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作業療法士の彼女〜安積廣智目線

 作業療法士となった彼女は、はい、いいえ、答えにくい、と書かれた紙に棒がついてるのを渡してきて質問にはそれで答えてくれとニコニコしながら言ってきた。話したい事があったら読み取るので、あいうえお表を指してくれとも。作業療法については必要なら家族と面談もするとか。なんでも作業療法はまだ一般には理解されにくい所があるとか。


 高校生の時はほとんど話してくれなかったのに俺が話せなくなった今、目の前で彼女は真剣に仕事としてだが、俺とコミュニケーションをとろうと必死だ。ちょっと意地悪な気分になりながら俯瞰(ふかん)していた。


 すると義手の話になり、手の切断面を確認させて下さいと言われた。医者や看護師には切断面の確認や消毒などで平気な事だったが、家族や由美さんには目を逸らされたり辛そうな顔をされるので隠すようにしていたから彼女をどっちに分類すべきか、もちろん前者なのだけど切り替えられずに戸惑った。


 勝手に(だく)と判断したのか、こちらに拒否権もしくは人選権はないのかさっさと捲られ(まくられ)カバーを取られ、触ってきた。


「凄く良い状態です!順調です!安積さん、肌きれいですねー!もう少し切断面が安定されたら、型とって仮義手作れますね!うちにくる義肢装具士さん優秀ですよ。目安が必要なのと作業の関係で測定はさせて下さいね。」


彼女は様々な部位を図り始めた。真剣な表情で距離が近い。


「肩の形良いですね!すみません!胸囲もいきますね。左手もお願いします!関節可動域も測ります!」


彼女に初めて触れた。というか彼女が測定しながら触ってきたのだが。耳もとで可愛い声で、いろいろ話してきた。ドキドキするし動揺するしで、逃げ出したくなるほどだったけど、実際には微動だにせずただ固まってやり過ごした。ものすごく疲れた。


 その日は睡眠薬も飲まず、久しぶりにぐっすりと寝てしまった。

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