聞こえて慌てて下を見ると、城内さんが俺にむけてテープを差し出していた。


「あれ?赤坂…」


同じ外装係の赤坂がいない。城内さんは吹奏楽部が忙しいから景品係になって、買い出しが済めば終わりで教室にはいないはずだった。 


「赤坂さんなら、文化祭実行委員の方に行っちゃいましたよ。」


「あいつ」


「良かったら手伝いましょうか?」


「城内さんは、部活とか買い出しとか」


「買い出しは済みましたし、部活はあと1時間後からなので。」


「じゃあ、そこ押さえてて。」


「はい」


彼女がポニーテールを揺らしながら俺の指示にしたがって下の方の仕事をしてくれていたから遠慮なく机に上がって上をこなした。とりあえず一区切りついて、降りると


「安積さん、上履きの下にテープが丸まって付いてます。右の裏の方」


城内さんに言われた。


「あー、どうりで右だけ変な感じが」


片足立ちで取ろうとしてもガムテープががっちりくっついてしまって外れない。思わずよろけて彼女のいる側の壁に手をついて彼女をいわゆる壁ドンしてしまった。


「うわっごめん。」


間近でまつ毛が長く黒目がちな彼女の目と見つめあってしまった。びっくりしたのか急に真っ赤になった彼女はそのまますっと座りこんで俺のあげたままの右足からペリッとガムテープを剥がすとパッとゴミ箱に捨て、


「私、部活に行きますね。」


そそくさと行ってしまった。


 それから文化祭の間、あまり彼女を見かける事が無かった。どうやら本当に吹奏楽部が忙しいらしかった。


 最終日になって教室に集まっての記念撮影があった。こっそり城内さんの隣に立ってみた。身長160センチはないのじゃないか。形の良い丸い頭を見下ろし可愛い、そう思った。






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