3、こんなモンスターがいるなんて思わなかった
ボスエリアに足を踏み入れた。
『ストーリーボスに挑戦しますか?』というinformationの言葉に肯定した。
すると、周りの景色が一瞬にして別のものへ変化する。
360°どこを見ても真っ黒な空間なのに不思議と暗い訳ではない。
ボスステージの完成だ。
『__εШ★Ц←※.○!!!!!!!!!!』
文字に表せない鳴き声がボスステージに響き渡る。
来る……!
なんだ、これは……
オレは目を奪われた。
つぶらな瞳がこちらを見ている。
宇宙のような長細い体がこちらに進み出る。
何をしているんだ、と冷静なオレが言う。早く動かないと攻撃されて無駄死にするだけだぞ、と。
でも、これは、これは_____
「可愛すぎる……」
そう言葉に出たと同時に、さっちゃんがボスに風属性魔法を喰らわせた。
狩りをする時のいつも通り連携のための切り込みだ。
「さっちゃん、待って!」
ボスが縦真っ二つに切れた。
も、もしかして倒してしまったんじゃ……と思ったが、HPが減っていない。
……どういうことだ……?
ボス__プラナタリアは、ゆらゆらと動く。
二つに別れた体がそれぞれ自分の意識を持っているかのように、違う動きを見せた。
そして、急速に再生した。
プラナタリアが二体になった。
「……は?」
分裂。
それが正しい表現だろうか。
それを見たさっちゃんは狼狽えているように見えた。
そりゃ真っ二つに切れたら弱いボスだと思うよ。
でもこれは、切ってもHPが減らないのは、ぶっ壊れてる。
オレは、ボスに対して緊張感を持っていた。しかし、それは別に、
「(プラナタリアたんが二つ!? 可愛いが二つ!? 最高では?)」
というクソバカな考えをする自分がいた。
最終的に勝ってしまったのは、プラナタリアたん可愛い欲求だった。
いやホント、この時のオレはアホだったと、未来のオレでも思うだろう。
オレは、さっちゃんとゲコちゃんを手で制して、ゆっくりとプラナタリアに近づいた。