第4話:律儀で○な魔物
第4話は佑川芭瑠堵が執筆しました
「はぁ……俺、何やってんだろ」
もう泣きたい気分だ。
それもこれも……。
「凡人さぁん、がんばれ☆★」
「誰のせいだと思ってんだよ!!」
ググググッ……。
こんな効果音を出しながら妖精を絞めていく。
「うげぇぇぁあ……や、やめ…死ぬぅ」
「いっそ、死んで見るかぁ?」
「いぇ…死にたくあ゛り゛ま゛ぜん゛……」
「……はぁ、今更だよな」
ポイッ
諦めて、妖精を離してやる。
息が吸えてやっと落ち着いた。
「ふぅ……助かった!」
まったく、この虫と来たら……。
コイツと一緒にもう居たくないぜ。
こうして一人(と、一匹)村に取り残されてるもの……。
村人たちに脅しつけられて。
無抵抗な俺は……承諾するしかなくて。
ここに人質として存在している訳で……。
「そ、それにしても……女装案外似合うじゃない♪」
「てめぇ……気にしてんだぞ!!」
こうして、女装までして……。
「あ゛ぁくそっっ!!
なんで俺が女装までして人質にならんといけないんじゃ!!!」
「まーまー
一応、勇者ってポジションだし??」
「好きでやってないのに……」
てか、こんな女装する勇者なんて聞いたことねーよ!!
俺はちょーヒラヒラした…
しかもピンクの民族衣装……。
女の子がこういう格好したら可愛いんだろうケド。
俺が着ても、誰も喜ばん!!
「勇者って最初はそういうもんだよ♪」
「たま、握りつぶされたいかぁあ゛?」
「……めっそうもございません」
こうしていても、らちがあかない。
そろそろ、真面目な話でもしようと思った。
一応……命が掛かった戦争を止めるという俺の使命。
ゲームだったら気軽に「まかせろ!!」と言えるが……
いくら、異世界だからって本当に存在する命だ。
「なぁ?虫」
「そろそろ虫って呼ぶのやめてっ凡人さん!」
「てめぇもその"凡人さん"をやめやがれ」
「えぇぇー……」
なんなんだよ!この虫がぁ!!
人がせっかく、真剣に話そうとしてるっていうのに!!!
「俺はどうやってその魔物とやらと戦えばいいんだ?」
「そりゃ、この剣で……」
妖精は不思議な力で軽く剣を浮かせて見せた。
いかにも、勇者が持ちそうな聖剣と言ったところだ。
磨き上げられた鋭い剣。
鞘も宝石という豪華な宝石で、宝飾されている。
けれど……。
「……チッ、さっき持とうとしたけど持ち上がらん」
「貧弱ねぇー」
「何だとてめぇ……!!」
また、俺が気にしていることを言うので
こぶしを震い翳したら妖精は。
「お、おかしいなぁ…あはははは」
「(笑ってごまかしやがる……)」
どうやら、俺のこぶしが怖いと分かったらしいな……。
……そう!
"勇者の剣"とやつをさとぅーから貰って持とうとしたが
一向にもちあがらん。
「いくら凡人さんでも……持てそうだけどなぁ」
「持てんもんは持てん」
「じゃ、これにしよっか♪
えいえいっ★☆」
「なんじゃそりゃ……」
ティンカー○ル的な粉を振り撒いて
出てきたのは……。
「………。」
「ほら☆この神法で…」
「俺にこんな……」
魔法少女が持っていそうなステッキでかぁぁあぁあああ!?!?!?
「ふざけんな!!!」
「えー…これくらいしかないしぃ★」
「可愛い子ぶってんじゃねぇ!!」
まったくもってふざけすぎだ。
誰が魔法ステッキまがいのヤツを使えって言うんだ!
俺は男だぞ!!
……今は女装しているが。
これ以上、俺に恥を晒させるなってんだ……。
「でも、背に腹はかえられないでしょ?凡人さん!
もうすぐ魔物が来ちゃうのよ!!」
「うっ……」
まぁ、そうなのである。
まもなく魔物が来るころ……。
「人間の娘はどこだぁぁぁあああああああ!!!」
ひぃぃいいいい?!!?
着ちゃったぁあああああああああ
しかも、怪獣並みにでけぇぇぇえええええ!!?!
ゴジ○!?的にやべぇぇぇぇえええぇえぇぇえええ!?!?!?!?
超大型犬より性質悪ぃよぉおぉぉおぉおぉおぉおおぉおぉぉおぉぉおおおおお!??!?!
「どうしよう!さとぅー!!」
「あ、やっと私の名前呼んでくれたねvv」
さとぅーはぜんぜん動じていない。
それどころか、俺がさとぅ−って呼んでくれたことがよほど嬉しいらしいが…!!
「そんな事いってる場合じゃねぇだろ!!」
「大丈夫、後5分時間があるから〜」
「そんな都合良く待ってくれる魔物がいるか!!!」
「えー魔物さんは律儀だよ?ーほらっ」
「あ、まだ五分前だぁあ。遅れたと思った!!」
本当に魔物、時間に律儀だったぁぁああああ?!
「マジかよ?!」
魔物が律儀とか。
てか、悪者じゃねぇのかよ……。
ちょー良いヤツっぽいじゃん!!
……良く見ると、ちょっと犬っぽくて可愛……良くない!!
「ね☆
だから、言ったでしょ?」
「ね☆……じゃねぇよ!!」
まぁ、そうだとしても後残り5分
「くそっ、これでやるしかないのか……っ」
このふざけたステッキで……。
いかにも、魔法少女サ○ーちゃんとかクリーミ○マミーちゃんとかが
使ってそうな……このステッキで。
「凡人さん、がんば☆」
「可愛いマネジみたいに応援すな!!」
けど、どうやってこれを……。
「リリカル☆マジ狩る★
〜〜になーれっ☆★って唱えればいいんだよv」
「……出来るか!!」
しかも変換、間違ってないか!?
しかし……。
「ちっ……恥ずかしがってる場合じゃねぇな!!」
ここは恥を忍んで…。
「おぉおおおおお!!時間になった!!!!」
どうやら、時間になったらしい。
「お前が村の娘かぁあああ?!」
「あぁ、そうだよ!!」
「おぉおお!!なかなか可愛い娘じゃねぇええかぁあああ!!!」
「(ひぃぃいいいい)
気色ワリィ……」
語尾にハートでも付けてしまいそうな言い方だ。
軽く、鳥肌が立ってしまう。
「さぁああ!大人しく、オラとくるべやぁぁああああ」
「はっ!!そう、大人しく連れて行かれるか!!!」
「あぁぁあああ、強気な娘ッ子もなかなかだべぇぇえええ」
「えぇぇ!?マジかよ……」
なんつー趣味だ!!!
「意地でもてめーになんか連れて行かれるわけにはいかねぇ!!
……くっ!リリカル☆マジ狩る★魔物よ!小さくになーれvv」
がぁあぁぁぁぁぁあああああ!!!
言っちまった!??!?!?!?!!????!?!??!!?!
トゥルルルルル〜〜ン♪♪
……なんだか、メルヘン的な音が鳴ったんだけど!!!?
「あぁぁああ!?小さくなっちゃったべぇ……」
魔物はみるみるうちに小さくなっていった。
「本当に使えた……」
恥ずかったけど……これでなんとか。
緊張してたのか、どっと汗が噴出す。
安心しすぎて、腰が抜けそうになる。
魔物は大型犬くらいの大きさになった。
なんだか、ものっそ可愛いくなったな……。
「……おい、魔物」
「なんだべぇ?娘ッ子」
「触っていいか…?」
犬好きの血が騒いで、わしゃわしゃしたくなる。
「え、別にいいけどんも……??」
「そうか……」
実は俺は可愛いものに惹かれる……。
わっしゃわっしゃと豪快に撫でる。
あぁ、本当に犬だ、犬!
「あぁ…きもちいだべぇ〜」
「マジ、犬みたいだな……」
さわさわ……
ふさふさしてるし…。
「なぁ?魔物……」
「オラにはケルベルンという名があんだぁ!」
「(名前、可愛くないか…!?)
そか、ケルベルン……この村を襲うのとかやめろよ?な??」
俺は優しく言うと……ケルベルンは。
「じゃぁーおめぇさんがオラにチュウしてくれたら考える!!」
「なっっ!?!?」
なんつった!?!?
正気かぁぁぁああああ!?!?!!??!?
「フフフ…凡人さん!
してあげたらぁあん?」
状況が落ち着いたのを見計らい妖精が出てきた。
しかもふざけた事まで言い出すし……!!
「するか!!!
あ、あのなぁ?俺は男なんだぞ??」
「そうなのかぁ??
でも、魔物の間に性別は関係ないべぇ」
また、ハートが飛んでくる。
しかも男の俺に……。
「げっっ……なんという;;」
「なぁ〜いいだろぉ〜??」
「ちょ!調子にのんな!!!」
ドゴッッ
「痛い……そんなおめぇさんも良いだべvv」
「おまっMか!?」
冗談じゃないっっ……。
「……と言う訳で、魔物はもう大丈夫だ」
「あぁ…ありがたや
勇者様、ありがとうございます」
「「「ありがとう、勇者様!!」」」
「ま、まぁー……これくらい、大した事ないっ」
「あぁ、さすが勇者様」
「慣れておられる!」
まぁ……魔物を倒したわけじゃないけど。
「姐さんvv」
「お前…少しは離れろ;;」
さっきから、犬が甘えたように擦り寄ってきたり
甘えに後ろからアタックされる。
「一生、姐さんについてくべぇ!!」
「はぁ……」
「良かったねぇ??」
「うっせ!!」
何だかんだで、解決したものの。
新たに魔物の"ケルベルン"を仲間に加えた。
まぁ、何かと役に立てば良いが……。
「おい…ケル」
「なんだべぇ?姐さんv」
「その"姐さん"やめろ……
俺は男だ!それに深紗斗って名前もある!!」
「それじゃ、深紗斗って呼んでえぇでか?!」
「まぁ……姐さんよりはマシだな」
「やったべぇ〜深紗斗大好きだぁああvv」
「ぐあっ!?ちょ、やめろーー飛びかかんなっ」
なんだか、大きな犬を抱えてしまった。
とりあえず、村人たちから装備品を貰い
なんとか旅に出たはいいものの
こんな仲間?を抱えて……果たして俺は、使命??を果たせるのか。
続く。
なんだか、オリジナル満載になりましたw
相方よ!がんばって続きをよろしく★