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第10話:火龍の珠



担当:佑川芭瑠堵です♪




あぁ……一貫の終わりなのか。

俺は暗闇の中でそう思った。

……んがっ!!






「お母さんも、もうやめてぇッ!」



まさかの展開だった。

この場を制したのは

以外にも、あの幼い不思議なガキだった。

火竜はその言葉を聞くと、さっきまでの殺気が嘘のように……って

別にだ、駄洒落言うつもりで言ったんじゃいぞッ!!

コホン……それはいいとして。

明らかに空気が変わった。

一瞬にして、なんだか……。



「もぅ良いよ……

 わたし、人に迷惑を掛けてまで生きたくない」


「な、何を言って……?」



俺は上手く状況を飲み込めなかった。


正体不明なガキはてくてくと、おぼつかない足取りで火竜に近づいていく。

そして、俺のほうに振り返り、無理に笑ってみせる。

先ほどより、血の気が引いている感じに見えた。



「お母さんは悪くないの

 私のせいなの……ごめんなさい」


「お前……まさか」



やっと俺の思考回路が動き始めてくれた。

さっきから火竜を"お母さん"と呼ぶ事。

体から不思議な光が発している事。

これはつまり……。


「わたしは火竜の子

 お母さんは、私の具合が悪いから

 人の住む土地のマグマエネルギーまで取りに来たの

 ごめんなさい、私のせいで…地底界の人にご迷惑を……」


「い、いやぁ……俺に謝られても」



正直、どう反応していいやら分からない。

良いんだよって言ってあげたいけど、被害受けたの地界だしなぁ。

許す許さないは俺が一概に決めるわけにも行かない。


「もぅ来ないと約束します

 だから、お母さんを殺さないでください」



そう言うと、火竜のママ(?)は

それに反対するかの様に、首を横に振った。



「良いのよ、お母さん……もう良いのっ 

 わたしはお母さんが、そうやって傷つく方が嫌なの

 だから、わたし……うっ………」



急に胸を押さえてうずくまる。

おいおいっ……ちょっとまずいんじゃね?!

さっきから顔色悪そうだったし。


火竜母は心配そうに子供を舐めている。

その顔に、俺を襲った時の恐ろしい表情は無かった。

ひたすら心配している時の母親の顔だった。



「……どうするー凡人さん?」



投げて飛ばしたさとぅーがまた寄ってくる。

もう危なくないと察したのだろう。



「どうするって……やる事は、一つしかねぇ!」



俺は腹を決めて、火竜子供の所に駆け寄る。

火竜母に近寄るのは怖かったが、俺はそれより火竜子供の方が心配だった。

もぅどうにでもなれッ!……という、自棄やけもあったが。



「だ、大丈夫か?!」



意を決して、駆け寄る。

怖いけど、それより火竜子が心配だから……。



――ギシャァァァ!!



火竜子に近寄って行くと 

火竜母は子を守ろうと威嚇する。 

……マジ怖いんですけどッ。 

いやいやいやっ! 

今はそんなビビッてる場合じゃない。 



「火竜母!

 俺はお前の子どもには危害を加えるつもりはないッ!!

 助けたいんだ……ッ」



俺は喉がカラカラになりながらも 

火竜母に思いを伝える。  

俺の言葉なんて通じないかもしれない。 

けれど、早くしないと 

火竜子が死んでしまうかもしれないんだ。

俺に何ができるかわかんないけどッ

……何もやらないで、後悔したくない!



だから、どうか…… 



俺を信じてくれ火竜!!



――ギュルルゥゥ~



火竜母は威嚇から一変して

なんだか大人しくなったみたいだった。

……俺の言葉が通じたの……かも?



それを見計らって

俺は火竜子の傍に行った!



「ハァ…ハァ……」


「わ、わぁっ……

 どうしようッ!?」



駆け寄って、抱きかかえたまでは良いけど

これから如何するかまでは考えていなかった……ッ!!



「も~しょうがないわねぇ凡人さんってばぁー」


「てめッ

 しょ、しょうがないだろっっ」



人間テンパるとこうなるんだよ!!

……って自分で言ってて悲しくなってきた。



「しょうがない!

 こういう時はさとぅーにお任せ♪」


「(……ウザイけど、今回は見逃してやるッ)

 何か方法あんのか?!」


「凡人さんの神法かけちゃえばぁー」


「………フンッ!!」


「アベシャァァーッ?!」



俺は妖精むしを叩き落とした。

……期待した俺がバカだったッ!!


さとぅーの発言に重大なミスがあります。

さて、それはどこでしょう?



ぴんぽーん♪


―――こたえ.俺の神法は一度しか使えません※重要事項※




「……くそっ

 どうすればいいんだ?!」



知識も何も無い。

頭がテンパってるから何もいい案が浮かびそうも無い。

俺って何てツカエーナイなんだッ!!



「深紗斗さん!」


「……チィ?!」



振り向くとそこには、長老らしき人と一緒に居るチィだった。

武装している人々も居た。

マズイ……これじゃぁ、火竜がッ!!



「待った、火竜は……ッ!!」


「分かっておる」


「はぇ?」



長老らしき人物が

今まで見ていたかのように言う。

俺は思わず、変な声が出た。

直ぐにでも武装集団が押し押せてくるのかと思ったから……。



「ワシはこの地界を統べる長老カイザー」



うん、見た目からしてそうだろう。

てかっ何か名前が何気に格好良いなッ!


そんな変な所で感心してしまった俺を他所に

長老は一歩前へ出て、語るように言った。


「原因が火竜のわらわなら全てに納得いく……

 今まで何故、人嫌いな火竜が人の集落へ来たか分からんかった

 ――いや……ワシらが分かろうとしなかったのが原因じゃがな」



長老は言い終わると

何かを取り出す動作をした。



「……チィよ、これを」


「はぃ、長老さま」



何かをチィが受け取る。

な、何をやるつもりなんだ……??



「深紗斗さん!

 コレを……ッ」



―――ヒュンッ!!



「え?!

 わ、わわぁ――ッ!?」



投げるんかいっ!!

何かが始まるのかと思ったよッ

珍しく反射神経が悪い俺だけど、受け取れた。

……これはいったい?

あかく綺麗な大きめのビー玉みたいだった。



「それを火竜の喉元に付けてあげてくださいっ!」


「えっあ、あぁ、わかった!!」



何だかよく分からないケド。

俺には指示にしたがうしかすべはなかった。



俺は火竜子の喉元を見る。

すると、さっきまで気づかなかったある点を見つけた。

火竜子の喉元に少しくぼみがあったのだ。

それはちょうど――。



「もしかしてッ?!」



その窪みに例のビー玉?を添えると

……ちょうどピッタリだ!

ちょっと力を入れて押すとくぼみに入る。

そのビー玉は火が灯ったように光り輝き

みるみる火竜子の肌は血の気が戻っていった。



そして


火竜子は紅い光に包まれて……。


母似の竜の姿になった。



俺はただただ唖然とししか状況を見守るしかなかった。

恐怖の怖さと共に幻想的な場面に、声もあげられないくらいな怖さ。

でも、最後に襲ってきたのは……安堵感だった。



「よ、よかったの……かな?

 あはは……ッ」



何はともあれ一件落着ってやつかもしれない。




* * * * * 




――その後。


元気になった火竜子はお礼を言って

母親と一緒に自分たちの居場所へ帰っていった。


色々上手く終わって安心したら

不覚にも腰が立たなくなってしまったことは、まぁ……気にしない方向でっ!!



でも、俺的には何が何だか?

状況把握がまったく出来なかったのも事実で。

それをチィで聞いてみたところ……。



『私が長老さまたちを呼びに言ったら

 偶然にも子供が拾った玉が"紅宝珠くれないのほうじゅ"だったんですよ』


『"くれないのほうじゅ?"』


『伝承によれば、火竜には喉元に

 火を蓄えているたまがあるんです

 それが取れてしまうと、力を失ってしまうので

 火竜の弱点部とも言われている箇所なんですって』



なるほど……と俺は納得した。

しかし、子供がそんな大層なもん拾っちゃったよなって感じだ。

……まぁ、ビー玉みたいで綺麗なもんだし仕方ないかもしないなぁ。


そんなこんなで一応、問題は解決!

地界の町に火竜が来ることは、ひとまず無いと言えるらしい。



コトが終わって

俺たちは火竜と戦った功績を崇められ

地界の豪勢な、もてなしを受けた。

……料理は相変わらず、モヤシばっかなんだけどね。


そして野宿が多い俺たちにとって嬉しいのは

ふかふかしたベットつきの部屋だ。

旅に慣れてないのと戦い続きでくたくたな俺は

涙が出るほど嬉しいものだ!



「よかったよかった~♪

 無事、凡人さんの経験値上げも成功したし!」



さとぅーは人形サイズのベットでごっろごろ寝ながら行っていた。

妖精にまでちゃんとしたものを用意するなんて、すげぇなと思った。

……ここでは普通なのか?と疑問が募った。


「んだんだぁ~

 よかったべぇ深紗斗♪」


そして、ケルにも

犬が使ってそうなベットが用意してあった。

もぅ完璧な接待だな、地界は。



「ま、まぁ……チィの町も救えたからな!

 良しとすっか♪」


「深紗斗ぉ

 また、チィだべ……」



何故か俺の台詞でケルがしょげる。

泣くのは勝手だけど

その残片(涙や鼻水)を俺にくっつけるのは止めてくれ……。



「そういや、これから俺たちどうすんだよ?」


「どうするってぇ~決まってるじゃない♪

 地上へ戻るしかないでしょ」


「どうやって戻んだって話だよッ!!」


「落ちた穴から出ればいいのわ★

 ケルちゃんなら戻れ―――」


「はぁ?!」


「あ、しまった……テヘ♪」


「やっちまったべぇ~」


「おぃ、妖精むぃぃ?!

 てめぇー穴に落ちた祭、俺になんて言ったか

 覚えてんだろうなッ!!」


「ハッ 

 まったくもって記憶にないであります☆」


「くたばれ」


「いやぁ~ん、そんな事言ったら傷ついちゃう★☆」


「うわ、きしょッ……勝手に傷ついてろ」


「……あぁ!ずるいだべぇッ

 おらにも罵声浴びせてくれだぁー!!」


「変な要求すんな!!

 いいか、さとぅー……てめぇは

『ここはアレあるよ☆

 進んでみるべしべし!!』って言ったんだッ」


「細かッ!

 そんなんだからモテないんだよぉ~?」


「うっせ、黙れ!!

 とにかく地上に上れる的なことは言わなかった

 ……これに異論はねぇ…よなぁ?」


「……ごめんなさい、異論ないっす」



さすがに威圧したら、さとぅーが真面目に謝った。

土下座入りの真剣まじだ。




* * * * *




少しだけ地界で過ごし身体を休めた俺たち。

完全とは言いがたいが、何だかんだで急いでる旅なので長居は出来ない。

街総出で落ちた穴まで見送りに着てくれていた。



「貴方様には感謝してもしつくせませぬ」


「そんな良いって!

 部屋とか豪勢な感じのに泊めてくれたおかげで

 ゆっくり休めたしなぁ~♪」


「それは何よりですじゃ」



長老と話しをしながらも目で追うのは……。



「(チィ……見送りには居ねぇのな)」



そう、あんなに仲良かったチィ。

でもここの見送りに居ないって事は。



「(いや、悪く考えるな!

  そ、そうだッきっとモヤシ畑が急がしいんだ!  

  そうに決まってる!!)」



自分に言い聞かせた。


その時。



「深紗斗さぁーん!!」



―――ズドドドドドドッッ!!!



遠くから凄まじい砂煙が立ち上がっているのが見えた。

……チィ、すっげぇ走ってるよ。

騒音がヤバいけどな、気にしないぜ……ッ!



「よ、よかったぁ……間に合って♪」


「チィ……見送りに着てくれたのか!」


「いえ、違いますよっ!!」


「え、えぇぇ?!」



ハッキリ拒否された。

あぁ、俺、やばい、、今なら楽に逝ける……。



「……私ッ深紗斗さんと旅がしたいんです!」


「え、一緒に……?」


「だって、深紗斗さんに聞いた話楽しそうだったんだもの……!

 それに……地上の世界がどうなのだが

 私の目で確かめてみたいの!

 ……我侭な事言ってしまって、申し訳ないんですけど

 な、なかなか今日まで言えなくって……えと、それでっ」



チィが一生懸命なのが凄く分かった。

リュックにいっぱい積めて来ていた。

もしかしたら、駄目だと言われるかもしれないのに。

俺の「NO」が言えなくなる位の真剣な眼差しにノックアウトだ……。



「わかった

 一緒に行こうチィ!」


「あ、ありがとうございます!

 深紗斗さん♪」


「わぁーよかったわぁ♪

 チィなら深紗斗なんかより戦力になるしぃ☆」


「うっせッ!」


「……ライバル登場だべぇ」




こうして、チィが俺たちの仲間になり


旅は再び始まった。






みなさん、新年明けの更新です♪

かなり久しい感じが否めませんねぇ……。

ドンマイって事で。

相変わらず成長していない文面ですいません(汗)


今年も一年、とりっぷ☆inふぁんたじー世界をどうぞよろしくお願いします♪



相方へメッセージ~


勝手にパパっとすすめてごめんなぁ。。

後は頑張って書いてね☆


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