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【03】

不憫に初歩きを披露したあと――


イヴと一緒に帰宅したミニ閣下は手洗いをします

それはもう一人でできる! と


ミニ閣下「ちぇいややー!(手洗いなど容易い!)」


もちろん約束されしびしゃびしゃ――水浸しになることは

過去の経験からみな分かっていたので、前もって服を脱がされて

前面総水濡れからの


執事「着替えますよ」


体を拭いてディナー服に着替えて

大好きなお母さまことイヴとディナー

(前も書きましたが閣下はお仕事で帰宅は夜遅く)


一人で食べられるんですよ! と自慢げにスプーンを振り回し

ぼろぼろとこぼすミニ閣下――本人は気付いていない


本日のメニューはマカロニ茹でまくられ柔らかグラタン


食後、イヴの膝に乗って絵本を読む

読んでいるのは


ミニ閣下「ちぇややや! ちゃい! ちゃああああ!」


ミニ閣下

なにせ本日はお父さまこと閣下の帰宅が遅いので


「お母さまが寂しくないように、パウルが本を読んでさしあげます!」


という高い意識のもと、本を読んであげているのです

意識高い系じゃなくて、本当に意識が高い

絵本のページを上手に捲ることはまだできないので

捲りたがっているのを見てイヴがページを捲りつつ

頭にキス

キスされるとミニ閣下のテンションが上がり


ミニ閣下「ちぇいやーやー!!!」


声を張って読んでくれる

子供の甲高い声ですが

大声には慣れているイヴ

あと家の天井がそれはもう高いので

声が篭もることはない――だって宮殿だから


イヴ「パウルは本を読むのが、本当に上手だねえ」


褒めてまたキス


ミニ閣下「ちぇいやーやー!!!!!!!」


更なるテンションアップ

ミニ閣下のテンションは留まるところを知らない!


ミニ閣下「てぃぇ!! いやーやー!!!!!!!」


きっとごんぎつねのラストだって、このテンションで読み切る


そうしていると風呂の用意が整い――イヴはあとで一人で入浴

いまはミニ閣下だけ

一緒に浴室へと向かい、召使いが入浴させ

イヴとミニ閣下はお話タイム


ミニ閣下は髪を洗われるのがちょっと苦手

イヴの人差し指を握り洗髪台に頭を乗せ

ぎゅーっと目を閉じ――ただでさえ不機嫌そうな顔が

更に不機嫌に!!

人差し指を握る手にも力が入り

洗髪が終わったので、イヴがこめかみのあたりにキスする


イヴ「終わったよ、パウル」


恐る恐る目を開けたミニ閣下

全てが終わったことを確認後


ミニ閣下「つえややああ!(なんてことありませんけどね!)」


母親の前で強がりたいお年頃


お風呂上がり、体を拭いて水分補給――

その時は上しか着ていない

この時代のおむつは、もたもたしているので

足回りが自由な時間があったほうがいいかなーというイヴの考え


水分補給を終えたミニ閣下は


ミニ閣下「きょうはお父さまがいないから、パウルがお母さまを楽しませねば!」


幼児ながら優れた頭脳を持つミニ閣下

ロングタンクトップ姿(尻まで隠れる丈)で這い這い開始――そして振り返る


執事「あの人に似て、腹立つ顔だ」


世間的にはそういう表情ですが

イヴにとっては可愛い息子なので


イヴ「追いかけるよ! パウル」


パウルの意図を察して追いかけて捕まえ――そしてまた降ろす

もちろん、イヴが本気だしたら

ミニ閣下は少しも進むことはできませんが

そこはカリナ他、親戚の子たちと培った遊びスキルを遺憾なく発揮


ミニ閣下「ちぇややややや!」

イヴ「待て! パウル。パウル、速いね!」(普通に歩いてる)


捕まえたり、上手く捕まえ損なったりを繰り返し

ミニ閣下はきゃっきゃ! と笑いながら楽しむ……子供ですので気付いたら

自分が楽しんでいるのはご愛敬


あと、笑ってるけど笑ってないのは、仕方ない



ミニ閣下「ちぇいや! や…………(お父さま、パウルはお母さまといっぱい遊びました。褒めてくださ…………)」


そしていつもの如く、いきなり力尽き――天高くプリケツを掲げ、寝落ち


イヴ「パウル? ……寝ちゃったか」


出し切り幼児程度では、相手にならない体力を持つイヴ

「もう少し遊びたかったなあ」と思いながらミニ閣下を抱き上げる

その表情はまさに「やり切った」感が溢れ――イヴ思わず微笑む


ちなみに普通は母子ですと、聖母の如き微笑みなはずなんですが

イヴに限っては、やっぱり軍団長

息子であるミニ閣下の笑顔が笑顔にならないのは、間違いなく遺伝


寝落ちしたミニ閣下を執事が受け取り


執事「ごゆっくりどうぞ」


イヴは風呂に入り、そしてミニ閣下が眠っているベッドへ

すやすやと眠っているミニ閣下(すっごく寝苦しそうな顔してるけど、平常運行)の寝顔を眺め――そしてそのままお休み



閣下「全く以て無駄な時間であった」

執事「あなたにとって、妃殿下との時間以外に有意義な時間ってありましたっけ?」

閣下「パウルと遊んでいるとき」

執事「それ、悪魔崇拝儀式をしているようにしか見えないんですけどね」


帰宅した閣下は、そんなことを言いながらシャワーを浴びてすぐにイヴとミニ閣下がいる寝室へ


イヴ「お帰りなさい、アントーシャ」

閣下「ただいま、イヴ」


ハグとキスから少しソファーで話し

ミニ閣下を挟んでお休み


翌日目を覚ましたミニ閣下

両親に挟まれて眠っていることに気付くと大興奮(両親大好きな子なもので)


そして


ミニ閣下(あ! そうだ! 昨日?……褒め?……?褒めてもらおうと…………理由は忘れたけど!)「ちぇやややややや! ちぇややややや!(お父さま、褒めてーー!)」


一気に閣下の顔へと登ってゆく


閣下「(パウル……褒めたくても、お前が口を塞いでいるから褒められんぞ)」


**********


ミニ閣下はそれはもう懐刀こと「にいしゃま」が大好き

どのくらい好きかというと

ミニ閣下・魂の叫び――イヴお手製の卵ボーロ

このボーロが大好きで

邸内大冒険とかするのですが(委細はいつか)

その大好物の卵ボーロが入った容器と懐刀を並べて

「どっちか好きな方を選んで」すると

卵ボーロに見向きもせずに懐刀を選ぶほど大好き


ほとんどの人は卵ボーロに負けます――


(イヴと閣下ももちろん圧勝)


ミニ閣下が大好き!ということで

懐刀はたまに丸一日ミニ閣下付きに

懐刀本人もミニ閣下が大好きなので

全く苦に為りません



懐刀大好きなミニ閣下は

個数を決められている卵ボーロを

懐刀だけには分け与えます


ミニ閣下「ちぇいや! ちぇいや! ちぇいや!」


……でミニ閣下の脳内では

イヴが食べさせてくれるときのイメージ

「微笑みながら一粒をつまんで、口に入れてくれる」

をなぞっているつもりなのですが


実際は――


懐刀「パウル! ちょっ! いや、いい……あ!」


固く握り締め粉々になった卵ボーロ(気付いてない)

口元へ運ぶために、容赦なく上半身を登攀してくる(素で急所を連続で踏みつける、天性の才能)

卵ボーロを握った拳ごと口に手を突っ込んでくる、不機嫌さ極まりない顔つき


親譲りの攻撃力が遺憾なく発揮される卵ボーロお裾分け


懐刀としては粉々卵ボーロを食べさせられること自体は構わないのですが

拳を口に突っ込んでくると、歯で手を怪我をさせてしまう恐れがあるので

口の中に突っ込まれないよう、でも(粉を)食べなくてはならないという

至難ミッションを繰り広げる懐刀――


ミニ閣下「にしゃ、ちぇいしい?(にいしゃま、おいしい?)」


やり切った顔で尋ねてくるミニ閣下


懐刀「とっても美味しいよ、お母さまの卵ボーロ」

ミニ閣下「ちぇいややややや!!!!」


その卵ボーロ、お母さまことイヴと懐刀が一緒に作ったんですけどね



小さい子と言えばお昼寝


イヴの教育方針でミニ閣下のベッドは低め

というか完全に布団

転がっても大丈夫なヤツ

布団はとても大きくて家族全員で寝られる


お昼寝用も似たようなサイズで――夜用寝室とは別にお昼寝用寝室があるんです

だってお金持ちの子ですから


ミニ閣下を寝かしつける懐刀

寝たら本でも読もうかな……と思っていたものの

うとうとし、そのまま眠ってしまう


その日はミニ閣下のほうが先に目を覚まし

大好きな懐刀がまだ眠っているのを発見――この時点で意識は浮上してきた懐刀ですが

周囲におかしな気配もないので

まだ目を瞑っている


ミニ閣下「(にいしゃま、お休み中なのですね!)」


イヴに似て目覚め爽快なミニ閣下

懐刀が寝ていると判断し――タオルケットを頑張って引っ張りかけ直し(デカいので、ミニ閣下の腕力ではほとんど無理)大好きなお母さまや懐刀がしてくれるように

子守唄を歌いながら、軽くぽんぽんと叩く――それは寝る前の動作であって、眠っている人にするものではないのだが、幼児にその判断はできず


ミニ閣下「ああー!(ぼす!) ああー!!(ぼぼす!) あああああ!(ぼす!)」


大声で子守唄(と思しきもの)を歌いながら、小さな手を力一杯振り下ろす


全力で起こしに来てるヤツ――ほら、ミニ閣下はアーダルベルト・クローヴィスだから……コッチの名前にすると、途端に攻撃力高めで声デカそうになるねー


懐刀「…………(きっと寝かしつけてるつもりだ)」

ミニ閣下「ああー!(ぼす!) ああー!!(ぼぼす!) あああああ!(ぼす!)」


懐刀、なまじ察しがいいので、寝たふりをするべきかと悩みながら


ミニ閣下「ああー!(ぼす!) ああー!!(ぼぼぼす!) あああああ!(ぼすぅ!)」


懐刀「(心から寝かしつけてるつもりなんだろうなあ……あ、いた……手を怪我したりしないよなあ……)」


起きるタイミングを計る懐刀


**********


閣下は大統領を二期務めます

二期目も完全に独裁者的な数の得票で当選――

微塵の失敗もなく、それどころかノーベル賞に類する賞を作ったり

その他色々やって「法律変えて、もう一期やりませんか」と頼まれるも

完全無視し――二代目大統領・儚い詐欺が誕生


大統領になったので、大統領府に移ることに――自宅と職場が一つの建物内

いつもの儚い詐欺状態ともいいますが


越してくる人がいれば

越す人もいる……


ミニ閣下「おじしゃん”も”ここ?」


ミニ閣下はお引っ越しする側なのですが、生まれた時から大統領府に住んでいるので

自分の家だと思っている


儚い詐欺「ああ」

ミニ閣下「ぱうゆといっしょに!」(ミニ閣下はまだかなり幼い)

儚い詐欺「……」


ミニ閣下と一緒に暮らすのは、どうってことない儚い詐欺ですが

ミニ閣下の背後の朕がな……


ミニ閣下「おじしゃんはどこのおへや?」

儚い詐欺「……どこに住むか考え中だ。この建物、大きいからな」


ええ、もと宮殿ですので


ミニ閣下「ぱうゆのとなりのおへやがいいとおもいます。よる、ぱうゆ、あそびにいってあげるよ!」

儚い詐欺「お前は引っ越すことになるぞ」


ミニ閣下、自分が引っ越すとは思っていなかった


ミニ閣下 Σ(゜Д゜)ガーン からの 。゜(゜´Д`゜)゜。ウァァァン


――その後、閣下が交渉して


閣下「イヴは大統領夫人を務めるのだから、ここに拠点を置いたほうが動きやすいしな」


などの理由から「現大統領と前大統領一家(使用人含む)」が一緒に住むことになりました――儚い詐欺が、洋服ケース三つくらい持って閣下の家に居候始めた感が半端ない


ミニ閣下「にいしゃま、おじしゃんのおへや、いこ?」

懐刀「…………う、うん」


部屋を訪れる許可は前もって取っているので大丈夫なのだが――懐刀の左肩が危ない!


でも懐刀と手を繋ぎ、ちょこまかと足を動かして儚い詐欺の部屋へと向かう、天使のような笑みを浮かべるミニ閣下の前には……………………表情はちょっと嘘ついたけど、気持ちとしてはそう。基本穢れない瞳で、満面の笑みなんだけど、生まれた時から王族教育完全攻略終えた顔つきなので


そんなミニ閣下は秘蔵のお菓子を持ち、大好きなにいしゃまと手を繋ぎ、この家の先輩として――


ミニ閣下「おじしゃん! おじしゃん!」


儚い詐欺が大統領任期満了するまでは、普通に住んでる。例のジオラマもそのまま……というか更なる進化をし続ける。蒸気機関車軍の進軍は止まらない!


二代目大統領儚い詐欺をものともしない蒸気機関車軍は、この世界のマラードを作り上げる!

(マラード:世界最速の蒸気機関車。最高時速203 km)


あ、あと、この世界のマラードはマラードではなく「イヴ」と名付けられることでしょう――スポンサーが、ほら……あの人だから

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